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とんでもねえな

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「リーリエは大陸でも悪名高い大量殺人犯のひとりだぞ。よく無事でいたな」
「…そういうことは早めに教えといてくれる?」


リーリエにスカウトされたその直後、大慌てで帰ってきたレイノルドとエルヴィンによって龍之介は無事保護(?)されたわけなのだが、そんな事実を今更ながらに聞かされ龍之介は震えあがる。

(大量殺人って…捕まったりしないわけ?)

なんでそんな危ない人が野放しになっているのか。理解に苦しむんですが。

「一応刑罰は受けている。残り百年はまともに戦闘出来ないはずだ」
「と、言いますと?」
「魔力に制限がかけられている。よって使える異能は半減しているはずだ」

それでもリーリエの持っている異能は人の精神を苛む類のものが多いそうで、敵に回すのは非常に厄介なのだそうだ。

「その上奴の父親には個人的な恩がある。蔑ろには出来ないというわけだな」
「あれで蔑ろにしていないつもり…だと…?」
「していないだろう。屋敷に滞在することを許可してる」
「よくわかんねえ判断基準だなぁ…」


とにかくリーリエが思ってる以上にヤバい奴だということはわかった。

「それにしても、本当によく殺されなかったな」
「感覚共有が功を奏したのかもしれませんね。なんと言ってもここ数日は、一緒にレイノルド様に抱かれていたようなものですし」
「…気色の悪いことを言うな」
「あ、でも似たようなことは言ってたかもな」
「そうでしょう?でなければあのリーリエ嬢が、そもそも逃してあげるなどと提案するはずがありません」

部屋に入れた時点で殺してしまえば済む話なのですから、とエルヴィンは恐ろしい事実を事もなげに言う。

「え、えー…」
「所謂温情措置、という奴ですね」
「確かにな。リーリエの希望通りのプレイをしただけの甲斐はあったな」
「おまっ、昨日俺にハメゲロさせたこともう忘れたんか…!」

あれのどこが希望通りなんだ!と激昂すれば、キスは多めにしただろうと返される。そういう問題ではない。

「そういう話は是非私のいないところでやって頂きたいですね」

非常に不快です、とエルヴィンは露骨に嫌な顔をする。

「エルヴィンさんて他の使用人たちとは雰囲気違うよな」
「私には獣人の要素はありませんので、他の方ほどセックスに興味執着はないのですよ」
「そんなことを言ってるから伴侶のひとりも見つけられずにいるのだろう。いい加減身を固めろと言われているのではなかったか?」
「伴侶がいないのはあなたも同じでしょう…そっくりそのままお返ししますよ?」
「生憎、今はリュウ以外を抱く気にはならないんでね」
「ならば彼と子供を作られては如何です?」

それなら後継者問題もひと段落つくでしょうし、うるさいことも言われなくなるのでは?と、エルヴィンはとんでもないことをさらりとのたまった。
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