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リムレムとロムアル
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(きゃ、きゃわいいいぃぃぃ!!!)
子猫!子猫みたい!!と龍之介は目の前の二匹の子ライオンに大興奮である。
どこからどう見ても、単色の黄金色の子猫にしか見えない。知らなかった、子ライオンってほぼ見た目子猫なんだ…!!
「まままじでかわいいんだけど…!さわ、触ってもいいのかなっっ」
「嫌がられなければ好きに触れよ。コイツらはまだ人型は取れないが、喋ることは出来るからな」
「えっ、喋れんの!?」
「しゃべれるぞー!」
「しゃべれるぞー!」
「喋った…!子猫がしゃ、喋っ…」
「………お前そんな動物好きだったのか?」
「(可愛くて悶絶)」
「りゅー、あそんで!」
「りゅー、だっこ!」
出会って10分もたたないうちに、子ライオンたちは龍之介の上に乗ったり服を齧ったり頬を舐めたりと、やりたい放題だった。
だがそんな状況がなにより嬉しいのか、当の龍之介はめちゃくちゃ楽しそうに二匹の相手をしている。王と護衛騎士をほったらかしにして。
「めちゃくちゃ懐かれてますね…」
「そうだな。妬けるか?」
「まあ、少し…」
「あいつらも、あれで雄だからなぁ」
「…………………」
「(煽り耐性ゼロか…)」
しかしアレだな、とスピネルは思う。自分の息子が産んだ女とは別の王妃と仲睦まじく戯れている光景は、中々に尊い。
「良い光景ですね」
「そうだな」
「……羨ましいです」
「俺が?アイツらが?」
「あの人を孕ませることが出来る男が、心底羨ましい」
スピネルは無言のまま傍に立つ護衛騎士を見上げ、それと同時に深い溜息を吐く。
「エド、それあいつには言うなよ」
「言いません。でも今、心底そう思ってしまいました」
「好きな相手と番になれる奴なんて一握りだ。特に軍属ならな」
「承知しています。陛下には、心から感謝しております」
「その地位は、お前が実力で勝ち取ったもんだろ」
「だとしても、この機会を与えてもらったこと、自分はきっと生涯忘れません」
「堅苦しいな」
「すみません…」
(それにしても…)
レイノルドから頼まれたわけではなかったけれど、きっと自分のところに龍之介を預けたのはこういう意味合いも含まれていたのだろうなと、目の前の光景を眺めながらスピネルは思う。
(子供と触れ合わせて、家族の形を想像しやすくさせたかったんだろう)
言葉で説明するより、目で見て実際に接した方が早いこともある。
こうして見る分には、龍之介は良い母親になる素質は充分にあると思う。他所の子はおろか自分の子でさえろくに愛情を持たない生物なんてのは山程いるのだから。
何をもって良い母親だと断じるのか、それはまた別の議論が必要になるところではあるけれど──
「ま、確かにな…」
龍之介との間に出来た子供は可愛いだろうなと、スピネルでさえも思う。もし仮に、白の魔人とレイノルド、双方が深傷を負ったとしたらどうなるだろうか。
魔人は少なくとも龍之介が生きている間は眠りにつくだろうし、レイノルドは余程のことがない限り死ぬことはないだろうが、交渉の余地はあるかもしれない。
ダームウェルはむしろ、自分が龍之介を大切にすると言えば干渉してくることはないだろう。
(…なんてことを考える時点で、俺ももう駄目なんだろうな)
人間は麻薬だ。生物を狂わす。快感を得る為にどんどん欲して求めてしまうが、その肉体は弱くて脆い為にすぐに死んでしまう。だから人間は怖いのだ。置いていかれる方の身になって欲しい。
子猫!子猫みたい!!と龍之介は目の前の二匹の子ライオンに大興奮である。
どこからどう見ても、単色の黄金色の子猫にしか見えない。知らなかった、子ライオンってほぼ見た目子猫なんだ…!!
「まままじでかわいいんだけど…!さわ、触ってもいいのかなっっ」
「嫌がられなければ好きに触れよ。コイツらはまだ人型は取れないが、喋ることは出来るからな」
「えっ、喋れんの!?」
「しゃべれるぞー!」
「しゃべれるぞー!」
「喋った…!子猫がしゃ、喋っ…」
「………お前そんな動物好きだったのか?」
「(可愛くて悶絶)」
「りゅー、あそんで!」
「りゅー、だっこ!」
出会って10分もたたないうちに、子ライオンたちは龍之介の上に乗ったり服を齧ったり頬を舐めたりと、やりたい放題だった。
だがそんな状況がなにより嬉しいのか、当の龍之介はめちゃくちゃ楽しそうに二匹の相手をしている。王と護衛騎士をほったらかしにして。
「めちゃくちゃ懐かれてますね…」
「そうだな。妬けるか?」
「まあ、少し…」
「あいつらも、あれで雄だからなぁ」
「…………………」
「(煽り耐性ゼロか…)」
しかしアレだな、とスピネルは思う。自分の息子が産んだ女とは別の王妃と仲睦まじく戯れている光景は、中々に尊い。
「良い光景ですね」
「そうだな」
「……羨ましいです」
「俺が?アイツらが?」
「あの人を孕ませることが出来る男が、心底羨ましい」
スピネルは無言のまま傍に立つ護衛騎士を見上げ、それと同時に深い溜息を吐く。
「エド、それあいつには言うなよ」
「言いません。でも今、心底そう思ってしまいました」
「好きな相手と番になれる奴なんて一握りだ。特に軍属ならな」
「承知しています。陛下には、心から感謝しております」
「その地位は、お前が実力で勝ち取ったもんだろ」
「だとしても、この機会を与えてもらったこと、自分はきっと生涯忘れません」
「堅苦しいな」
「すみません…」
(それにしても…)
レイノルドから頼まれたわけではなかったけれど、きっと自分のところに龍之介を預けたのはこういう意味合いも含まれていたのだろうなと、目の前の光景を眺めながらスピネルは思う。
(子供と触れ合わせて、家族の形を想像しやすくさせたかったんだろう)
言葉で説明するより、目で見て実際に接した方が早いこともある。
こうして見る分には、龍之介は良い母親になる素質は充分にあると思う。他所の子はおろか自分の子でさえろくに愛情を持たない生物なんてのは山程いるのだから。
何をもって良い母親だと断じるのか、それはまた別の議論が必要になるところではあるけれど──
「ま、確かにな…」
龍之介との間に出来た子供は可愛いだろうなと、スピネルでさえも思う。もし仮に、白の魔人とレイノルド、双方が深傷を負ったとしたらどうなるだろうか。
魔人は少なくとも龍之介が生きている間は眠りにつくだろうし、レイノルドは余程のことがない限り死ぬことはないだろうが、交渉の余地はあるかもしれない。
ダームウェルはむしろ、自分が龍之介を大切にすると言えば干渉してくることはないだろう。
(…なんてことを考える時点で、俺ももう駄目なんだろうな)
人間は麻薬だ。生物を狂わす。快感を得る為にどんどん欲して求めてしまうが、その肉体は弱くて脆い為にすぐに死んでしまう。だから人間は怖いのだ。置いていかれる方の身になって欲しい。
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