38 / 239
異世界こわい
しおりを挟む
「えーと、そこで、何をしてらっしゃる…?」
窓越しに話しかけてみる。聞こえているのかいないのか、少女は龍之介の声にまるで反応を示さない。
だがしかし、目はバッチリと合っていた。
「えっと…」
これはいったいどういう状況だろうか?
ぱっと見はどこからどう見ても使用人ではない。リボンとレースがこれでもかとついた裾のたっぷり膨らんだドレスは悪趣味ではあるが豪華ではある。
もしかして、この少女がエルヴィンの言っていたヤバい客だろうか。
(めちゃくちゃ美人ではあるんだけどなあ)
いかんせん、顔と洋服が合ってない。ついでに言うなら髪型と化粧もチグハグだ。
そのせいで素材の良さが死んでいる。何故この美少女はこんなに自分に似合わない格好をしているのだろうか?何かの罰ゲームだろうか??
「中…入りますか?」
そう、声をかけたその瞬間
それまで無表情だった少女の顔に、不気味な笑みが浮かんで見えた。
「げっ…」
ゾッとした。けれどすぐに視界から少女は消える。文字通り、目の前からその存在ごと忽然と消えてしまったのだ。
「え、えええ…」
何これおばけ?この世界にも幽霊とかって存在するの??
「エッ、エルヴィンさーーーん!!レイノルドーーーー!!!」
どっちでもいいから早く来てーー!!と龍之介は気付けば力の限り叫んでいた。いやもう無理、むりむりむり、オバケとか幽霊とか、ほんともう無理だから!!
しかし程なくして駆けつけてくれたレイノルドは龍之介の話を聞くと、渋い顔をしてすぐに部屋から出て行ってしまった。えっ、俺をすぐにひとりにすんなよおっと追い縋ったにも関わらず、レイノルドはこちらを振り返ることなく、風のように去って行ってしまった。
ひどい!ひどすぎる!!こんなに俺が怯えてるっていうのに!!!
それからレイノルドが戻ってきたのはとっぷり日が暮れてからのことだった。
顔を見たら文句のひとつでも言ってやろうと思っていたのに、その顔色の悪さを見たらそんな考えも吹き飛んでしまった。
「やられた…」
「なにが?」
「感覚共有をかけられた」
「かん…?え、なんて?」
感覚共有だ、とレイノルドは龍之介の目を真っ直ぐ見つめて繰り返した。そう言われても、やはり龍之介にはピンとこない。
「さっき窓の外にいた女と目が合っただろう。何か言わなかったか?」
「何か…?えっと、そこで何してるーとか、中入りますかー的なことは言ったかも…?」
「それだ」
ハァーッとレイノルドは深い溜息を吐いて頭を抱えた。本当に分かりやすく頭を両手で抱えていた。
「なんか、いけなかった?」
「そうだな…まあ、だが、怖がらせると思って何の説明もしていなかったこちらも悪かった。リュウ、お前は命を狙われている」
「とっ、」
とうとつすぎいい!と龍之介は言葉を失う。
文脈おかしくない?今そんな話してたっけ?と龍之介は話の前後関係を思い出そうとするが、まあそれはうまくいかない。混乱したまま説明を求めようとするも、それもうまくいかない。いったい何をどう聞けばいいかまるでわからなかった為である。
仕方がないので龍之介はレイノルドが話し出すのをただじっと待つことにする。
しかし、結局のところレイノルドの説明を聞いたところでさっぱり意味はわからなかった。
異世界こわい。
窓越しに話しかけてみる。聞こえているのかいないのか、少女は龍之介の声にまるで反応を示さない。
だがしかし、目はバッチリと合っていた。
「えっと…」
これはいったいどういう状況だろうか?
ぱっと見はどこからどう見ても使用人ではない。リボンとレースがこれでもかとついた裾のたっぷり膨らんだドレスは悪趣味ではあるが豪華ではある。
もしかして、この少女がエルヴィンの言っていたヤバい客だろうか。
(めちゃくちゃ美人ではあるんだけどなあ)
いかんせん、顔と洋服が合ってない。ついでに言うなら髪型と化粧もチグハグだ。
そのせいで素材の良さが死んでいる。何故この美少女はこんなに自分に似合わない格好をしているのだろうか?何かの罰ゲームだろうか??
「中…入りますか?」
そう、声をかけたその瞬間
それまで無表情だった少女の顔に、不気味な笑みが浮かんで見えた。
「げっ…」
ゾッとした。けれどすぐに視界から少女は消える。文字通り、目の前からその存在ごと忽然と消えてしまったのだ。
「え、えええ…」
何これおばけ?この世界にも幽霊とかって存在するの??
「エッ、エルヴィンさーーーん!!レイノルドーーーー!!!」
どっちでもいいから早く来てーー!!と龍之介は気付けば力の限り叫んでいた。いやもう無理、むりむりむり、オバケとか幽霊とか、ほんともう無理だから!!
しかし程なくして駆けつけてくれたレイノルドは龍之介の話を聞くと、渋い顔をしてすぐに部屋から出て行ってしまった。えっ、俺をすぐにひとりにすんなよおっと追い縋ったにも関わらず、レイノルドはこちらを振り返ることなく、風のように去って行ってしまった。
ひどい!ひどすぎる!!こんなに俺が怯えてるっていうのに!!!
それからレイノルドが戻ってきたのはとっぷり日が暮れてからのことだった。
顔を見たら文句のひとつでも言ってやろうと思っていたのに、その顔色の悪さを見たらそんな考えも吹き飛んでしまった。
「やられた…」
「なにが?」
「感覚共有をかけられた」
「かん…?え、なんて?」
感覚共有だ、とレイノルドは龍之介の目を真っ直ぐ見つめて繰り返した。そう言われても、やはり龍之介にはピンとこない。
「さっき窓の外にいた女と目が合っただろう。何か言わなかったか?」
「何か…?えっと、そこで何してるーとか、中入りますかー的なことは言ったかも…?」
「それだ」
ハァーッとレイノルドは深い溜息を吐いて頭を抱えた。本当に分かりやすく頭を両手で抱えていた。
「なんか、いけなかった?」
「そうだな…まあ、だが、怖がらせると思って何の説明もしていなかったこちらも悪かった。リュウ、お前は命を狙われている」
「とっ、」
とうとつすぎいい!と龍之介は言葉を失う。
文脈おかしくない?今そんな話してたっけ?と龍之介は話の前後関係を思い出そうとするが、まあそれはうまくいかない。混乱したまま説明を求めようとするも、それもうまくいかない。いったい何をどう聞けばいいかまるでわからなかった為である。
仕方がないので龍之介はレイノルドが話し出すのをただじっと待つことにする。
しかし、結局のところレイノルドの説明を聞いたところでさっぱり意味はわからなかった。
異世界こわい。
62
お気に入りに追加
1,616
あなたにおすすめの小説
異世界のオークションで落札された俺は男娼となる
mamaマリナ
BL
親の借金により俺は、ヤクザから異世界へ売られた。異世界ブルーム王国のオークションにかけられ、男娼婦館の獣人クレイに買われた。
異世界ブルーム王国では、人間は、人気で貴重らしい。そして、特に日本人は人気があり、俺は、日本円にして500億で買われたみたいだった。
俺の異世界での男娼としてのお話。
※Rは18です
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる