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体力の限界
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「もう、動けない…」
体力の限界を感じる。精も根も尽き果て、頽れるように倒れ込む龍之介に、狼くんは申し訳なさそうに内眉を下げる。
「すみません、調子に乗り過ぎました…」
「いや、俺も…そこは同罪だから…」
とりあえずこの惨状をどうにかしないといけない、と龍之介はぐったりしながらも考える。
もうじきレイノルドも帰ってくる頃合いだ。しかしこの部屋はもう使い物にならないくらいに荒れていた。
(シーツもカバーも精子でぐっちょぐちょ…)
しかも窓ガラスも割れている。興奮していて気づかなかったが窓の周辺は割れたガラスの破片まみれだ。こんなのをレイノルドが見たらなんと言うか…
「部屋は変えてもらいましょう。魔人が来たと言えば対応してもらえるはずです」
「え、そんなん出来るの?」
「魔人による被害は謂わば天災ですから…少なくともあなたが責められる様なことにはならないと思います」
「そ、そうなんだ…」
でもこの、いかにもヤリまくりましたって部屋の惨状はどう説明するの?という顔をした龍之介に、「それも大丈夫です」と狼くんはこたえる。
「こういったことは、この国では日常茶飯事なので…」
「あ…そうなんだ…?」
所謂お国柄というやつだろうか。性欲旺盛な獣人国あるあるなんだろうか…
「でもそのお体は清めないといけませんね。私は魔力操作が得意ではないので、浴室までお付き合い頂くことになりますが…」
「洗浄魔法ってやつ?そりゃ使えれば楽だけど、俺はここまで汚れると、正直風呂に入りたいよ」
「…なら、良かったです。湯の用意をして参りますね」
狼くんはその後も手際よくお世話をしてくれた。人の世話をし慣れている感じがすごい。そしてそれがとても心地良い。
(甘やかされるの、いいわぁ…)
汗で濡れた髪も洗ってくれる。至れり尽くせりである。
(ていうか俺、奴隷の分際でこんな扱い、いいのかな…)
まるで貴賓扱いである。慌てて自分で洗うからと伝えると、狼くんは笑って(多分)やんわりそれを拒絶した。
「あなたの身分がどうであれ、あの方のお連れの方という時点で、私たちからすれば尽くすに値するお方なのですよ」
「そ、そうかなあ…」
正直、そんなふうには思えなかった。たまたま最初に出会った獣人が彼と虎くんとうさぎさんで、彼らは龍之介にとっても親切だったけれど
(その後移動の先々で顔を合わせた獣人たちの印象は、決してよくなかった…)
あからさまな侮蔑、嘲笑、下品な視線。
隙を見せれば、犯られると思った。レイノルドやエルヴィンは夜半に出かけることも多いし、夜明けまで帰らないこともある。
この国では魔法はあまり一般的ではないらしく、魔力阻害の地区も多いと聞いた。レイノルドのかけてくれた保護魔法も万全には機能しないのではないか、と不安になることもあったし、そもそもよってたかってレイプされたとして、あのレイノルドがそれをどう思うのか?という疑問もあった。
(もしかしたら、犯られてる俺をみて愉しむ可能性も……捨てきれないんだよなぁ…)
可愛がられてはいても、レイノルドと龍之介は恋人同士なわけではない。
あくまで性奴隷と、ご主人様の関係だ。レイノルドが性的に興奮する為の道具として存在しているのだから、彼が他人と寝ている自分をよしとするなら龍之介にはそれを拒む権利はない。
体力の限界を感じる。精も根も尽き果て、頽れるように倒れ込む龍之介に、狼くんは申し訳なさそうに内眉を下げる。
「すみません、調子に乗り過ぎました…」
「いや、俺も…そこは同罪だから…」
とりあえずこの惨状をどうにかしないといけない、と龍之介はぐったりしながらも考える。
もうじきレイノルドも帰ってくる頃合いだ。しかしこの部屋はもう使い物にならないくらいに荒れていた。
(シーツもカバーも精子でぐっちょぐちょ…)
しかも窓ガラスも割れている。興奮していて気づかなかったが窓の周辺は割れたガラスの破片まみれだ。こんなのをレイノルドが見たらなんと言うか…
「部屋は変えてもらいましょう。魔人が来たと言えば対応してもらえるはずです」
「え、そんなん出来るの?」
「魔人による被害は謂わば天災ですから…少なくともあなたが責められる様なことにはならないと思います」
「そ、そうなんだ…」
でもこの、いかにもヤリまくりましたって部屋の惨状はどう説明するの?という顔をした龍之介に、「それも大丈夫です」と狼くんはこたえる。
「こういったことは、この国では日常茶飯事なので…」
「あ…そうなんだ…?」
所謂お国柄というやつだろうか。性欲旺盛な獣人国あるあるなんだろうか…
「でもそのお体は清めないといけませんね。私は魔力操作が得意ではないので、浴室までお付き合い頂くことになりますが…」
「洗浄魔法ってやつ?そりゃ使えれば楽だけど、俺はここまで汚れると、正直風呂に入りたいよ」
「…なら、良かったです。湯の用意をして参りますね」
狼くんはその後も手際よくお世話をしてくれた。人の世話をし慣れている感じがすごい。そしてそれがとても心地良い。
(甘やかされるの、いいわぁ…)
汗で濡れた髪も洗ってくれる。至れり尽くせりである。
(ていうか俺、奴隷の分際でこんな扱い、いいのかな…)
まるで貴賓扱いである。慌てて自分で洗うからと伝えると、狼くんは笑って(多分)やんわりそれを拒絶した。
「あなたの身分がどうであれ、あの方のお連れの方という時点で、私たちからすれば尽くすに値するお方なのですよ」
「そ、そうかなあ…」
正直、そんなふうには思えなかった。たまたま最初に出会った獣人が彼と虎くんとうさぎさんで、彼らは龍之介にとっても親切だったけれど
(その後移動の先々で顔を合わせた獣人たちの印象は、決してよくなかった…)
あからさまな侮蔑、嘲笑、下品な視線。
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この国では魔法はあまり一般的ではないらしく、魔力阻害の地区も多いと聞いた。レイノルドのかけてくれた保護魔法も万全には機能しないのではないか、と不安になることもあったし、そもそもよってたかってレイプされたとして、あのレイノルドがそれをどう思うのか?という疑問もあった。
(もしかしたら、犯られてる俺をみて愉しむ可能性も……捨てきれないんだよなぁ…)
可愛がられてはいても、レイノルドと龍之介は恋人同士なわけではない。
あくまで性奴隷と、ご主人様の関係だ。レイノルドが性的に興奮する為の道具として存在しているのだから、彼が他人と寝ている自分をよしとするなら龍之介にはそれを拒む権利はない。
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