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メンヘラはチョロかわ
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「そう!そうなのよ、私ばっかり責められて……おかしいと思わない?私、別に何も悪いことしてないのに!ねえ龍之介、そうは思わない?」
「思う思う、リーリエは何にも悪くない。周りの理解が足りてないんじゃない?」
「そうよね!全然理解してくれないのよ、いったいどうしてなのかしら?」
「どうしてなんだろうね?不思議だよね、俺なら絶対そんなこと言わないのに」
「龍之介…あなたって意外と…」
物の道理がわかっているのね、とリーリエは龍之介の手を取る。うーん、やっぱりメンヘラってチョロいなあ…
(これは、ちょっと心配になるチョロさだぞ…)
リーリエの言うことに反論せず、全部同意と共感を示すだけでこれである。よっぽどこの少女は誰からも理解されず、話を聞いてもらえずにきたのではないか…?と思わせる心の開き方である。距離の縮め方がえぐい。
(ちょっと気の毒になってきた)
確かに言ってることは横暴だし支離滅裂だ。しかしその根底には根深い孤立と孤独が見え隠れする。これは完全なる愛情不足の弊害なのでは…?と思ってしまう龍之介であった。
(現代なら、ここで絶対押し倒してるとこだけど…)
さすがに今の立場でそれは不味い。それに今は大人しいがこの少女もおそらく異能持ちだろう。ちょっとの抵抗でこっちは死にかねない。
と、なると
「…………つらかったんだね、リーリエ」
手をナデナデしながら優しい言葉をかけるだけにとどめておく。だがそれだけでもリーリエには充分だったらしい。リーリエは感激したのかなんなのかよくわからないが、とにかくボロボロと泣きはじめてしまった。ああマジに心配、チョロすぎこの子。
(悪い男にころっとひっかかりそう…)
そんなことを考えながら背中をさすっていると、バーン!とノックもなしにルクシュが部屋に乗り込んできた。
そして、泣いているリーリエとそれに寄り添う龍之介を見て、漫画みたいに取り乱しはじめる。
「えっ、……えっ?えっ、なに、なにこの状況……ま、まさか…」
「ヤッてない」
「え、ああ、そう…」
なんだ、とルクシュは途端につまらなそうな顔をする。こいつ…と思ったが、今はそれどころではない。
とりあえず邪魔だから出て行けと目線とジェスチャーで伝えると、とりあえず通じはしたのかルクシュはそのまま退室していった。リーリエだって、泣いているところを他の男に見られたくはないだろう。
「……優しいのね、龍之介」
ズビッと鼻を啜りながらリーリエが呟く。無言でティッシュを渡すとズビーっと鼻をかんで「ふう、」と気をとり直したように龍之介の方を見据える。
「泣いたらスッキリしたわ。こんな気持ち、久しぶりよ」
「スッキリしたなら、良かったよ」
「あなた、中々見どころがあるわ。感覚共有をかけていたせいで親近感がわくのかと思っていたけれど、それだけじゃないみたい」
私の下僕にしてあげてもよくってよ、とリーリエは良い笑顔でそう提案してくる。
(下僕かあ…)
それって性奴隷とどちらの方が身分的に上なのだろうか。
予想外の転職先を突然見つけてしまった龍之介であった。
「思う思う、リーリエは何にも悪くない。周りの理解が足りてないんじゃない?」
「そうよね!全然理解してくれないのよ、いったいどうしてなのかしら?」
「どうしてなんだろうね?不思議だよね、俺なら絶対そんなこと言わないのに」
「龍之介…あなたって意外と…」
物の道理がわかっているのね、とリーリエは龍之介の手を取る。うーん、やっぱりメンヘラってチョロいなあ…
(これは、ちょっと心配になるチョロさだぞ…)
リーリエの言うことに反論せず、全部同意と共感を示すだけでこれである。よっぽどこの少女は誰からも理解されず、話を聞いてもらえずにきたのではないか…?と思わせる心の開き方である。距離の縮め方がえぐい。
(ちょっと気の毒になってきた)
確かに言ってることは横暴だし支離滅裂だ。しかしその根底には根深い孤立と孤独が見え隠れする。これは完全なる愛情不足の弊害なのでは…?と思ってしまう龍之介であった。
(現代なら、ここで絶対押し倒してるとこだけど…)
さすがに今の立場でそれは不味い。それに今は大人しいがこの少女もおそらく異能持ちだろう。ちょっとの抵抗でこっちは死にかねない。
と、なると
「…………つらかったんだね、リーリエ」
手をナデナデしながら優しい言葉をかけるだけにとどめておく。だがそれだけでもリーリエには充分だったらしい。リーリエは感激したのかなんなのかよくわからないが、とにかくボロボロと泣きはじめてしまった。ああマジに心配、チョロすぎこの子。
(悪い男にころっとひっかかりそう…)
そんなことを考えながら背中をさすっていると、バーン!とノックもなしにルクシュが部屋に乗り込んできた。
そして、泣いているリーリエとそれに寄り添う龍之介を見て、漫画みたいに取り乱しはじめる。
「えっ、……えっ?えっ、なに、なにこの状況……ま、まさか…」
「ヤッてない」
「え、ああ、そう…」
なんだ、とルクシュは途端につまらなそうな顔をする。こいつ…と思ったが、今はそれどころではない。
とりあえず邪魔だから出て行けと目線とジェスチャーで伝えると、とりあえず通じはしたのかルクシュはそのまま退室していった。リーリエだって、泣いているところを他の男に見られたくはないだろう。
「……優しいのね、龍之介」
ズビッと鼻を啜りながらリーリエが呟く。無言でティッシュを渡すとズビーっと鼻をかんで「ふう、」と気をとり直したように龍之介の方を見据える。
「泣いたらスッキリしたわ。こんな気持ち、久しぶりよ」
「スッキリしたなら、良かったよ」
「あなた、中々見どころがあるわ。感覚共有をかけていたせいで親近感がわくのかと思っていたけれど、それだけじゃないみたい」
私の下僕にしてあげてもよくってよ、とリーリエは良い笑顔でそう提案してくる。
(下僕かあ…)
それって性奴隷とどちらの方が身分的に上なのだろうか。
予想外の転職先を突然見つけてしまった龍之介であった。
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