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ライオンもネコ科
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次に目を覚ました時、龍之介は薄暗い洞窟の中にいた。
「えっ」
あれ、これ夢?と龍之介は瞬きを繰り返す。けれど当然のことながら夢ではなかった。
「漸く起きたか」
「う、うわぁっ」
背後で突然、知らない男の声がした。酒焼けか?と思うほどしゃがれたハスキーな声音だった。
反射的に振り向くと、めちゃくちゃ彫りの深い金髪の美青年が座っていた。というか龍之介の体を抱く形でぴったりくっついていた。
なにごと!?と、龍之介は驚きと衝撃で「ヒャッ」と変な声を出す。
すると、クッと笑われてしまった。
「なんだぁ、その変な声」
「だ、だだだって、」
「お前の体が冷え切って氷みたいだったから、温めてやってたんだろうが」
「え?あ、そ、そりゃどうも…?」
言われてみれば体がほんわかあったかい。
このひと、めちゃくちゃ体温高くない?という顔で見つめていると、目が合ってしまった。綺麗な金茶色の瞳である。ジッと見ていると、その瞳孔が丸いことに気づく。
(あ、そう言えば俺、川にいて…)
直近の記憶が、じわじわと蘇ってくる。そうだ、自分は川で汗と汚れを落としていて、その最中に……
「あれ?ライオン…?」
「思い出したか?随分緊張感のない人間だな」
「にん…え、なんで人の顔…??」
「獣の顔のままだと怖がられると思って、人の形に変化しといたんだ、気が利くだろ?」
「き、持ちは有難いけど、その顔もまあまあ迫力ある…ぜ…?」
「なんで疑問系なんだよ」
「いや、だって」
ハリウッドスターばりのイケメンである。正直レイノルドより美形の奴なんてこの世に存在しないのでは?と思っていたのだけれど、いた。ここにいた。タイプは違うが、この男、かなりのイケメンである。
なんていうか、こう、全体的に眩しいのだ。
(語彙力がなくて説明出来ない…!けど、多分、俺が今まで出会った中でいちばん華やかなイケメンだ…!!)
緩やかな癖のある金髪はライオンの立髪を彷彿とさせた。平行二重の目はかなり印象的で、目力が半端ない。睫毛もバッサバサでその上黄金色である。なんかもう、色々とすごい。黙って静止してたら絵画みたいである。芸術作品の域。
「なんだ、俺の美貌に見惚れてんのか?」
「うん、マジですごいな」
「…素直かよ」
「彫刻みたい、ちょっと感動すら覚える」
「………………」
「……………?」
「お前、可愛いな」
僅かな沈黙の後、頤を掴まれ唐突にキスされる。
え、と思った時には、もう深いキスになっていた。
「ん、んんっ!?」
ぬるり、と熱い舌がはいりこんでくる。そのまま歯列をなぞられ、ゆっくりと上顎を舐められた。思わず、背筋がぞくっとする。
びくびくと反応する体を嬲るように、男は執拗にキスをしてきた。抵抗しようと腕で突っぱねるが、全く歯が立たない。両腕を掴まれて、逆に身動きを封じられてしまう。そしてそのまま、何度も角度を変えて唇を吸われた。
ちゅっ、ちゅっ、と音を立てながら戯れのようにキスが降ってくる。と思ったら唐突に深くくちづけられ、あっという間に舌を絡めとられてしまう。緩急のつけ方が絶妙で、龍之介は息をするのも忘れて男からのキスをただ受け入れてしまう。
くちゅくちゅ、ちゅぱちゅぱ、ちゅっちゅ、とチュパ音が止まらない。ザラザラとした舌の感触に、感じたことのない甘美な快感を呼び覚まされそうになる。この舌であちこち舐められたらきっとひとたまりもない。キスだけでこんなに感じるなんて、嘘みたいな話だった。
最後に口内に溜まった唾液をじゅるっと啜られ、漸く唇が離される。
「…なんて顔してんだ」
そんなに気持ち良かったか?と男が笑う。
細められたその金茶色の瞳の奥に、獰猛な肉食獣の本能を見た気がして、龍之介は思わず喉を鳴らす。
(……ていうかそもそも、この人だれ…?)
なんで俺、こんなところにいるんだっけ?
