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フレブルちゃん再び
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龍之介のお世話係にはフレブルちゃんが付いてくれることになった。メインの侍女はフレブルちゃんで、他のメイドたちは手が空いている子がランダムにお世話しに来てくれるらしい。その中から気に入った子を数人選んで、それを王妃付きとするのが慣例なのだそうだ。
「期間限定妻なのに、いいのかな…」
「それについては誰にも知らされておりませんので、そのおつもりで」
「えっ、そうなの!?」
「はい、事情を知っているのは自分と、前回護衛にあたった残りのふたりだけです」
「え、じゃあ他のお嫁さんたちも知らないってこと?」
「そうですね。ですが第一王妃様にだけは事情をお話されていると思います」
「第一王妃…」
ね、ちなみに俺って何番目?と尋ねると、狼くんは「龍之介様は第七王妃様になります」と教えてくれた。七って…凄いなあ、あの王様…
「他の王妃様たちに挨拶とかした方がいいのかな?」
「通常であれば顔見せの為の夜会が開かれるのですが、今回は事情が事情ですので…」
「目立たなく過ごすのがいいってこと?」
「そうなりますね。そもそも王が同性を娶ったことが今までになかったので、王妃様たちも龍之介様には興味がおありの様子でして…」
もしかすると彼方の方から接触してくる可能性もなくはありません、と狼くんは続けた。
うへえ、と龍之介は思わず嫌そうな声を漏らす。本来であれば女の子とお近づきになる機会は逃したくない龍之介であるが、話してはいけないことや嘘をつかねばならないというのなら話は別である。
そういうのは、正直面倒くさい。腹の探り合いは苦手なのだ…
「ですが、出来るだけ不自由させないよう精一杯努めさせて頂きますので、何かしたいことや欲しい物があれば何でも仰って下さい」
「したいこと、ねえ…」
そう言われても、パッと浮かばないのが悲しいところである。すっかり引きこもり生活に慣れてしまって、欲しいものと言われても何も浮かんでもこない。精々美味しいもの食べたいな、くらいである。
「食事ですね。承知致しました」
「ねえ、それからさぁ…そんなかしこまった喋り方しなくても大丈夫だよ?疲れない?」
「いえ、自分はあなたの護衛騎士ですから」
これでも志願する者たちを打ち負かして手に入れた栄誉なのですよと、狼くんはどこか誇らしげにそう言った。
「え、嘘でしょ?他にも志願した奴がいたの??」
「ええ、おりました。龍之介様のお姿は以前来られた際に目にしていた者が多くおりましたし、何より王妃様付きの護衛騎士に任命されるということは、王に認められた騎士ということと同義です」
「まあ、奥さん守る大事な仕事だもんな…」
「それに、その…」
王が相手をしない間の伽の相手としても、遠慮なく使って下さいと狼くんは言った。
「期間限定妻なのに、いいのかな…」
「それについては誰にも知らされておりませんので、そのおつもりで」
「えっ、そうなの!?」
「はい、事情を知っているのは自分と、前回護衛にあたった残りのふたりだけです」
「え、じゃあ他のお嫁さんたちも知らないってこと?」
「そうですね。ですが第一王妃様にだけは事情をお話されていると思います」
「第一王妃…」
ね、ちなみに俺って何番目?と尋ねると、狼くんは「龍之介様は第七王妃様になります」と教えてくれた。七って…凄いなあ、あの王様…
「他の王妃様たちに挨拶とかした方がいいのかな?」
「通常であれば顔見せの為の夜会が開かれるのですが、今回は事情が事情ですので…」
「目立たなく過ごすのがいいってこと?」
「そうなりますね。そもそも王が同性を娶ったことが今までになかったので、王妃様たちも龍之介様には興味がおありの様子でして…」
もしかすると彼方の方から接触してくる可能性もなくはありません、と狼くんは続けた。
うへえ、と龍之介は思わず嫌そうな声を漏らす。本来であれば女の子とお近づきになる機会は逃したくない龍之介であるが、話してはいけないことや嘘をつかねばならないというのなら話は別である。
そういうのは、正直面倒くさい。腹の探り合いは苦手なのだ…
「ですが、出来るだけ不自由させないよう精一杯努めさせて頂きますので、何かしたいことや欲しい物があれば何でも仰って下さい」
「したいこと、ねえ…」
そう言われても、パッと浮かばないのが悲しいところである。すっかり引きこもり生活に慣れてしまって、欲しいものと言われても何も浮かんでもこない。精々美味しいもの食べたいな、くらいである。
「食事ですね。承知致しました」
「ねえ、それからさぁ…そんなかしこまった喋り方しなくても大丈夫だよ?疲れない?」
「いえ、自分はあなたの護衛騎士ですから」
これでも志願する者たちを打ち負かして手に入れた栄誉なのですよと、狼くんはどこか誇らしげにそう言った。
「え、嘘でしょ?他にも志願した奴がいたの??」
「ええ、おりました。龍之介様のお姿は以前来られた際に目にしていた者が多くおりましたし、何より王妃様付きの護衛騎士に任命されるということは、王に認められた騎士ということと同義です」
「まあ、奥さん守る大事な仕事だもんな…」
「それに、その…」
王が相手をしない間の伽の相手としても、遠慮なく使って下さいと狼くんは言った。
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