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嗚咽
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(そうか、この人も魔障にかかってるんだ…)
ならばサイラスのように、いずれは相手をしなければいけない人なのかもしれない。
だが目の前のオスカーからは、自分を性的な目で見ている様子は感じられない。先程体に触れた時も、他意は無いように思えた。
「命の危険は、ないんですね?」
確認するように、充希はオスカーに尋ねてみる。
すると、オスカーは「ない」「とは言えない」と、前言を撤回するような歯切れの悪い回答を口にした。
「ええ?」
「まーその、なんだ……確かに聖女の施しがないといずれは死ぬ。だが、それまでには時間が多少ある、っていうか…」
「……やっぱり死ぬんじゃないですか…!!」
ぬか喜び!!と充希はがっくりと項垂れる。
あわよくば相手をせずに済むかも、と期待しただけに余計落ち込んでしまった。
「ま、まあまあ、でもすぐに必要ってわけじゃないから!ゆっくり心の準備してもらって、どうしても無理なようならキスだけでもなんとかなるし!」
「キス、だけ?」
初耳である。
本当に?と圧をかけて聞き返すと、オスカーはしどろもどろになりながらも丁寧に説明してくれた。
「本来なら魔障の治療には性行為が確実と言われてる。でも過去の聖女様の記録を読むと、唾液や汗なんかでも回復する事例はあったらしい」
「唾液…汗…」
「まあ、それも軽い魔障ならとのことだったから、症状によるとは思うけどな。魔障の進行を食い止めるには有効な手段だと思うぜ」
「……………」
つまり、唾液が絡むようなキスをするか、汗を舐めてもらう必要がある、ということだろうか。
「あ、ドン引きした顔」
「さすがに……汗を舐められるのはちょっと…」
「だよなぁ。でも聖女様には月のものがこないし、排泄行為も不要な体と聞いている。だから体液が必要となると自然とそういう結論になるんだろうな」
「はっ?」
今、何かとてつもなく聞き捨てならないことを言われた気がする。
「つ、月のものが、こない?」
「ああ、聖女の体は不特定多数の男を相手にする様になっているからな。それには妊娠する機能や排泄行為は必要ないってことなんだろう」
「排泄行為って…」
「こっちの世界に来て、トイレ行きたいなーとか、思ったことあるか?」
「ないかも…」
「だろ?」
「なにその、セックスしか用のない体の仕様…」
ひどい、ひどすぎる。
そりゃセックスするのに生理の出血や排出物は邪魔でしかないだろう。特殊性癖でもあれば別だけど!!それはまあ置いておとくとして、そんなのってありなの??と充希は頭を抱える。
(私の体、生理こないんだ。しかも、おしっこも、う●こも出ないんだ…)
中々に衝撃的なことを言われた気がする。
いよいよこの世界で充希がすることは、性行為しかないのだと言われた気がした。その瞬間、背中から変な汗がドッと滝の様に吹き出す感覚に襲われる。
(あ、これ舐めてもらえば、この人の魔障も少しは回復するのでは…?)
なんて、気が動転した頭で考える。
でも口に出したら実際に舐められそうなので、充希はその言葉を飲み込んだ。
飲み込んだけれど、うううと嗚咽がこぼれ出る。
なんかもう、この世界の設定しんどい。
充希はベソをかきながら、込み上げてくる嗚咽をただ飲み込むしかなかった。
ならばサイラスのように、いずれは相手をしなければいけない人なのかもしれない。
だが目の前のオスカーからは、自分を性的な目で見ている様子は感じられない。先程体に触れた時も、他意は無いように思えた。
「命の危険は、ないんですね?」
確認するように、充希はオスカーに尋ねてみる。
すると、オスカーは「ない」「とは言えない」と、前言を撤回するような歯切れの悪い回答を口にした。
「ええ?」
「まーその、なんだ……確かに聖女の施しがないといずれは死ぬ。だが、それまでには時間が多少ある、っていうか…」
「……やっぱり死ぬんじゃないですか…!!」
ぬか喜び!!と充希はがっくりと項垂れる。
あわよくば相手をせずに済むかも、と期待しただけに余計落ち込んでしまった。
「ま、まあまあ、でもすぐに必要ってわけじゃないから!ゆっくり心の準備してもらって、どうしても無理なようならキスだけでもなんとかなるし!」
「キス、だけ?」
初耳である。
本当に?と圧をかけて聞き返すと、オスカーはしどろもどろになりながらも丁寧に説明してくれた。
「本来なら魔障の治療には性行為が確実と言われてる。でも過去の聖女様の記録を読むと、唾液や汗なんかでも回復する事例はあったらしい」
「唾液…汗…」
「まあ、それも軽い魔障ならとのことだったから、症状によるとは思うけどな。魔障の進行を食い止めるには有効な手段だと思うぜ」
「……………」
つまり、唾液が絡むようなキスをするか、汗を舐めてもらう必要がある、ということだろうか。
「あ、ドン引きした顔」
「さすがに……汗を舐められるのはちょっと…」
「だよなぁ。でも聖女様には月のものがこないし、排泄行為も不要な体と聞いている。だから体液が必要となると自然とそういう結論になるんだろうな」
「はっ?」
今、何かとてつもなく聞き捨てならないことを言われた気がする。
「つ、月のものが、こない?」
「ああ、聖女の体は不特定多数の男を相手にする様になっているからな。それには妊娠する機能や排泄行為は必要ないってことなんだろう」
「排泄行為って…」
「こっちの世界に来て、トイレ行きたいなーとか、思ったことあるか?」
「ないかも…」
「だろ?」
「なにその、セックスしか用のない体の仕様…」
ひどい、ひどすぎる。
そりゃセックスするのに生理の出血や排出物は邪魔でしかないだろう。特殊性癖でもあれば別だけど!!それはまあ置いておとくとして、そんなのってありなの??と充希は頭を抱える。
(私の体、生理こないんだ。しかも、おしっこも、う●こも出ないんだ…)
中々に衝撃的なことを言われた気がする。
いよいよこの世界で充希がすることは、性行為しかないのだと言われた気がした。その瞬間、背中から変な汗がドッと滝の様に吹き出す感覚に襲われる。
(あ、これ舐めてもらえば、この人の魔障も少しは回復するのでは…?)
なんて、気が動転した頭で考える。
でも口に出したら実際に舐められそうなので、充希はその言葉を飲み込んだ。
飲み込んだけれど、うううと嗚咽がこぼれ出る。
なんかもう、この世界の設定しんどい。
充希はベソをかきながら、込み上げてくる嗚咽をただ飲み込むしかなかった。
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