社畜サラリーマンの優雅な性奴隷生活

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生と死

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冗談じゃなく、生死の境を彷徨った。

…らしい?





「よう、起きたか」

目が覚めるとそこには渋面のダームウェルが龍之介の顔を覗き込むようにして立っていた。


「…………あれ?」
「意識、はっきりしてるか?俺の顔見えてるか?」
「…………見えてる…けど…」
「けど?」
「俺、てっきり死んだかと思ってた」
「死んでたよ、俺がいなかったらな」

やっぱり?と言うと、ダームウェルは深い溜息を吐いた。あの血の気が引いていく感じも脈拍の異常な速さも、かつて経験したことがないほどの異常事態だった。
今思い出してもゾッとする。完全にあの時龍之介は死の一歩手前にいたのだ。

「だから異種族間での性行為は嫌なんだ。特に人間は、すぐに壊れちまう」
「……俺だって好きで虚弱なわけじゃねえよ」
「そうだな、弱いのはお前のせいじゃない。弱い癖に異種族を惹きつけちまうのも、お前が悪いわけじゃないさ」

ダームウェルはそう言うと、龍之介の額に触れ、次に脈を取った。

「まだ熱が高いな。水は飲めるか?」
「あ、ああ…」
「ほら、口を開けろ」

飲みやすい様に少しだけ体を起こしてくれて、口元まで飲み物を運んでくれる。なんだか妙に甲斐甲斐しい。

「なんか、手慣れてる?」
「かもな」
「回復魔法が使えるくらいだし、仕事ってやっぱり医者とかそういうやつなわけ?」
「違う。けどまあ、たまに貴族に呼ばれてヒーラーの真似事をさせられることもあるな。今回のレイノルドからの依頼のように」
「レイノルド……」

そうだ、そう言えば彼はどうしただろうか。
レイノルドのことを考えたのが顔に出たのだろう、ダームウェルが「あいつは出禁にした」と言ってきた。

「出禁?」
「お前の体調が万全になるまではと接触を禁じたんだ。でなけりゃあいつは弱ってるお前を見て、またムラムラしておんなじことをやりやがるからな」
「ムラムラ…」

なんで弱ってるところを見るとムラムラするんだ?という顔をする龍之介に、ダームウェルは「変態だからだろ」「知るかよ」と返してくる。
その口調は、心底吐き気がするとでも言わんばかりの、不快感を存分に孕んだ物言いであった。

「なんだよ、アンタはまともな性癖だとでも言いたいわけ?」
「少なくとも、獣連中みたいに理性をなくしたセックスはしない」
「理性をなくした…」
「お前もわかっただろ、このままレイノルドに飼われていたら、いつか喰い殺されるぞ」
「くい、ころ…」


それは比喩でもなんでもなく、実際そうやって自分は死ぬのだろう。
ダームウェルにそう言われて、龍之介は妙に納得してしまった。

(多分、俺が死ぬのは、レイノルドに抱き潰されるか、レイノルドに飽きられた時だ)

そうはっきりと、自覚してしまった。


そんな龍之介を見て、ダームウェルはなんとも不愉快そうな顔をする。何故、そんな顔をするのか龍之介にはさっぱりわからなかったが、ダームウェルが龍之介とレイノルドの関係を不快に感じていることだけは理解出来た。
その理由は、よくわからなかったのだけれど。
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