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これはもう限りなく黒
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(あ、やべときめいたかも…)
久しぶりに見る狼くんは、以前より心なしか逞しくなっているように感じた。
獣人さんは、基本的に胴の部分は人間とほぼ変わりない。なので制服の上からでもわかる分厚い胸板や上腕二頭筋、特にあの盛り上がった広背筋の辺りに自然と目が引き寄せられていく。いってしまう。なにあの筋肉。すごい。ちょっとさわってみても、いいだろうか…
なんてことを考えて、龍之介は慌てて首を横に振る。いかんいかん!肉欲に振り回されてどうする!!
というかどうしよう、これでは自分もいつの間にか男の体をいやらしい目で見る変態の仲間入りではないか…!
(しかも相手は10代…!犯罪スレスレ!!)
よく会社のオッサン連中が女は若けりゃ若い方がいいなんて馬鹿げたことを言っていたが、もうこれ他人事じゃねえなと思う。こんな若い子相手にムラついてるようじゃ、大人として失格である。というか男の体見てときめくとか尋常じゃない。環境に毒され過ぎである。
…そんなことを、狼くんの姿を見た一瞬のうちに色々考えていた。考えている間に、狼くんが目の前に立っていた。うん、間違いなくこの間会った時よりデカくなっている。成長期尊い。
「お久しぶりです、龍之介様」
「お、おう…久しぶり、元気だった?」
なんか変な空気である。なんで俺緊張してんの?おかしくない??沈黙に耐えきれず下げた視線を逡巡した末に再び上げると、同じく視線を彷徨わせていたらしい狼くんとバチリと目が合う。
途端に、恥ずかしくなってしまった…ほんとに何やってんだこれ…
(レイノルドごめーん、これマジで浮気になっちゃうかも…)
遠見、届かなくて良かったと思う。この思考が既に悪であることに、龍之介自身気付いているのかどうか…
何はともあれ、一行は魔人避けの施された馬車へと乗り込んだ。行き先は、当然スピネルのいる王都である。
「……て、あれっ、中にいるじゃん」
「再会の挨拶にしては雑過ぎないか?龍之介」
「お久しぶりです王サマ!この度はよろしくお願い致します!」
「よろしい」
馬車に乗り込むと、なんとそこには王様が既に乗っていた。そう言えば、レイノルドがそんなことを言っていたような気もするなと龍之介は今更ながらに思い出す。
「王使いの荒い奴だよ、お前の主人は」
「へへ…どうも、すみません…」
「まあ俺としても白の魔人は厄介な存在だからな。レイノルドとダームウェルが共闘するというのなら、いくらか勝算は上がるだろう。少なくとも千年くらいの眠りにはついてもらいたいものだな」
「???」
「…………まあ、お前は知らなくてもいい話さ」
結局はあいつらの勝手で起こした戦争だしなと、王様は意味深な台詞を残して馬車の扉を閉めさせた。
その言葉の真意を龍之介が知るのは、もう少し先の話である。
久しぶりに見る狼くんは、以前より心なしか逞しくなっているように感じた。
獣人さんは、基本的に胴の部分は人間とほぼ変わりない。なので制服の上からでもわかる分厚い胸板や上腕二頭筋、特にあの盛り上がった広背筋の辺りに自然と目が引き寄せられていく。いってしまう。なにあの筋肉。すごい。ちょっとさわってみても、いいだろうか…
なんてことを考えて、龍之介は慌てて首を横に振る。いかんいかん!肉欲に振り回されてどうする!!
というかどうしよう、これでは自分もいつの間にか男の体をいやらしい目で見る変態の仲間入りではないか…!
(しかも相手は10代…!犯罪スレスレ!!)
よく会社のオッサン連中が女は若けりゃ若い方がいいなんて馬鹿げたことを言っていたが、もうこれ他人事じゃねえなと思う。こんな若い子相手にムラついてるようじゃ、大人として失格である。というか男の体見てときめくとか尋常じゃない。環境に毒され過ぎである。
…そんなことを、狼くんの姿を見た一瞬のうちに色々考えていた。考えている間に、狼くんが目の前に立っていた。うん、間違いなくこの間会った時よりデカくなっている。成長期尊い。
「お久しぶりです、龍之介様」
「お、おう…久しぶり、元気だった?」
なんか変な空気である。なんで俺緊張してんの?おかしくない??沈黙に耐えきれず下げた視線を逡巡した末に再び上げると、同じく視線を彷徨わせていたらしい狼くんとバチリと目が合う。
途端に、恥ずかしくなってしまった…ほんとに何やってんだこれ…
(レイノルドごめーん、これマジで浮気になっちゃうかも…)
遠見、届かなくて良かったと思う。この思考が既に悪であることに、龍之介自身気付いているのかどうか…
何はともあれ、一行は魔人避けの施された馬車へと乗り込んだ。行き先は、当然スピネルのいる王都である。
「……て、あれっ、中にいるじゃん」
「再会の挨拶にしては雑過ぎないか?龍之介」
「お久しぶりです王サマ!この度はよろしくお願い致します!」
「よろしい」
馬車に乗り込むと、なんとそこには王様が既に乗っていた。そう言えば、レイノルドがそんなことを言っていたような気もするなと龍之介は今更ながらに思い出す。
「王使いの荒い奴だよ、お前の主人は」
「へへ…どうも、すみません…」
「まあ俺としても白の魔人は厄介な存在だからな。レイノルドとダームウェルが共闘するというのなら、いくらか勝算は上がるだろう。少なくとも千年くらいの眠りにはついてもらいたいものだな」
「???」
「…………まあ、お前は知らなくてもいい話さ」
結局はあいつらの勝手で起こした戦争だしなと、王様は意味深な台詞を残して馬車の扉を閉めさせた。
その言葉の真意を龍之介が知るのは、もう少し先の話である。
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