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侵食
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「すまなかったな、ミツキ」
腕の中できつく目を瞑っていた充希の目尻に、ダリウスの唇が触れる。
恐る恐る目を開けてみれば、すぐそこにダリウスの美しい顔がある。その宝石のように煌めく赤い瞳が、心配そうに揺れていた。
「部外者の侵入を許してしまった。怖かっただろう」
「あ………」
問われて、充希は素直に頷いた。怖かった、とても、恐ろしかった。
(無理矢理押し倒されたのに、嫌だと思ったのに、受け入れてる自分の身体が………)
「本当に、怖かった………」
そこからの記憶は曖昧で、次に目を覚ました時には隣にサイラスが立っていた。
「お目覚めになられましたか?」
「あ……え、っと…」
んんっ、とひとつ咳払いをする。酷く掠れた声だった。朝に目覚めた時よりさらに悪くなっている。
「喉を潤した方がよろしいですね。冷たいものと温かいもの、どちらがお好みですか?」
「あ、たたかい、方…」
「かしこまりました」
半身を起き上がらせた充希の両手に、温かなティーカップが渡される。そっと顔を近づけてみると良い香りが鼻腔をくすぐる。唇をつけて一口飲み込めば、スッと心が落ち着いていくのを感じた。
「鎮静作用のあるハーブティーです。お気に召しましたか?」
「うん、すごく…」
すき、と言おうとしたところでちゅ、と唇を奪われた。それは一瞬のことで、充希は驚いてカップを落としそうになってしまう。
「おっと」
それを見越してか、サイラスの腕が伸びてくる。手元がおぼつかない充希の小さな手のひらの上から自分の手を重ねて、自らもベッドに乗り上げてくる。その距離は、とても近い。
「サイ、ラス、」
「目が赤いですね、寝不足ですか?それとも、陛下にたくさん泣かされたのでしょうか」
「そっ、それは…」
どちらもだ、と充希は思う。あの後、ダリウスは充希を激しく求めた。最初の頃とも違う、余裕のない性急さで求められ、充希は快楽の波に流され、翻弄されっぱなしであった。
(でも、嫌じゃなかった)
あんなふうに求められたら、誰でも嬉しいに決まってる、と充希は思う。そのくらいダリウスは情熱的で、勘違いしてしまいそうになるくらい執拗に身体を貪られた。
今だって、思い出すだけで身体がじんわり熱くなる。もう身体中ダリウスの唇が触れていないところなんてひとつもないくらい、充希はダリウスに侵食され尽くしていた。
(こんなこと続けてたら、戻れなくなる…)
ダリウスの与えてくれる快楽無しでは生きていけなくなってしまう。それは身震いするほど恐ろしく、けれど甘美な誘惑のようにも思えた。
心も身体もダリウスに囚われはじめている。その事実を、充希は強く意識せざるを得なかった。
腕の中できつく目を瞑っていた充希の目尻に、ダリウスの唇が触れる。
恐る恐る目を開けてみれば、すぐそこにダリウスの美しい顔がある。その宝石のように煌めく赤い瞳が、心配そうに揺れていた。
「部外者の侵入を許してしまった。怖かっただろう」
「あ………」
問われて、充希は素直に頷いた。怖かった、とても、恐ろしかった。
(無理矢理押し倒されたのに、嫌だと思ったのに、受け入れてる自分の身体が………)
「本当に、怖かった………」
そこからの記憶は曖昧で、次に目を覚ました時には隣にサイラスが立っていた。
「お目覚めになられましたか?」
「あ……え、っと…」
んんっ、とひとつ咳払いをする。酷く掠れた声だった。朝に目覚めた時よりさらに悪くなっている。
「喉を潤した方がよろしいですね。冷たいものと温かいもの、どちらがお好みですか?」
「あ、たたかい、方…」
「かしこまりました」
半身を起き上がらせた充希の両手に、温かなティーカップが渡される。そっと顔を近づけてみると良い香りが鼻腔をくすぐる。唇をつけて一口飲み込めば、スッと心が落ち着いていくのを感じた。
「鎮静作用のあるハーブティーです。お気に召しましたか?」
「うん、すごく…」
すき、と言おうとしたところでちゅ、と唇を奪われた。それは一瞬のことで、充希は驚いてカップを落としそうになってしまう。
「おっと」
それを見越してか、サイラスの腕が伸びてくる。手元がおぼつかない充希の小さな手のひらの上から自分の手を重ねて、自らもベッドに乗り上げてくる。その距離は、とても近い。
「サイ、ラス、」
「目が赤いですね、寝不足ですか?それとも、陛下にたくさん泣かされたのでしょうか」
「そっ、それは…」
どちらもだ、と充希は思う。あの後、ダリウスは充希を激しく求めた。最初の頃とも違う、余裕のない性急さで求められ、充希は快楽の波に流され、翻弄されっぱなしであった。
(でも、嫌じゃなかった)
あんなふうに求められたら、誰でも嬉しいに決まってる、と充希は思う。そのくらいダリウスは情熱的で、勘違いしてしまいそうになるくらい執拗に身体を貪られた。
今だって、思い出すだけで身体がじんわり熱くなる。もう身体中ダリウスの唇が触れていないところなんてひとつもないくらい、充希はダリウスに侵食され尽くしていた。
(こんなこと続けてたら、戻れなくなる…)
ダリウスの与えてくれる快楽無しでは生きていけなくなってしまう。それは身震いするほど恐ろしく、けれど甘美な誘惑のようにも思えた。
心も身体もダリウスに囚われはじめている。その事実を、充希は強く意識せざるを得なかった。
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