社畜サラリーマンの優雅な性奴隷生活

性癖ってややこしい

「なあ、知ってるか？レイノルドは本当は、この国の王族だったんだぜ」
「え…」

知らない。知らないし、なんか凄いことを聞かされた気がする。これ、俺が聞いてもいい話？

「じゃ、じゃあふたりって兄弟…？」
「違う。アイツは先王の兄が悪魔の混血との間に作った子供だ」
「せ……え？兄？悪魔？？」
「情報過多よねえ」

ニールネルは無邪気に笑ってつまんでいてた焼き菓子を龍之介の口に突っ込んだ。それを咀嚼している間に補足説明をしてくれる。

「お父様の前の王だった人にはね、優秀な兄がいたのよ」

でもその人、とんでもない変態だったの、とニールネルは笑う。笑う…ところなんだろうか…？

「ふぇ、ふぇんふぁい？」
「龍之介、口からマドレーヌが溢れてるぞ」
「ちょっと、子供の前でイチャつかないで！」

口の端についた食べこぼしを舐め取られるのを見られてしまった。これが日常的なやり取りだと思われると、クソ恥ずかしいんですけど…

「五月蝿い、見たくないなら出て行け」
「あら、そんなこと言っていいの？龍之介を繋ぎ止めるには可愛い私たちの力が必要なのじゃなくって？お父様」
「………………（黙って龍之介を抱き寄せる）」
「（咀嚼しながらつっぱねる）」


「レイノルドさんのお父様はね、魔物にしか欲情しない性癖だったんですって。だから世継ぎは作れないと判断されて、王位継承戦から外されたらしいのよ」
「ま、魔物に欲情…？」

魔物って、ドラゴンとかスライムとか、そういう奴のことだろうか？？

「とんでもない変態なんじゃ…」
「そうだな。だがとても優秀でえらい美形だったって話だ」
「へ、へえ」
「美形の変態って、ガチっぽくて嫌よねぇ」
「……………（スピネルをチラ見する）」
「（俺は変態じゃないという顔をする）」


「あ、あのさ、悪魔と魔物の違いってなに？」
「そんなに違いはないが、その人が言うには人のかたちをしているのが悪魔でそれ以外のものが魔物って定義らしい。ま、あくまで彼の主張だけどな」
「は、はあ…」

つまり、人のかたちをしていないものに興奮するわけね？
そりゃ、難儀な性癖だろうなあ…と龍之介は思った。さすがは（？）レイノルドの父である。

「あれ？でも悪魔の混血との間に作った子供って言わなかったっけ？」
「正確には、悪魔と魔物の混血だな。肉体は魔物だが悪魔の血が入っているから知能や能力は非常に高い。あの人の性癖にドンズバだったんだろうな。出会った瞬間速攻で口説き落として孕ませたんだそうだ。その時の子がレイノルドだ」
「…………（コメントに困るぅ）」

つまりレイノルドの父親は獣人で、先代の王の兄であり、スピネルとは親戚……ということになるのだろうか？