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すぐ顔に出るタイプ

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「喧嘩でもした?」
「「してない」」
「…(怪しい…)」

なんとなく空気が重い。そんなふうに感じながらも放置してきた龍之介であったが、さすがに最近は目に余る。龍之介は押し黙るレイノルドとダームウェルに向かってこれ以上ないほどの正論を突きつける。

「もう大人なんだし、喧嘩とかやめようぜ。みっともないから」
「「だからしてないって」」
「……………」

これ、どう思います?エルヴィンさん、と話の矛先を我関せずでいるエルヴィンに向けると、とても迷惑そうな顔をされてしまった。存外に巻き込むなと言われているようで、龍之介は深い溜息を吐く。


「………まぁもう、別にいいけどさ、お前らが喧嘩してようとしてまいと。でもそれで雰囲気悪くして居心地の悪い思いしてる可哀想な俺がいること、忘れんなよな!」

で、来週からまた獣人国に行けばいいわけ?と龍之介は話を本題へと戻す。

「そうだ。彼の国は比較的魔人に対する防衛力が高い。前回のように易々と接触されぬよう今回は最初からスピネルに迎えに来てもらう」
「?スピネルって??」
「獣人国の王様の名前だよ。お前知らなかったの?」
「知らなかった…」
「おいおい」

あんだけ世話になっててそりゃさすがに不敬だろ、と急に正論をかましてくるダームウェルに龍之介はイラッとする。なんだ?さっきの仕返しか??

「仕方ないだろ、大体初対面からしてろくでもなかったんだ!自己紹介なんてしてる場合でもなかったし!!」
「うん?普通に王宮で会ったんじゃないのか?」
「違う!!拉致られたんだ!その上くす…」
「くす?」

クスリ盛られてあん♡あん♡しゅき♡しゅき♡の記憶に新しい黒歴史が一瞬脳裏を過り、龍之介は瞬時にそれに蓋をし封印にかかる。あれはダメだ、思い出してはいけない記憶である。断じて、決して!他言無用!!


「…………なんでもない…」
「…………あー、もしかしてお前…」
「あー!あー!あー!言わなくていい!何かしら勘づいてても言うな!聞き流せ!思い出させるなよ俺に!!」
「…………お前もつくづく男運が悪いなあ」

なんか絶妙な顔で同情されてしまった。なんかよくわからんが屈辱感を植えつけられて、結局前後の話は有耶無耶になってしまった。
男運が悪いだと?そんなの俺がいちばん身に染みて感じてるよ!!


「…………性格(性癖)に問題はあるが、スピネルは王としては優秀な男だ。魔人の排除にも協力してくれると言っている。暫くはスピネルの元でおとなしくしていろ」
「…………はぁい」
「やけに素直だな」
「もしかして、行くのが楽しみだったりしますか?獣人国」
「えっ」

何故バレたんだろう、と龍之介はエルヴィンの方を見る。
頭の中はすっかり、狼くんのことで一杯だった。
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