上 下
59 / 239

虎くんと狼くん

しおりを挟む
「人間のオスに興味は?」

レイノルドが問いかける。虎くんと狼くんは互いに顔を見合わせて暫しの沈黙を守った後、ふたり同時に頷いた。

「「そりゃ、あります」」

けど、と狼の方が言葉を続ける。

「恐れながら、我々の生殖器では其方の方を壊してしまいます。下手をすれば殺してしまいかねません」
「勿論加減はしてもらう。ある程度の魔力は持っているだろう?」
「それは、当然多少はありますが…それでも人間が我々のペニスを受け入れられるとはとても思えません」
「だ、そうだよ?リュウ」

お前はどう思う?と話の矛先を向けられ龍之介は即答する。

「はあ、無理ですね」
「でもお前は私のものを毎晩受け入れているだろう?」
「それは、俺に合わせたサイズでの話だろ」
「ほら、大丈夫だそうだよ」

はっ!?と龍之介はレイノルドの顔を二度見する。今の会話の流れの何処でそういう帰結となるのかまるでわからない!

だがレイノルドのその発言を切欠に、目の前の獣人ふたりの目の色があきらかに変わったのを感じた。
あっ、もしかしてその気に…?と思ったその瞬間、後ろからレイノルドの手が伸びてきた。そのまま簡単に龍之介の体は羽交締めされてしまう。

「え、えっ?」
「まずは口でご奉仕してやれ」

口淫は得意だろう?とレイノルドが背後で微笑う。この野郎、と龍之介は顔だけを後ろに向けてレイノルドを睨みつけた。

(この、顔…!)

非常にむかつく顔をしている。目と目が合った瞬間にニイッと喜色満面の笑みで微笑まれ、龍之介は本気で嫌な気分になった。本当に、何処までも悪趣味な主人である。




(………あ、)

気がつけば、目の前に虎と狼が立っていた。
ちょうど龍之介の顔のあたりにふたりの股間がある。なんというか…山、である。

(それ以外の感想が出てこない)

こんな巨大なテント見たことがない。漫画でもない。思わず笑ってしまいそうになる絵面だが、それが現実逃避であることはよくわかっていた。

「リュウ」
「…急かすなよ」

背後から名前を呼ばれ、意を決する。無言のまま突き出されたそれを、龍之介は緩慢な動作で取り出していった。

カチャカチャと音を鳴らしながらベルトをゆるめ、ジッパーをおろす。すると、弾かれるように巨大なちんこがブルン!とスラックスの中から勢い良く飛び出してきた。

「でっ、か!」

思わず、そう口に出してしまった。すると、先に取り出した方の狼くんが頭上で微かに笑う気配がする。
それは馬鹿にした笑いというよりは思いがけず出た、といった類いのもののようで、何故だかそれを聞いた龍之介は彼に親近感を覚えたのであった(むしろ、好印象ですらあった)


「じ、自分のも…!」

あまりのデカさに狼くんのちんこと暫し見つめ合いをしていると、隣りから急いた感じで虎くんの股間も押しつけられてきた。
あんま焦んなよと言いたくなったが、顔を見たらそんな軽口は叩けなくなってしまう。何故ならその顔はまごうことなき虎だからである。

黄褐色で黒い縞模様が特徴的な典型的な雄虎だった。
その目は橙色で、瞳孔は黒い。間近で見ると、途轍もない迫力である。正直、怖い。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

異世界のオークションで落札された俺は男娼となる

mamaマリナ
BL
 親の借金により俺は、ヤクザから異世界へ売られた。異世界ブルーム王国のオークションにかけられ、男娼婦館の獣人クレイに買われた。  異世界ブルーム王国では、人間は、人気で貴重らしい。そして、特に日本人は人気があり、俺は、日本円にして500億で買われたみたいだった。  俺の異世界での男娼としてのお話。    ※Rは18です

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...