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相談と下準備
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「私ならついて行くけれど。一瞬たりともレイノルド様と離れていたくないもの」
「そういう…ベクトルで聞いてるわけでは…」
なくてですね、と龍之介は頭を抱える。
いくら話せる相手がリーリエしかいないからと言って、相談する人間を間違えたとしか思えない答えが返ってきてしまった。
「でも一緒に行くとレイノルド以外の奴に犯られちまうわけで…」
「私なら返り討ちに出来るもの」
「そりゃ、リーリエならね…」
「少しだけなら、異能を分けてあげましょうか?」
「えっ、」
今の私は魔力制限がかけられているから、たいしたものはあげられないけれどとリーリエは前置きしてから龍之介の手首を取る。
「本当に嫌だと思った時、一度だけ相手の意識を乗っ取ることが出来るわ」
「な、なんか熱っ、熱いんだけどっ」
「指から魔力を注いでいるのよ、少しじっとしていて頂戴」
そう言ってリーリエは龍之介の手首に指で何やら図形らしきものを描いた。
指から直接体の中に何かが入り込んでくる感触に、体中がぞわぞわした。触れられた皮膚は焼けるように熱いのに、どこか気持ち良くも感じる。なんだか体感したことのない不思議な感覚だった。
「これでいいわ」
「あ、消えた」
「力を発動する時にしかあらわれない印よ。使う時はこの場所を右手の中指で強く押してね」
「強くって、どんくらい?」
「そうねえ…血が出るくらい?」
ひえっ、と変な声が出る。それって最早押すというより抉るということでは?と聞くと、リーリエはフフフと笑う。笑い事ではない。
「で、出来るかなあ…」
「爪を伸ばしておくといいわ。爪でなら抉りやすいでしょう」
「血が必要ってことなの?」
「それもだけど、右手の中指でやることに意味があるのよ」
「ふうん」
ありがとう、と龍之介は素直にお礼を言う。
なんだかんだ言って少しは優しいところもあるリーリエである。基本は横暴だけれど。
「でも獣人国なら私はついていけないわね。私、あの国出禁なのよ」
「えっ、そうなんだ?」
「まあ色々あって…」
「へえ…」
あんまり深くは聞かないでおこう、と龍之介は心に誓う。絶対血生臭い話になるだろうし。
「じゃあレイノルドが戻るまで屋敷にいるの?」
「三ヶ月も不在というなら、残る意味はないわね。レイノルド様が戻られるまでは別の場所で遊んでいようかしら」
「(ルクシュが大喜びしそうだなぁ)」
あ、じゃあ感覚共有も切るの?と尋ねれば、リーリエは「問題はそこなのよねえ」と物憂げな顔をする。
「龍之介の禁欲生活に付き合うのは御免だし、レイノルド様以外に抱かれる感覚を味わうのも不快だわ。でももし同行するのなら、道中レイノルド様とだってセックスはするでしょう?」
「まあ、たぶん」
「感覚共有って、都合の良い部分だけを切り取るわけにはいかないのよ。元の充分な魔力量があればある程度は可能だけれど、今の私には無理。だから龍之介の苦痛はそのまま私にとっても苦痛なの」
でも繋がっていないとレイノルド様とえっち出来ないし、悩みどころよねえとリーリエは溜息を吐く。
どんだけレイノルドとシたいんだろう、この人は…なんだか執念じみたものを感じて恐ろしくなる。今更だけど。
「そういう…ベクトルで聞いてるわけでは…」
なくてですね、と龍之介は頭を抱える。
いくら話せる相手がリーリエしかいないからと言って、相談する人間を間違えたとしか思えない答えが返ってきてしまった。
「でも一緒に行くとレイノルド以外の奴に犯られちまうわけで…」
「私なら返り討ちに出来るもの」
「そりゃ、リーリエならね…」
「少しだけなら、異能を分けてあげましょうか?」
「えっ、」
今の私は魔力制限がかけられているから、たいしたものはあげられないけれどとリーリエは前置きしてから龍之介の手首を取る。
「本当に嫌だと思った時、一度だけ相手の意識を乗っ取ることが出来るわ」
「な、なんか熱っ、熱いんだけどっ」
「指から魔力を注いでいるのよ、少しじっとしていて頂戴」
そう言ってリーリエは龍之介の手首に指で何やら図形らしきものを描いた。
指から直接体の中に何かが入り込んでくる感触に、体中がぞわぞわした。触れられた皮膚は焼けるように熱いのに、どこか気持ち良くも感じる。なんだか体感したことのない不思議な感覚だった。
「これでいいわ」
「あ、消えた」
「力を発動する時にしかあらわれない印よ。使う時はこの場所を右手の中指で強く押してね」
「強くって、どんくらい?」
「そうねえ…血が出るくらい?」
ひえっ、と変な声が出る。それって最早押すというより抉るということでは?と聞くと、リーリエはフフフと笑う。笑い事ではない。
「で、出来るかなあ…」
「爪を伸ばしておくといいわ。爪でなら抉りやすいでしょう」
「血が必要ってことなの?」
「それもだけど、右手の中指でやることに意味があるのよ」
「ふうん」
ありがとう、と龍之介は素直にお礼を言う。
なんだかんだ言って少しは優しいところもあるリーリエである。基本は横暴だけれど。
「でも獣人国なら私はついていけないわね。私、あの国出禁なのよ」
「えっ、そうなんだ?」
「まあ色々あって…」
「へえ…」
あんまり深くは聞かないでおこう、と龍之介は心に誓う。絶対血生臭い話になるだろうし。
「じゃあレイノルドが戻るまで屋敷にいるの?」
「三ヶ月も不在というなら、残る意味はないわね。レイノルド様が戻られるまでは別の場所で遊んでいようかしら」
「(ルクシュが大喜びしそうだなぁ)」
あ、じゃあ感覚共有も切るの?と尋ねれば、リーリエは「問題はそこなのよねえ」と物憂げな顔をする。
「龍之介の禁欲生活に付き合うのは御免だし、レイノルド様以外に抱かれる感覚を味わうのも不快だわ。でももし同行するのなら、道中レイノルド様とだってセックスはするでしょう?」
「まあ、たぶん」
「感覚共有って、都合の良い部分だけを切り取るわけにはいかないのよ。元の充分な魔力量があればある程度は可能だけれど、今の私には無理。だから龍之介の苦痛はそのまま私にとっても苦痛なの」
でも繋がっていないとレイノルド様とえっち出来ないし、悩みどころよねえとリーリエは溜息を吐く。
どんだけレイノルドとシたいんだろう、この人は…なんだか執念じみたものを感じて恐ろしくなる。今更だけど。
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