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据え膳は食べません
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「あの…すみませんが、離れてもらえますか」
このままだとおさまりそうにないので、と狼くんは申し訳なさそうにそう言った。
そこで龍之介は漸くハッとする。そういえば、くっついたままであった。
「ご、ごめん!」
「いえ…」
こちらの問題ですから、と狼くんは龍之介を抱く手を離すとパッと後ろを向く。
「念の為、警護は継続します。先程のようなことがあってはいけないので、部屋の中にいることを許して頂ければと思うのですが…」
「それは、構わないけど…」
それ、どうすんの?ほっといてしずまんの?
(…て、聞きたいけど、聞いたら墓穴掘りそうなんだよなぁ…)
後ろを向いたのも、自分に対する配慮なのだろうと思う。本当によく出来た子である。虎くんも同い年らしいが、あちらに比べても狼くんの言動は大人びているし理性的な感じがする。
性欲なんてものに振り回されなければ、寧ろ堅物系の臭いすらするくらいだ。
(なんかこう、母性本能がくすぐられるタイプというか…)
いやこの場合父性か?とまたしてもくだらないことを真顔で考えていると、「あの…」と狼くんが話しかけてきた。
龍之介は慌てて「なっ、なにっ?」と上擦った声を出す。
「一度出さないと……なので、申し訳ありませんが、少し離れていてくれませんか」
「あっ、あぁ…」
つまり自慰行為をするからこっちを見るな、と言いたいのだろう。
龍之介は言われた通りに部屋の隅へと移動する。そして、小刻みに動く腕の動きと微かに聴こえてくる息遣いを黙って見守る。う、ううん、この気まずさよ…
(わかってる、部屋の外へ出ないのは俺を警護する為、自慰行為は俺を襲わない為、)
全部自分の為にしていることである。それを責める気は毛頭ないし、寧ろ手伝ってやりたいとすら思っている。
(ああ…なんか、今更ながらあの時のダームウェルの気持ちがわかるような…)
立場こそ違うが、状況的には近いものがある。最もあの時は、自分からダームウェルを巻き込んだのだけれど…
そんなことを考えている間にも、室内には淫らな音が響きはじめていた。
ニチニチとカウパーを擦りつける音に、先程とは別の意味でゾワゾワした感覚が走る。ずく、と体の奥が疼く。これは、完全につられてしまったなぁ…
(くそ、ムラムラする…)
だが流石に相手をしてくれとは言えない。言いたくない。困らせるのは本意ではないし、そもそもレイノルドのいないところでそれはマズいだろ、という意識もあった。
そうなると、もう自分でなんとかするしかない。
(背中向けてるし…、少しならバレないだろ…)
龍之介はこっそり着衣をゆるめると、唾液を溜めて、指を濡らす。
その指を、ずらした下着の中に潜り込ませた。
このままだとおさまりそうにないので、と狼くんは申し訳なさそうにそう言った。
そこで龍之介は漸くハッとする。そういえば、くっついたままであった。
「ご、ごめん!」
「いえ…」
こちらの問題ですから、と狼くんは龍之介を抱く手を離すとパッと後ろを向く。
「念の為、警護は継続します。先程のようなことがあってはいけないので、部屋の中にいることを許して頂ければと思うのですが…」
「それは、構わないけど…」
それ、どうすんの?ほっといてしずまんの?
(…て、聞きたいけど、聞いたら墓穴掘りそうなんだよなぁ…)
後ろを向いたのも、自分に対する配慮なのだろうと思う。本当によく出来た子である。虎くんも同い年らしいが、あちらに比べても狼くんの言動は大人びているし理性的な感じがする。
性欲なんてものに振り回されなければ、寧ろ堅物系の臭いすらするくらいだ。
(なんかこう、母性本能がくすぐられるタイプというか…)
いやこの場合父性か?とまたしてもくだらないことを真顔で考えていると、「あの…」と狼くんが話しかけてきた。
龍之介は慌てて「なっ、なにっ?」と上擦った声を出す。
「一度出さないと……なので、申し訳ありませんが、少し離れていてくれませんか」
「あっ、あぁ…」
つまり自慰行為をするからこっちを見るな、と言いたいのだろう。
龍之介は言われた通りに部屋の隅へと移動する。そして、小刻みに動く腕の動きと微かに聴こえてくる息遣いを黙って見守る。う、ううん、この気まずさよ…
(わかってる、部屋の外へ出ないのは俺を警護する為、自慰行為は俺を襲わない為、)
全部自分の為にしていることである。それを責める気は毛頭ないし、寧ろ手伝ってやりたいとすら思っている。
(ああ…なんか、今更ながらあの時のダームウェルの気持ちがわかるような…)
立場こそ違うが、状況的には近いものがある。最もあの時は、自分からダームウェルを巻き込んだのだけれど…
そんなことを考えている間にも、室内には淫らな音が響きはじめていた。
ニチニチとカウパーを擦りつける音に、先程とは別の意味でゾワゾワした感覚が走る。ずく、と体の奥が疼く。これは、完全につられてしまったなぁ…
(くそ、ムラムラする…)
だが流石に相手をしてくれとは言えない。言いたくない。困らせるのは本意ではないし、そもそもレイノルドのいないところでそれはマズいだろ、という意識もあった。
そうなると、もう自分でなんとかするしかない。
(背中向けてるし…、少しならバレないだろ…)
龍之介はこっそり着衣をゆるめると、唾液を溜めて、指を濡らす。
その指を、ずらした下着の中に潜り込ませた。
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