社畜サラリーマンの優雅な性奴隷生活

絶対に嫌われる。絶対にだ

（最悪のハメゲロだった…）

朝起きても尚喉と顎が痛い。昨夜のイラマは今までの中でもとびきりの最悪行為だった、と龍之介は回顧する。

そもそもあんな行為は絶対にやるべきじゃない。同意無しには。
イラマチオを喜んでやろうなんて女は真性のドMである。そして俺はドMじゃない。

確かにソフトなイラマであれば、それなりに応じてくれる女子もいるにはいる。
征服欲や支配欲を刺激されるし、龍之介自身だってやってみたことはあった。少しも興奮しなかったと言えば嘘になる。だがそれはあくまでソフトなイラマであって、昨夜のようなハードなイラマチオはAVの世界でしかやってはいけない危険プレイなのである…

（くっそ…！あれが俺のハメゲロ初体験かよ…！）

ゲロまみれの女（否、この場合は男か）に興奮するとかもう、もう…


「なんか、大切な何かを失った気がする…」

ああこうなるとダームウェルが懐かしい。遅漏だろうがなんだろうが、レイノルドと比べればまだあいつとのセックスの方が百万倍マシだった…


そんなことを考えながらベッドに突っ伏していると、今朝も早くから扉をノックする音が聞こえてくる。
このノックの仕方はルクシュだろう。
返事だけして顔を上げずに蹲ったままでいると、やがて遠慮なく扉は開かれ部屋の中に人が入ってくる気配がした。

（昨晩のこと、怒られるかなあ…）

いくらレイノルドのことが好きだろうと、昨夜の行為は酷過ぎた。俺が女の子だったらきっと一生もののトラウマになったに違いない。

（そう考えると、俺って案外タフなのかも…）

なんて呑気なことを考えていると、突然視界が広がった。ルクシュに無理矢理顔を引っ張り上げられたのである。

「おい、なにすんだ！」
「そりゃこっちの台詞だ！お前ら昨日どんなプレイしたんだ！？あのリーリエが今朝はベッドから起き上がってこなかったぞ！！」
「……え、」

これは、つまり、とうとうヤッたのか？

「…………愛想尽かした？」
「かもしれない？」
「や、」

やったーーー！！と2人そろって万歳してしまった。リーリエが漸くレイノルドの変態性を認めたのだ！これで後顧の憂いなくレイノルドのことを諦めてくれるに違いない！とふたりは抱き合って喜びを分かち合う。


「さすがのリーリエも、ハメゲロは許容出来なかったか！」
「えっ、そんなことしてたのお前、ひくわー」
「おまっ、俺が好きでやってると思うなよ」
「何されて吐いたん？」
「イラマゲロ」
「ああ～…」

俺のちんこでもやってくれる？とどさくさ紛れにルクシュが下半身をごそごそし出したので、龍之介は慌ててルクシュを部屋から追い出した。

「油断も隙もねえ…！」

どうしてこの屋敷の奴らはすぐに盛ってくるのだろうか？

「ま、でもこれでとりあえず命の危機は脱しただろ」

こっちは金で飼われて仕方なく相手をしているのに、横恋慕で命を狙われたのではたまったもんじゃない。

「感覚共有も切ってくれるだろうし、万々歳だな！」

龍之介は晴れ晴れとした気分で再びベッドに横たわる。今日はこのまま昼過ぎまで惰眠を貪ってやろうと、龍之介はフカフカのベッドに顔をぐりぐりと押しつけ熟睡の態勢に入ろうとする。


だがそんな簡単に事態が収束するのなら、そもそも性奴隷を買うなんて発想にまで至らないのである。つまり、解決なんて、ちっともしていないのであった。
そのことを龍之介が知るのは、ぐっすり寝て起きて更に5時間後のことである。