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寝ても覚めても
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一度自覚してしまった性癖というのは厄介で、あれから何処で何をしていても誰を抱いていても頭の片隅にはいつもあの人間の男が居座っている。
(ひとのものを欲しがってはいけません)
それは健全なる世界のルール。
レイノルドは寛容な主人だ。彼の所有物に手を出して、あの程度で済んだことはむしろ僥倖である。なんだったら「いい趣味をしている」と褒められたくらいだ。
(けど、接近禁止を言い渡された)
リュウが怖がるから、とレイノルドは言った。
そうか、あの奴隷はリュウと言うのか。
それからというもの、ルクシュの頭の中はそのリュウのことでいっぱいになってしまった。
「そんなに良かったのか?」
「良かったっていうか…」
なんだろう、心が動いたのだ。
体ではなく心が騒いだ。
セックスは性欲を発散させる為の行為だし、その過程で相手が喜んでくれたならなお嬉しい。
だけどそれはあくまで二の次だ。相手の反応は実のところルクシュにとってはどうでも良かった。
円滑な関係を築く為に気を使うことはあっても、相手の為に奉仕したり反応を見て楽しんだりということはない。あくまでも大事なのはセックスという行為そのもので、もっというと気持ちよく射精出来るかどうかだった。
「なんていうか……感じてる顔、ずっと見ていたくなる、みたいな?」
「はあ?」
なにそれ変態じゃん、と使用人仲間のジャンに鼻で笑われ、呆れられる。
「だよなあ」とルクシュ自身もその感情に理解が出来ず、頭を掻き毟った。
「嫌がったり泣いたりした顔みてると、めちゃくちゃ興奮すんだ」
「は、マジで?人間てセックスで泣くんだ?」
「俺に抱かれるのが心底嫌だって、拒絶が半端なくてさ……でも触るとちゃんと感じてて、ちんこガン勃ちなの」
「感じてるならしたくないってわけじゃないんじゃん?人間てよくわかんないな」
「俺たちと違って、セックスに対する意識が違うんだってエルヴィンさんは言ってた。精神性を大事に?するとかなんとかって」
「それって好きな相手以外とはセックスしないとか、そういう話?」
「なのかね。獣人ハーフの俺たちにはよくわかんない感覚だけど…」
レイノルドに助けを求めるあの奴隷の顔を見ていると、征服欲がむくむくと頭をもたげてきた。
この奴隷にレイノルドより自分を求めさせたら、いったいどんな気持ちになるだろう?と
そんなことばかりを考えている。おかげでずっとムラムラモヤモヤしていた。これは他の誰かを抱いても一向に発散出来ない衝動で、ルクシュはすっかり欲求不満気味だった。
「エルヴィンさんに相談してみたらどうだ?」
「なんて言うんだよ。接近禁止を言い渡されてるんだぞ?」
「うーん、そうだな……お前はその人間の感じてる顔が見たいんだろ?」
だったらレイノルド様とのプレイを覗かせてもらったらいいんじゃね?とジャンは言った。
なるほど!その発想はなかったと、ルクシュは目を輝かせる。
(本当は、俺の手でイカせてやりたいけど)
あの人間に会えるなら、この際そこはどうでもいい。
ルクシュは勢いよく立ち上がるとその足でエルヴィンのもとへとダッシュする。
勿論、何を考えているのですかと懇々と説教されるハメになるのだけれど。
(ひとのものを欲しがってはいけません)
それは健全なる世界のルール。
レイノルドは寛容な主人だ。彼の所有物に手を出して、あの程度で済んだことはむしろ僥倖である。なんだったら「いい趣味をしている」と褒められたくらいだ。
(けど、接近禁止を言い渡された)
リュウが怖がるから、とレイノルドは言った。
そうか、あの奴隷はリュウと言うのか。
それからというもの、ルクシュの頭の中はそのリュウのことでいっぱいになってしまった。
「そんなに良かったのか?」
「良かったっていうか…」
なんだろう、心が動いたのだ。
体ではなく心が騒いだ。
セックスは性欲を発散させる為の行為だし、その過程で相手が喜んでくれたならなお嬉しい。
だけどそれはあくまで二の次だ。相手の反応は実のところルクシュにとってはどうでも良かった。
円滑な関係を築く為に気を使うことはあっても、相手の為に奉仕したり反応を見て楽しんだりということはない。あくまでも大事なのはセックスという行為そのもので、もっというと気持ちよく射精出来るかどうかだった。
「なんていうか……感じてる顔、ずっと見ていたくなる、みたいな?」
「はあ?」
なにそれ変態じゃん、と使用人仲間のジャンに鼻で笑われ、呆れられる。
「だよなあ」とルクシュ自身もその感情に理解が出来ず、頭を掻き毟った。
「嫌がったり泣いたりした顔みてると、めちゃくちゃ興奮すんだ」
「は、マジで?人間てセックスで泣くんだ?」
「俺に抱かれるのが心底嫌だって、拒絶が半端なくてさ……でも触るとちゃんと感じてて、ちんこガン勃ちなの」
「感じてるならしたくないってわけじゃないんじゃん?人間てよくわかんないな」
「俺たちと違って、セックスに対する意識が違うんだってエルヴィンさんは言ってた。精神性を大事に?するとかなんとかって」
「それって好きな相手以外とはセックスしないとか、そういう話?」
「なのかね。獣人ハーフの俺たちにはよくわかんない感覚だけど…」
レイノルドに助けを求めるあの奴隷の顔を見ていると、征服欲がむくむくと頭をもたげてきた。
この奴隷にレイノルドより自分を求めさせたら、いったいどんな気持ちになるだろう?と
そんなことばかりを考えている。おかげでずっとムラムラモヤモヤしていた。これは他の誰かを抱いても一向に発散出来ない衝動で、ルクシュはすっかり欲求不満気味だった。
「エルヴィンさんに相談してみたらどうだ?」
「なんて言うんだよ。接近禁止を言い渡されてるんだぞ?」
「うーん、そうだな……お前はその人間の感じてる顔が見たいんだろ?」
だったらレイノルド様とのプレイを覗かせてもらったらいいんじゃね?とジャンは言った。
なるほど!その発想はなかったと、ルクシュは目を輝かせる。
(本当は、俺の手でイカせてやりたいけど)
あの人間に会えるなら、この際そこはどうでもいい。
ルクシュは勢いよく立ち上がるとその足でエルヴィンのもとへとダッシュする。
勿論、何を考えているのですかと懇々と説教されるハメになるのだけれど。
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