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尽くすよ俺は
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「昼間、ルクシュの奴が来たんだが…」
「え、もう行ったの?」
行動早っと思う。一旦持ち帰るなんて言うから、もっと先の話になるかと思っていたのに。
「ルクシュと寝たいのか?」
「うん?だってレイノルド、俺が他の男とヤッてるとこ見たいんだろ?」
どうせするなら気心知れてて、こっちに好感持ってる奴がいいし、と龍之介はあっけらかんと答える。
「…私の為か?」
「はあ?それ以外になんかあんの?」
何をわかりきったこと言ってんの?という顔をすると、レイノルドは仕事の手を止めて龍之介に向かって手招きをする。
なに?と近づけば、膝の上に乗せられてしまった。そのままぎゅっと抱きしめられ、肩口に額を擦りつけられる。
なにこれ、おっきな犬みたい。
「お前は他の男に抱かれるのが嫌なんじゃなかったのか?」
「嫌っていうか、その必要あるの?って思ってただけ。ヤリたいならレイノルドとすればいいんだし、わざわざ他の男とセックスする必要性を感じなかったんだよ」
「じゃあどうしてルクシュに…」
「俺が必要じゃなくったって、お前には必要なんだろ?その、刺激みたいなもんがさ」
恋人が望んでるなら、やってみてもいいかと思ったんだよと龍之介は笑う。
「なんせ、俺は恋人には尽くす男だからな。恋人の望むことはなんでも叶えてやりたくなるんだ」
「……良い男だな」
「だろ?」
惚れ直したかと軽口を叩けば、ただ優しいだけのキスが降ってくる。額に、瞼に、頬に、そして唇に。かつてこんなにも性欲を感じさせないキスをレイノルドからされた覚えがない。その為思わず龍之介は面食らってしまう。
(…なんだろ)
心なしか、いつもと違う反応だなと龍之介は反射的に思った。
キスを受けながら薄目を開けてレイノルドの様子を伺うと、同じく伏し目がちな紅い瞳と視線が絡み合う。そのまま自然な流れで深いキスへと移行するように、レイノルドの両手が龍之介の頬と顎を捉えた。
「ん、ぅ」
両手で顔を固定され、くちびるを余すことなく貪られる。息も出来ないくらい隙間なく塞がれて舌を絡め取られる。いつもより長くて執拗なキスに、頭の芯が酸欠でボーッとしはじめる。なんだろう、なんだか…上手く言えないけれど、何処となくいつもと様子が違うような、そうでもないような…?
そんなことを考えるのだけれど、やはり頭は上手く回らない。腰を引き寄せられ体を密着するように抱え直されると、服の上からでもレイノルドが勃起している様子がわかった。
その上に跨るような体勢でなおも唇を吸われ続けて、脳が蕩けそうになる。もう何も、考えられなくなる…
その時、もう少しだけ、もっと深くそのことについて考えていればよかったと、後から後悔することになるのだけれど
そんなことは、この時点での龍之介には、わかるはずもないことだった。
「え、もう行ったの?」
行動早っと思う。一旦持ち帰るなんて言うから、もっと先の話になるかと思っていたのに。
「ルクシュと寝たいのか?」
「うん?だってレイノルド、俺が他の男とヤッてるとこ見たいんだろ?」
どうせするなら気心知れてて、こっちに好感持ってる奴がいいし、と龍之介はあっけらかんと答える。
「…私の為か?」
「はあ?それ以外になんかあんの?」
何をわかりきったこと言ってんの?という顔をすると、レイノルドは仕事の手を止めて龍之介に向かって手招きをする。
なに?と近づけば、膝の上に乗せられてしまった。そのままぎゅっと抱きしめられ、肩口に額を擦りつけられる。
なにこれ、おっきな犬みたい。
「お前は他の男に抱かれるのが嫌なんじゃなかったのか?」
「嫌っていうか、その必要あるの?って思ってただけ。ヤリたいならレイノルドとすればいいんだし、わざわざ他の男とセックスする必要性を感じなかったんだよ」
「じゃあどうしてルクシュに…」
「俺が必要じゃなくったって、お前には必要なんだろ?その、刺激みたいなもんがさ」
恋人が望んでるなら、やってみてもいいかと思ったんだよと龍之介は笑う。
「なんせ、俺は恋人には尽くす男だからな。恋人の望むことはなんでも叶えてやりたくなるんだ」
「……良い男だな」
「だろ?」
惚れ直したかと軽口を叩けば、ただ優しいだけのキスが降ってくる。額に、瞼に、頬に、そして唇に。かつてこんなにも性欲を感じさせないキスをレイノルドからされた覚えがない。その為思わず龍之介は面食らってしまう。
(…なんだろ)
心なしか、いつもと違う反応だなと龍之介は反射的に思った。
キスを受けながら薄目を開けてレイノルドの様子を伺うと、同じく伏し目がちな紅い瞳と視線が絡み合う。そのまま自然な流れで深いキスへと移行するように、レイノルドの両手が龍之介の頬と顎を捉えた。
「ん、ぅ」
両手で顔を固定され、くちびるを余すことなく貪られる。息も出来ないくらい隙間なく塞がれて舌を絡め取られる。いつもより長くて執拗なキスに、頭の芯が酸欠でボーッとしはじめる。なんだろう、なんだか…上手く言えないけれど、何処となくいつもと様子が違うような、そうでもないような…?
そんなことを考えるのだけれど、やはり頭は上手く回らない。腰を引き寄せられ体を密着するように抱え直されると、服の上からでもレイノルドが勃起している様子がわかった。
その上に跨るような体勢でなおも唇を吸われ続けて、脳が蕩けそうになる。もう何も、考えられなくなる…
その時、もう少しだけ、もっと深くそのことについて考えていればよかったと、後から後悔することになるのだけれど
そんなことは、この時点での龍之介には、わかるはずもないことだった。
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