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とにかく優しい

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「レイノルドの性奴隷でいる以上、レイノルドからの要求には応える義務がある」
「でっ、すよねー…」

めちゃくちゃ冷静に諭され、龍之介はそりゃそうだよねと思ってしまう。
いくら生理的に無理なお願いをされたとしても、それはお願いされているだけマシなのである。
レイノルドには無理矢理やるという選択肢だってあるのだ。それこそ龍之介の意志なんてまるっと無視することだって出来るのだ。
だってレイノルドと龍之介は、決して対等な関係ではないのだから…

「でも、お前にだって感情はある。嫌なものは嫌だと伝える権利はある」
「言っても、聞いてもらえない場合は…」
「聞かざるを得ない状況にする、だな」
「例えば?」
「セックスさせないとか」
「俺に抵抗出来るとでも?」
「そこはまあ、俺が協力してやるよ」

とにかくお前らに必要なのは相互理解と話し合いだと、ダームウェルは言う。

「そりゃ確かに…そう思うけど、レイノルドって基本俺の話全然聞いてくれないんだよな…」
「それを、お前は嫌だと感じるんだな?レイノルドと仲良くしたいって気持ちがあるってことか?」
「仲良くしたい…」

したいかしたくないかで言えば、そりゃあした方がいいだろうとは思う。レイノルドの機嫌が良い方が、やっぱり色々やりやすいし。

「打算的だなぁ」
「しょうがねえだろ、死活問題なんだから」
「じゃあ俺がレイノルドがお前を買った時の金額、全部払ってやるって言ったらどうする?」
「んん?」
「レイノルドじゃなく、俺と一緒に来るか?」
「…………へっ?」

予想外のダームウェルの発言に、頓狂な声が出る。

「いや、いやいや、それってお前になんのメリットが…?」
「お前を攫って逃げることも可能だが、それじゃあ後味が悪いだろう。だが買った時の金額、それに幾らか上乗せしたっていい、それだけの金を払えば奴隷契約は破棄することも可能だろう」

幸い服従の呪いも隷属の誓いもしていない状態だしな、とダームウェルは続ける。

「お前とレイノルドを繋いでいるのは金だけだ。お前が本当にレイノルドと決別したいなら、俺は協力してやるぜ?」
「でも、そんな金、俺返せねえよ」
「それはまあ、追々考えるとして」

とりあえずそういう解決方法もあるってことは考慮して結論を出せよとダームウェルは言う。

「結論…」
「レイノルドはお前を孕ませたい、子供を産ませたい。お前は産みたくない、もう少し対話をしたい、だろ?」
「う、うん」
「場の用意はしてやるから、しっかり話し合え。話し合っても解決しないようなら自分の気持ちをいちばんに考えろ。どんな答えでも、俺はお前の味方をしてやるから」
「……なんで、そこまで…」

してくれるわけ?と聞こうとしたけれど、なんとなく最後まで言えなかった。
なんでかは、よくわからなかったのだけれど。


「……ありがと、助かる」
「ハハッ、どう致しまして」

代わりに告げた感謝の言葉は思いの外照れ臭くて、それから暫くの間、龍之介は顔を上げられなかった。
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