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自覚
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次に目を覚ました時、室内は暗闇に満ちていた。
(夜……?)
重い体を引きずって、半身を起こす。
徐々に視界が慣れてきて、充希は暗闇の中でじっと目を凝らす。
時計の針は、午後の7時頃を指していた。
途端に、ぐう、とお腹が空腹を訴える。
(そういえば、結局朝食は食べられなかったな…)
あの時湯浴みではなく朝食と答えていれば、サイラスとあんなふうにセックスすることもなかったのかもしれない。
(違うか……結局私は、どう足掻いても男の人を求めてしまうようになっているんだろうな…)
その証拠に、目が覚めたばかりだというのにもう体が熱い。なんだか少しずつ、症状が悪化していっているような気がする。
もしかしたら、魔障に侵された者たちと性行為をすることで、体になんらかの影響を及ぼしているのかもしれない。
しらんけど。
行為を重ねれば重ねるほど、性欲が高まっている感覚があった。
感度もあがっていたし、濡れるのも早い。
(理性が飛ぶのも、はやい、)
こんなのはまともじゃないな、と思う。
けれど、初めからまともなことなんてひとつもなかった。
ならもう受け入れてしまうしかない。きっともう、どんなに帰りたいと望んでも、自分は元の世界に戻れることはないのだろうから。
(男の人と、えっちなことをする為だけの聖女、かあ…)
サイラスは、嫌なら拒絶しても構わないと言っていた。けれどあれは嘘だと、充希は思う。
充希の体は、既に男を求めて発情をはじめていた。
こんな状態では、きっといつか自分から相手をねだってしまう日がくるだろう。聖女が聞いてあきれる。こんなのはただの呪いである。
「どうして、こんなことになっちゃったんだろう…」
何故、自分でなければならなかったのか。
いったい、自分が何をしたっていうのか?
泣いても何も解決しないのに、勝手に涙があふれてきてしまう。
ああ、イケメンとえっちする夢だ、ラッキーなんて呑気に考えていた頃の自分を殴りたい。
あのくらいお気楽な調子でいられたなら、今のこのどうしようもない状況も、ポジティブに変換出来たのかもしれないけれど…
流石にまだ、そこまで振り切れそうになかった。
そんなことを考えていると、控えめに部屋の扉がノックされた。
充希はその音に、思わずビクッと過剰反応してしまう。
その拍子に、ベッドサイドに置いてあった水差しを手にひっかけて倒してしまった。
カシャン!というガラスの割れた音と殆ど同時に、慌てたように扉が開かれる。
入ってきたのは長身のかっちりとした制服で身を固めた、赤い髪が印象的な男性だった。
サイラスとはまた趣きの違う、こちらは野生みあふれるイケメンである。
後ろ髪をひとつにしばっており、前から見ると短髪にも見える。足早に近づいてきたその人は割れた水差しを見つけると、充希に向かって「怪我はないか?」と第一声で聞いてきた。
「あ…りません」
「そうか、良かった。破片が飛んでいると危険だから、場所を移そう」
「えっ、わわっ、」
言うなり、男は充希を抱き抱えると、ソファの上に充希をそっと降ろした。
なんて力強さだろう、と充希は目を見張る。こんなに軽々と抱きあげられるほど、充希の体重は軽くないはずだ。
「ん?どうした?」
「力もち、なんだなって…」
「ええ?」
思わずそう口にすると、男は一瞬怪訝そうな顔をして、次の瞬間思い切り破顔した。
「ふははっ、女の子ひとり持ち上げただけでそんなこと言われるなんて、思ってもみなかったな」
男は豪快に笑うと、充希の顔を覗きこむ。
その瞳の色は、夜の闇に溶けそうな暗紫色をしていた。
(夜……?)
重い体を引きずって、半身を起こす。
徐々に視界が慣れてきて、充希は暗闇の中でじっと目を凝らす。
時計の針は、午後の7時頃を指していた。
途端に、ぐう、とお腹が空腹を訴える。
(そういえば、結局朝食は食べられなかったな…)
あの時湯浴みではなく朝食と答えていれば、サイラスとあんなふうにセックスすることもなかったのかもしれない。
(違うか……結局私は、どう足掻いても男の人を求めてしまうようになっているんだろうな…)
その証拠に、目が覚めたばかりだというのにもう体が熱い。なんだか少しずつ、症状が悪化していっているような気がする。
もしかしたら、魔障に侵された者たちと性行為をすることで、体になんらかの影響を及ぼしているのかもしれない。
しらんけど。
行為を重ねれば重ねるほど、性欲が高まっている感覚があった。
感度もあがっていたし、濡れるのも早い。
(理性が飛ぶのも、はやい、)
こんなのはまともじゃないな、と思う。
けれど、初めからまともなことなんてひとつもなかった。
ならもう受け入れてしまうしかない。きっともう、どんなに帰りたいと望んでも、自分は元の世界に戻れることはないのだろうから。
(男の人と、えっちなことをする為だけの聖女、かあ…)
サイラスは、嫌なら拒絶しても構わないと言っていた。けれどあれは嘘だと、充希は思う。
充希の体は、既に男を求めて発情をはじめていた。
こんな状態では、きっといつか自分から相手をねだってしまう日がくるだろう。聖女が聞いてあきれる。こんなのはただの呪いである。
「どうして、こんなことになっちゃったんだろう…」
何故、自分でなければならなかったのか。
いったい、自分が何をしたっていうのか?
泣いても何も解決しないのに、勝手に涙があふれてきてしまう。
ああ、イケメンとえっちする夢だ、ラッキーなんて呑気に考えていた頃の自分を殴りたい。
あのくらいお気楽な調子でいられたなら、今のこのどうしようもない状況も、ポジティブに変換出来たのかもしれないけれど…
流石にまだ、そこまで振り切れそうになかった。
そんなことを考えていると、控えめに部屋の扉がノックされた。
充希はその音に、思わずビクッと過剰反応してしまう。
その拍子に、ベッドサイドに置いてあった水差しを手にひっかけて倒してしまった。
カシャン!というガラスの割れた音と殆ど同時に、慌てたように扉が開かれる。
入ってきたのは長身のかっちりとした制服で身を固めた、赤い髪が印象的な男性だった。
サイラスとはまた趣きの違う、こちらは野生みあふれるイケメンである。
後ろ髪をひとつにしばっており、前から見ると短髪にも見える。足早に近づいてきたその人は割れた水差しを見つけると、充希に向かって「怪我はないか?」と第一声で聞いてきた。
「あ…りません」
「そうか、良かった。破片が飛んでいると危険だから、場所を移そう」
「えっ、わわっ、」
言うなり、男は充希を抱き抱えると、ソファの上に充希をそっと降ろした。
なんて力強さだろう、と充希は目を見張る。こんなに軽々と抱きあげられるほど、充希の体重は軽くないはずだ。
「ん?どうした?」
「力もち、なんだなって…」
「ええ?」
思わずそう口にすると、男は一瞬怪訝そうな顔をして、次の瞬間思い切り破顔した。
「ふははっ、女の子ひとり持ち上げただけでそんなこと言われるなんて、思ってもみなかったな」
男は豪快に笑うと、充希の顔を覗きこむ。
その瞳の色は、夜の闇に溶けそうな暗紫色をしていた。
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