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異世界こわい
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「えーと、そこで、何をしてらっしゃる…?」
窓越しに話しかけてみる。聞こえているのかいないのか、少女は龍之介の声にまるで反応を示さない。
だがしかし、目はバッチリと合っていた。
「えっと…」
これはいったいどういう状況だろうか?
ぱっと見はどこからどう見ても使用人ではない。リボンとレースがこれでもかとついた裾のたっぷり膨らんだドレスは悪趣味ではあるが豪華ではある。
もしかして、この少女がエルヴィンの言っていたヤバい客だろうか。
(めちゃくちゃ美人ではあるんだけどなあ)
いかんせん、顔と洋服が合ってない。ついでに言うなら髪型と化粧もチグハグだ。
そのせいで素材の良さが死んでいる。何故この美少女はこんなに自分に似合わない格好をしているのだろうか?何かの罰ゲームだろうか??
「中…入りますか?」
そう、声をかけたその瞬間
それまで無表情だった少女の顔に、不気味な笑みが浮かんで見えた。
「げっ…」
ゾッとした。けれどすぐに視界から少女は消える。文字通り、目の前からその存在ごと忽然と消えてしまったのだ。
「え、えええ…」
何これおばけ?この世界にも幽霊とかって存在するの??
「エッ、エルヴィンさーーーん!!レイノルドーーーー!!!」
どっちでもいいから早く来てーー!!と龍之介は気付けば力の限り叫んでいた。いやもう無理、むりむりむり、オバケとか幽霊とか、ほんともう無理だから!!
しかし程なくして駆けつけてくれたレイノルドは龍之介の話を聞くと、渋い顔をしてすぐに部屋から出て行ってしまった。えっ、俺をすぐにひとりにすんなよおっと追い縋ったにも関わらず、レイノルドはこちらを振り返ることなく、風のように去って行ってしまった。
ひどい!ひどすぎる!!こんなに俺が怯えてるっていうのに!!!
それからレイノルドが戻ってきたのはとっぷり日が暮れてからのことだった。
顔を見たら文句のひとつでも言ってやろうと思っていたのに、その顔色の悪さを見たらそんな考えも吹き飛んでしまった。
「やられた…」
「なにが?」
「感覚共有をかけられた」
「かん…?え、なんて?」
感覚共有だ、とレイノルドは龍之介の目を真っ直ぐ見つめて繰り返した。そう言われても、やはり龍之介にはピンとこない。
「さっき窓の外にいた女と目が合っただろう。何か言わなかったか?」
「何か…?えっと、そこで何してるーとか、中入りますかー的なことは言ったかも…?」
「それだ」
ハァーッとレイノルドは深い溜息を吐いて頭を抱えた。本当に分かりやすく頭を両手で抱えていた。
「なんか、いけなかった?」
「そうだな…まあ、だが、怖がらせると思って何の説明もしていなかったこちらも悪かった。リュウ、お前は命を狙われている」
「とっ、」
とうとつすぎいい!と龍之介は言葉を失う。
文脈おかしくない?今そんな話してたっけ?と龍之介は話の前後関係を思い出そうとするが、まあそれはうまくいかない。混乱したまま説明を求めようとするも、それもうまくいかない。いったい何をどう聞けばいいかまるでわからなかった為である。
仕方がないので龍之介はレイノルドが話し出すのをただじっと待つことにする。
しかし、結局のところレイノルドの説明を聞いたところでさっぱり意味はわからなかった。
異世界こわい。
窓越しに話しかけてみる。聞こえているのかいないのか、少女は龍之介の声にまるで反応を示さない。
だがしかし、目はバッチリと合っていた。
「えっと…」
これはいったいどういう状況だろうか?
ぱっと見はどこからどう見ても使用人ではない。リボンとレースがこれでもかとついた裾のたっぷり膨らんだドレスは悪趣味ではあるが豪華ではある。
もしかして、この少女がエルヴィンの言っていたヤバい客だろうか。
(めちゃくちゃ美人ではあるんだけどなあ)
いかんせん、顔と洋服が合ってない。ついでに言うなら髪型と化粧もチグハグだ。
そのせいで素材の良さが死んでいる。何故この美少女はこんなに自分に似合わない格好をしているのだろうか?何かの罰ゲームだろうか??
「中…入りますか?」
そう、声をかけたその瞬間
それまで無表情だった少女の顔に、不気味な笑みが浮かんで見えた。
「げっ…」
ゾッとした。けれどすぐに視界から少女は消える。文字通り、目の前からその存在ごと忽然と消えてしまったのだ。
「え、えええ…」
何これおばけ?この世界にも幽霊とかって存在するの??
「エッ、エルヴィンさーーーん!!レイノルドーーーー!!!」
どっちでもいいから早く来てーー!!と龍之介は気付けば力の限り叫んでいた。いやもう無理、むりむりむり、オバケとか幽霊とか、ほんともう無理だから!!
しかし程なくして駆けつけてくれたレイノルドは龍之介の話を聞くと、渋い顔をしてすぐに部屋から出て行ってしまった。えっ、俺をすぐにひとりにすんなよおっと追い縋ったにも関わらず、レイノルドはこちらを振り返ることなく、風のように去って行ってしまった。
ひどい!ひどすぎる!!こんなに俺が怯えてるっていうのに!!!
それからレイノルドが戻ってきたのはとっぷり日が暮れてからのことだった。
顔を見たら文句のひとつでも言ってやろうと思っていたのに、その顔色の悪さを見たらそんな考えも吹き飛んでしまった。
「やられた…」
「なにが?」
「感覚共有をかけられた」
「かん…?え、なんて?」
感覚共有だ、とレイノルドは龍之介の目を真っ直ぐ見つめて繰り返した。そう言われても、やはり龍之介にはピンとこない。
「さっき窓の外にいた女と目が合っただろう。何か言わなかったか?」
「何か…?えっと、そこで何してるーとか、中入りますかー的なことは言ったかも…?」
「それだ」
ハァーッとレイノルドは深い溜息を吐いて頭を抱えた。本当に分かりやすく頭を両手で抱えていた。
「なんか、いけなかった?」
「そうだな…まあ、だが、怖がらせると思って何の説明もしていなかったこちらも悪かった。リュウ、お前は命を狙われている」
「とっ、」
とうとつすぎいい!と龍之介は言葉を失う。
文脈おかしくない?今そんな話してたっけ?と龍之介は話の前後関係を思い出そうとするが、まあそれはうまくいかない。混乱したまま説明を求めようとするも、それもうまくいかない。いったい何をどう聞けばいいかまるでわからなかった為である。
仕方がないので龍之介はレイノルドが話し出すのをただじっと待つことにする。
しかし、結局のところレイノルドの説明を聞いたところでさっぱり意味はわからなかった。
異世界こわい。
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