上 下
140 / 239

ニールネル6才

しおりを挟む
「アナタがお父様の新しい女?」
「おん…男です」
「見ればわかるわよ。でも女でしょ?王妃なんだから」
「…ソウデスネー」

あれおかしいな、6才って聞いてたんだけど。

(どう見ても16才くらいに見える…ような…)

とんでもなく生意気そうな美少女である。スピネルによく似た顔で美少女とか、ルックス最強すぎない?これは世界を制圧出来そうなビジュアルである…

「なあに?イヤらしい目つきで見ないでくれる?ちんこ切り落とすわよ」
「あー悪い、確かに見てたかも」

龍之介はそういうと背中を向ける。確かに美少女だなあと思って見てしまっていた。こういう子は人に見られることに慣れているだろうけれど、慣れているからって不躾に見ていいわけじゃなかった。

「スピネルによく似てるから、つい凝視しちまった。気を悪くさせたなら謝るよ」
「………アナタ、名前なんだっけ?」
「龍之介」
「りゅう…のすけ?」
「?」

ああ、レムとロムが言ってたのはアナタのことだったのねと急に口調がガラリと変わった。えっと思った時には肩を掴まれ体を反転させられ、美少女に下から顔を覗き込まれていた。なんという可愛いの暴力。キラキラし過ぎて目が痛い。

「レムとロムを可愛がってくれてありがとう。いちばん小さい子たちだから、可愛がってくれる人が増えるのは大歓迎よ」
「ロロとララにも会ったぞ。4人ともみんな破茶滅茶に可愛かった」
「でしょう?うちの兄弟たちはみんな可愛いのよ」

でもまだ幼いから自分の身を守れないの、とニールネルはそう言った。スピネルの長女である彼女はニールネルと名乗ったが、ニルと呼んでと言ってきたので龍之介は彼女をニルと呼ぶことにした。獣人たちは愛称で呼び合うのが一般的なのだろうか?

「ニル…は、兄弟たちと仲が良いんだな?」
「そうね、私が手の届く範囲で守れる子は限られてるから、自然と数が少なくなってしまったけれど、今いる子たちとは全員仲良しよ」
「え、どういうこと…?」
「お父様から聞いてない?この国では王族の子供は簡単に死ぬのよ。暗殺されたり誘拐されたり、理由は様々だけどね」
「聞いてない…」
「生き残るのは、本当に強い者と運のある者だけね。私は運良く育ちきるまで生き残れたから、こうして今は幼い子たちを出来るだけ気にしてあげてるの」
「育ちきるって、何才のこと言ってんだ?」
「そうね、4才まで成長すれば能力次第では外敵から身を守れると思うわ。私は4才、弟は3才で暗殺者を殺しているもの」
「俺、この国はもっと安全なのかと思ってた」
「この国は子供に厳しいのよ。生き残れないのなら育てる価値もないと判断されてしまうの。王族なら特にね」
「…暗殺って、誰の差し金?」
「それはまあ、それぞれの王妃か、その背後にいる人たちだろうけど…」
「自分の子を王にしたいから、他の子を殺すってこと?それをスピネルも許してるのか?」
「許してるわけじゃないわ。お父様はあれでよくやっている方よ?そんな怖い顔で怒らないであげて?」
「…………悪い、ごめん、わかった」

こんな子供に気を遣わせてしまってはいけない。つい語尾が強くなってしまったことを謝ると、ニールネルはフフッと可愛らしい顔で微笑んだ。

「アナタ、意外と良い顔するわね?その情けない顔、ちょっとそそるわ」
「………(レイノルド的な嗜好…?)」
「あら、嬉しくないの?もしかしてホモセクシュアル?」
「違う!俺はヘテロだ!」
「お父様は同性では?」
「あっ、そうか。いやっ、でも、そのっ」
「私は同性しかダメなのよね。女の子にしか性的に興奮しないの」
「あっ、へーえ…そうなんだ…」
「でもアナタは雄の匂いがしないし、ちょっと試してみてもいいかもしれないわ。ねえ、お父様と私、どっちが良いか試してみない?」
「うえぇっ!?いや、ニル、きみ6才なんだよねっ!?」
「獣人の6才なんてもう立派な大人よ?心配しなくてもちんこは生やしてあげられるし、アナタはいつも通りで構わないわ。優しく抱いてあげるから、ねえ、どう?」
「えっ、生えるの?ってか俺が抱かれんの?」
「そうよ?私バリタチだもの」
「……………(たすけて、エド!!)」


その瞬間、身の危険を察知した龍之介が後方に控えていた狼くんに全力で助けを求めたのは、言うまでもないだろう…
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

異世界のオークションで落札された俺は男娼となる

mamaマリナ
BL
 親の借金により俺は、ヤクザから異世界へ売られた。異世界ブルーム王国のオークションにかけられ、男娼婦館の獣人クレイに買われた。  異世界ブルーム王国では、人間は、人気で貴重らしい。そして、特に日本人は人気があり、俺は、日本円にして500億で買われたみたいだった。  俺の異世界での男娼としてのお話。    ※Rは18です

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

処理中です...