そんな根本的な疑問がやっと脳裏を過ったけれど、その時にはもう、何もかもが遅かった。
「えっ」
あれ、これ夢?と龍之介は瞬きを繰り返す。けれど当然のことながら夢ではなかった。
「漸く起きたか」
「う、うわぁっ」
背後で突然、知らない男の声がした。酒焼けか?と思うほどしゃがれたハスキーな声音だった。
反射的に振り向くと、めちゃくちゃ彫りの深い金髪の美青年が座っていた。というか龍之介の体を抱く形でぴったりくっついていた。
なにごと!?と、龍之介は驚きと衝撃で「ヒャッ」と変な声を出す。
すると、クッと笑われてしまった。
「なんだぁ、その変な声」
「だ、だだだって、」
「お前の体が冷え切って氷みたいだったから、温めてやってたんだろうが」
「え?あ、そ、そりゃどうも…?」
言われてみれば体がほんわかあったかい。
このひと、めちゃくちゃ体温高くない?という顔で見つめていると、目が合ってしまった。綺麗な金茶色の瞳である。ジッと見ていると、その瞳孔が丸いことに気づく。
(あ、そう言えば俺、川にいて…)
直近の記憶が、じわじわと蘇ってくる。そうだ、自分は川で汗と汚れを落としていて、その最中に……
「あれ?ライオン…?」
「思い出したか?随分緊張感のない人間だな」
「にん…え、なんで人の顔…??」
「獣の顔のままだと怖がられると思って、人の形に変化しといたんだ、気が利くだろ?」
「き、持ちは有難いけど、その顔もまあまあ迫力ある…ぜ…?」
「なんで疑問系なんだよ」
「いや、だって」
ハリウッドスターばりのイケメンである。正直レイノルドより美形の奴なんてこの世に存在しないのでは?と思っていたのだけれど、いた。ここにいた。タイプは違うが、この男、かなりのイケメンである。
なんていうか、こう、全体的に眩しいのだ。
(語彙力がなくて説明出来ない…!けど、多分、俺が今まで出会った中でいちばん華やかなイケメンだ…!!)
緩やかな癖のある金髪はライオンの立髪を彷彿とさせた。平行二重の目はかなり印象的で、目力が半端ない。睫毛もバッサバサでその上黄金色である。なんかもう、色々とすごい。黙って静止してたら絵画みたいである。芸術作品の域。
「なんだ、俺の美貌に見惚れてんのか?」
「うん、マジですごいな」
「…素直かよ」
「彫刻みたい、ちょっと感動すら覚える」
「………………」
「……………?」
「お前、可愛いな」
僅かな沈黙の後、頤を掴まれ唐突にキスされる。
え、と思った時には、もう深いキスになっていた。
「ん、んんっ!?」
ぬるり、と熱い舌がはいりこんでくる。そのまま歯列をなぞられ、ゆっくりと上顎を舐められた。思わず、背筋がぞくっとする。
びくびくと反応する体を嬲るように、男は執拗にキスをしてきた。抵抗しようと腕で突っぱねるが、全く歯が立たない。両腕を掴まれて、逆に身動きを封じられてしまう。そしてそのまま、何度も角度を変えて唇を吸われた。
ちゅっ、ちゅっ、と音を立てながら戯れのようにキスが降ってくる。と思ったら唐突に深くくちづけられ、あっという間に舌を絡めとられてしまう。緩急のつけ方が絶妙で、龍之介は息をするのも忘れて男からのキスをただ受け入れてしまう。
くちゅくちゅ、ちゅぱちゅぱ、ちゅっちゅ、とチュパ音が止まらない。ザラザラとした舌の感触に、感じたことのない甘美な快感を呼び覚まされそうになる。この舌であちこち舐められたらきっとひとたまりもない。キスだけでこんなに感じるなんて、嘘みたいな話だった。
最後に口内に溜まった唾液をじゅるっと啜られ、漸く唇が離される。
「…なんて顔してんだ」
そんなに気持ち良かったか?と男が笑う。
細められたその金茶色の瞳の奥に、獰猛な肉食獣の本能を見た気がして、龍之介は思わず喉を鳴らす。
(……ていうかそもそも、この人だれ…?)
なんで俺、こんなところにいるんだっけ?
そんな根本的な疑問がやっと脳裏を過ったけれど、その時にはもう、何もかもが遅かった。
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