127 / 241
フレブルちゃん再び
しおりを挟む
龍之介のお世話係にはフレブルちゃんが付いてくれることになった。メインの侍女はフレブルちゃんで、他のメイドたちは手が空いている子がランダムにお世話しに来てくれるらしい。その中から気に入った子を数人選んで、それを王妃付きとするのが慣例なのだそうだ。
「期間限定妻なのに、いいのかな…」
「それについては誰にも知らされておりませんので、そのおつもりで」
「えっ、そうなの!?」
「はい、事情を知っているのは自分と、前回護衛にあたった残りのふたりだけです」
「え、じゃあ他のお嫁さんたちも知らないってこと?」
「そうですね。ですが第一王妃様にだけは事情をお話されていると思います」
「第一王妃…」
ね、ちなみに俺って何番目?と尋ねると、狼くんは「龍之介様は第七王妃様になります」と教えてくれた。七って…凄いなあ、あの王様…
「他の王妃様たちに挨拶とかした方がいいのかな?」
「通常であれば顔見せの為の夜会が開かれるのですが、今回は事情が事情ですので…」
「目立たなく過ごすのがいいってこと?」
「そうなりますね。そもそも王が同性を娶ったことが今までになかったので、王妃様たちも龍之介様には興味がおありの様子でして…」
もしかすると彼方の方から接触してくる可能性もなくはありません、と狼くんは続けた。
うへえ、と龍之介は思わず嫌そうな声を漏らす。本来であれば女の子とお近づきになる機会は逃したくない龍之介であるが、話してはいけないことや嘘をつかねばならないというのなら話は別である。
そういうのは、正直面倒くさい。腹の探り合いは苦手なのだ…
「ですが、出来るだけ不自由させないよう精一杯努めさせて頂きますので、何かしたいことや欲しい物があれば何でも仰って下さい」
「したいこと、ねえ…」
そう言われても、パッと浮かばないのが悲しいところである。すっかり引きこもり生活に慣れてしまって、欲しいものと言われても何も浮かんでもこない。精々美味しいもの食べたいな、くらいである。
「食事ですね。承知致しました」
「ねえ、それからさぁ…そんなかしこまった喋り方しなくても大丈夫だよ?疲れない?」
「いえ、自分はあなたの護衛騎士ですから」
これでも志願する者たちを打ち負かして手に入れた栄誉なのですよと、狼くんはどこか誇らしげにそう言った。
「え、嘘でしょ?他にも志願した奴がいたの??」
「ええ、おりました。龍之介様のお姿は以前来られた際に目にしていた者が多くおりましたし、何より王妃様付きの護衛騎士に任命されるということは、王に認められた騎士ということと同義です」
「まあ、奥さん守る大事な仕事だもんな…」
「それに、その…」
王が相手をしない間の伽の相手としても、遠慮なく使って下さいと狼くんは言った。
「期間限定妻なのに、いいのかな…」
「それについては誰にも知らされておりませんので、そのおつもりで」
「えっ、そうなの!?」
「はい、事情を知っているのは自分と、前回護衛にあたった残りのふたりだけです」
「え、じゃあ他のお嫁さんたちも知らないってこと?」
「そうですね。ですが第一王妃様にだけは事情をお話されていると思います」
「第一王妃…」
ね、ちなみに俺って何番目?と尋ねると、狼くんは「龍之介様は第七王妃様になります」と教えてくれた。七って…凄いなあ、あの王様…
「他の王妃様たちに挨拶とかした方がいいのかな?」
「通常であれば顔見せの為の夜会が開かれるのですが、今回は事情が事情ですので…」
「目立たなく過ごすのがいいってこと?」
「そうなりますね。そもそも王が同性を娶ったことが今までになかったので、王妃様たちも龍之介様には興味がおありの様子でして…」
もしかすると彼方の方から接触してくる可能性もなくはありません、と狼くんは続けた。
うへえ、と龍之介は思わず嫌そうな声を漏らす。本来であれば女の子とお近づきになる機会は逃したくない龍之介であるが、話してはいけないことや嘘をつかねばならないというのなら話は別である。
そういうのは、正直面倒くさい。腹の探り合いは苦手なのだ…
「ですが、出来るだけ不自由させないよう精一杯努めさせて頂きますので、何かしたいことや欲しい物があれば何でも仰って下さい」
「したいこと、ねえ…」
そう言われても、パッと浮かばないのが悲しいところである。すっかり引きこもり生活に慣れてしまって、欲しいものと言われても何も浮かんでもこない。精々美味しいもの食べたいな、くらいである。
「食事ですね。承知致しました」
「ねえ、それからさぁ…そんなかしこまった喋り方しなくても大丈夫だよ?疲れない?」
「いえ、自分はあなたの護衛騎士ですから」
これでも志願する者たちを打ち負かして手に入れた栄誉なのですよと、狼くんはどこか誇らしげにそう言った。
「え、嘘でしょ?他にも志願した奴がいたの??」
「ええ、おりました。龍之介様のお姿は以前来られた際に目にしていた者が多くおりましたし、何より王妃様付きの護衛騎士に任命されるということは、王に認められた騎士ということと同義です」
「まあ、奥さん守る大事な仕事だもんな…」
「それに、その…」
王が相手をしない間の伽の相手としても、遠慮なく使って下さいと狼くんは言った。
44
お気に入りに追加
1,630
あなたにおすすめの小説
異世界のオークションで落札された俺は男娼となる
mamaマリナ
BL
親の借金により俺は、ヤクザから異世界へ売られた。異世界ブルーム王国のオークションにかけられ、男娼婦館の獣人クレイに買われた。
異世界ブルーム王国では、人間は、人気で貴重らしい。そして、特に日本人は人気があり、俺は、日本円にして500億で買われたみたいだった。
俺の異世界での男娼としてのお話。
※Rは18です
【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。
mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】
別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
市川先生の大人の補習授業
夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。
ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。
「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。
◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC)
※「*」がついている回は性描写が含まれております。
男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる