社畜サラリーマンの優雅な性奴隷生活

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立場と役割

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「龍之介に毒盛ったの、私の母親だったわ」

ごめんね、と唐突にニールネルが謝ってきた。突然だったので、つい反応が遅れてしまう。

「え?なんて?」
「ニールネル様、それは…」
「黙りなさい駄犬。お前に口をきく許可を出した覚えはないわ」
「(ヒェッ)」

思わずこわい…という顔をした龍之介に、慌ててニールネルは貼り付けた笑みを浮かべてみせる。いやいやこわい。そっちの顔の方が余程怖いってば…

「ロジー程じゃないけれど、私もそこの護衛騎士には言いたいことが山程あるの。首を刎ねられなかったその意味をよくよく考えて今後は行動して頂戴」
「……誠に、申し訳ございませんでした。申し開きのしようもございません」
「ニル、エドを責めるんならこの部屋出禁にするから」
「ええっ!?龍之介は私とそこの犬、どっちが大事なのっ!!?」
「エドだよ。だからこれ以上彼を責めないで」
「もおぉぉ……私にそんな口きくの、龍之介ぐらいなんだからね…?」

私を選ばないなんて信じられない!という顔をするニールネルに、龍之介は苦笑する。
仮にもこの国の第一王女なのだから、彼女に逆らってもいいことがないのはわかっている。
けれどこれ以上、狼くんが責められるのを見ていられなかった。

(本当なら、一旦帰って欲しいところだけど)

とりあえず話題が話題なので、ニールネルの話を聞くことにする。本当は狼くんのケアを、優先したいところではあったのだけど…


(元気ないんだよな、あれからずっと)

確かに死にかけた。けれどそれは何も彼のせいというわけではない。
落ち度があったというなら、あの場にいた全員に非があった。フレブルちゃんが運んできたオヤツの中に紛れていた毒入りクッキーは、別のメイドが用意したものだったし、毒味をせずに普段から食事を取っていた龍之介自身にも問題があった。狼くんはそれでも、出された飲物には必ず先に口をつけてくれていたし、本当のことを言うと毒味だって最初の頃はしてくれていたのだ。

(それを拒否したのは俺の方だもんな…)

王妃は絶対的に危険な目にあわないと、過信してしまっていた。それに、想像出来ていなかったのだ。自分に対して悪意を持つ人間がいるという、その可能性について──

(レイシャ姫のこともあったし、リーリエの一件だってあったのに、なんでこんなに危機感足りてないんだろ、俺)

危機感というか、学習能力というか、これまでにも男関係で逆恨みされることはあった(主にレイノルド関係ともいうが)のに、何故かいつも失念してしまう。龍之介には、自分の価値というものがわからない。だから、自身を大事にすることに疎いのである。


「俺、これからはちゃんと自分の身を守る為の行動取るから!」

狼くんにこんな顔をさせるくらいなら、と思ってそう宣言してみたものの、狼くんはどこか浮かない顔をするばかりであった。
責任感が強いのも考えものだ、と思う。
こんな顔をさせたくて、これまで一緒に過ごしてきたわけじゃないのに。
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