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恋人ってなにするの
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ただ最適だからと言って、幸せになれるかどうかはわからない。
側から見て幸せそうだと思っても、本人が違うと思えば違うのだ。
(侑と恋人だった頃、俺は幸せだったけれど、侑にとってはそうじゃなかった)
それと一緒だと、ダームウェルは思う。相手のことを想ってやったことでも、当人が負担だと思えばそれは立派な迷惑行為だ。
レイノルドには、是非間違えないで欲しいと本心から思う。あんな思いをするのは自分だけでたくさんだ。
(それから、リーリエと兄者のことは放っておこう)
魔人同士の私闘は厳禁である。それは暗黙の了解となっていて、互いに鉢合わせしないようそれなりに気をつけて行動している。顔を合わせれば衝突は避けられないからだ。
(俺の匂いに気がついていたはずなのに…)
態々上書きしてやがった、とダームウェルは舌打ちする。こんなやり方は宣戦布告と捉えて然るべしである。勿論このまま見過ごすことは出来ない。
(兄者に目をつけられたのなら、ますます龍之介はレイノルドのところにいた方がいい)
先の旅の様子を見るからに、獣人とも良好な関係を築いていけるだろう。好意は受け取れるだけ受け取っておくのがいい。それがいざという時必ず助けとなるはずだから。
「…とりあえず俺も、暫くはこっちにいるとするか」
龍之介には適度なガス抜きも必要だろう。話し相手くらいにはなってやれるだろうしと、ダームウェルは立ち上がる。
その前に、少し身辺を綺麗にしておかないといけないなと、そんなことを考えながら。
「なあ、ただの性奴隷と恋人の性奴隷の違いってなんだと思う?」
「…知るかよ、そんなの…」
晴れて恋人同士となった龍之介とレイノルドであったが、やってることは以前とそれほど変わりがなかった。ただ細かい違いはやはりそれなりにあって、それに戸惑うことも少なくなかった。
よって、時々こんなふうに使用人を相手に相談みたいなことをすることもあった。相談というよりはまぁ、気持ち的には雑談の延長のようなものだったのだけれど。
「龍之介様は今の関係に何か不満があるのですか?」
「不満っていうか……不満かも」
「結局不満なんじゃねえか」
今日は仕事の休憩中にルクシュとミアを誘ってお茶を飲んでいた。ふたりともリーリエがいなくなったことで以前の忙しさが嘘のように消え、こうしてゆっくりお茶を飲む時間も確保出来るようになったのだそうだ。
「何が不満なんですか?」
「まず四六時中一緒なのがつらい」
「あぁー…それはまぁ、キツいな」
「だろ!?男にはひとりで過ごす時間も必要なんだよ!」
「レイノルド様も男の方ですけどね」
「アイツはちょっとおかしい!この間なんて仕事中で客が目の前にいるのに俺の尻触ってきたんだぞ!?それが恋人にする仕打ちかよ!!?」
「……それは見せられた方が被害者なのでは…」
「俺だって立派な被害者だ!」
「嫌なら話し合えば良いのではないですか?今は恋人なのですから、嫌なことは嫌と言っていいと思います」
「やめろ!じゃ、伝わってないってこと…?嘘だろ…?」
「その可能性はありますね。性奴隷の時と同じ反応をしていたのでは、レイノルド様もわからないのだと思います。龍之介様が本当に本心からやめろと思っていることに、レイノルド様が気がついていない可能性は充分にあると思いますよ」
「マジかよ…」
そんな鈍いの?あの人…
「俺結構強めに拒否ってるつもりだったんだけどな…」
「……あれだ、お前の場合真顔で言った方が効果あると思う。怒ったり怯えたりして言うと、多分レイノルド様喜んじゃうと思うから…」
「詳しいのね、ルクシュ」
「…………(墓穴掘った…)」
側から見て幸せそうだと思っても、本人が違うと思えば違うのだ。
(侑と恋人だった頃、俺は幸せだったけれど、侑にとってはそうじゃなかった)
それと一緒だと、ダームウェルは思う。相手のことを想ってやったことでも、当人が負担だと思えばそれは立派な迷惑行為だ。
レイノルドには、是非間違えないで欲しいと本心から思う。あんな思いをするのは自分だけでたくさんだ。
(それから、リーリエと兄者のことは放っておこう)
魔人同士の私闘は厳禁である。それは暗黙の了解となっていて、互いに鉢合わせしないようそれなりに気をつけて行動している。顔を合わせれば衝突は避けられないからだ。
(俺の匂いに気がついていたはずなのに…)
態々上書きしてやがった、とダームウェルは舌打ちする。こんなやり方は宣戦布告と捉えて然るべしである。勿論このまま見過ごすことは出来ない。
(兄者に目をつけられたのなら、ますます龍之介はレイノルドのところにいた方がいい)
先の旅の様子を見るからに、獣人とも良好な関係を築いていけるだろう。好意は受け取れるだけ受け取っておくのがいい。それがいざという時必ず助けとなるはずだから。
「…とりあえず俺も、暫くはこっちにいるとするか」
龍之介には適度なガス抜きも必要だろう。話し相手くらいにはなってやれるだろうしと、ダームウェルは立ち上がる。
その前に、少し身辺を綺麗にしておかないといけないなと、そんなことを考えながら。
「なあ、ただの性奴隷と恋人の性奴隷の違いってなんだと思う?」
「…知るかよ、そんなの…」
晴れて恋人同士となった龍之介とレイノルドであったが、やってることは以前とそれほど変わりがなかった。ただ細かい違いはやはりそれなりにあって、それに戸惑うことも少なくなかった。
よって、時々こんなふうに使用人を相手に相談みたいなことをすることもあった。相談というよりはまぁ、気持ち的には雑談の延長のようなものだったのだけれど。
「龍之介様は今の関係に何か不満があるのですか?」
「不満っていうか……不満かも」
「結局不満なんじゃねえか」
今日は仕事の休憩中にルクシュとミアを誘ってお茶を飲んでいた。ふたりともリーリエがいなくなったことで以前の忙しさが嘘のように消え、こうしてゆっくりお茶を飲む時間も確保出来るようになったのだそうだ。
「何が不満なんですか?」
「まず四六時中一緒なのがつらい」
「あぁー…それはまぁ、キツいな」
「だろ!?男にはひとりで過ごす時間も必要なんだよ!」
「レイノルド様も男の方ですけどね」
「アイツはちょっとおかしい!この間なんて仕事中で客が目の前にいるのに俺の尻触ってきたんだぞ!?それが恋人にする仕打ちかよ!!?」
「……それは見せられた方が被害者なのでは…」
「俺だって立派な被害者だ!」
「嫌なら話し合えば良いのではないですか?今は恋人なのですから、嫌なことは嫌と言っていいと思います」
「やめろ!じゃ、伝わってないってこと…?嘘だろ…?」
「その可能性はありますね。性奴隷の時と同じ反応をしていたのでは、レイノルド様もわからないのだと思います。龍之介様が本当に本心からやめろと思っていることに、レイノルド様が気がついていない可能性は充分にあると思いますよ」
「マジかよ…」
そんな鈍いの?あの人…
「俺結構強めに拒否ってるつもりだったんだけどな…」
「……あれだ、お前の場合真顔で言った方が効果あると思う。怒ったり怯えたりして言うと、多分レイノルド様喜んじゃうと思うから…」
「詳しいのね、ルクシュ」
「…………(墓穴掘った…)」
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