8 / 37
選択
しおりを挟む
(ご奉仕、とは…?)
うまく働かない頭で考える。
つまり…彼が自分に、性的な奉仕をする、ということだろうか?
「あのっ、いいです!そんな、私なんかに気を遣ってもらわなくても…!」
「ああ、言い方が悪かったですね。私たちはあくまで聖女様に情けを乞う立場です。あなたがいなければ私たちは生きられない。ですからあなたに尽くすことこそが私たちの望みであり、喜びなのです」
「……でも、私に選択権なんて、ないですよね?」
充希が思わずそうぽつりと漏らすと、サイラスは一瞬困惑したような、悲しげな顔をした。
「そんなことはありません。陛下をのぞけば、聖女様より上の立場の者はこの国には存在しません。あなたが行為を嫌がるのなら、無理強いすることは誰にも出来ないのです」
「で、でも…それじゃ魔障は…?」
「侵された者は死ぬしかありません。しかし、聖女様が義務として相手をしなければならないのは本来陛下のみです。他の者たちは聖女様の慈悲によってのみ救われる」
「じゃあ、私が相手をしなければ、魔障に侵された人は死ぬしかないってことじゃないですか…」
充希がそう言うと、サイラスは「そうなりますね」と瞼を伏せる。
そんなの、選択肢は無いに等しい。魔障に侵された人がいったいどれだけいるか知らないけれど、その人たちをみすみす見殺しになど、充希には出来そうにない。
かと言って、不特定多数の人を相手に体を投げだすことも恐ろしい。
(ただでさえ、体がふわふわして落ち着かないのに。この上たくさんの人を相手にするだなんて、想像も出来ないよ…)
単純に、怖いと思う。それは身も知らぬ男たちを相手にしなければならないという恐怖心もあるが、それと同じくらいその行為を受け入れてしまうかもしれないと感じている自分自身に対して、であった。
「私、なんだか体がおかしいんです」
涙声になりながら、充希は訴える。サイラスの腕に抱かれながら、彼の碧い瞳をまっすぐに見つめて。
「こんなに感じやすい体じゃなかったのに、今は少し触れられただけで、変な気分になっちゃうんです」
馬鹿みたいな告白だと、自分でも思った。これでは自分が淫乱だと打ち明けているようなものだ。
けれど事実、昨日からの充希はおかしかった。以前の充希はこんなに流されやすくはなかったし、どちらかと言えば性に消極的なタイプだった。
自分から強請ったり、欲しがったりしたことなんてない。セックスで気持ちよくなったことだって、殆どなかったのだ。
それなのに、今は欲しくて欲しくて仕方がない。さっき中をかき混ぜられ、強く擦られた感触がずっと消えない。
もっともっと太くて長いもので、奥を刺激されたいと願ってしまっているのだ。
「聖女様の御体は、そういうものだと聞いております。なので、何も気にする必要はありません。あなたが男を欲しがるのは聖女である所以。むしろ私たちにとっては喜ばしいことです」
「そういうって、つまり…」
「直接的な表現をするなら、濡れやすく感じやすい、男を迎え入れるのに適した御体と聞いております」
事実、あなたと少し触れ合っただけの私でさえ、もうこんな状態ですとサイラスは固くそそり立った下半身を充希に押しつけてくる。
「わかりますか?私があなたをどれほど求めているか」
それでも、あなたが拒否するのなら私はあなたを抱くことはしません、とサイラスは続ける。
「指と舌だけで御奉仕させて頂きます」
聖女さまの望むままに、とサイラスは充希の瞳を覗き込む。
あくまで彼は選択権は充希にあるのだと言いたのだろう。
けれど、こんな状況で、充希に果たしてサイラスを拒絶することなど出来るだろうか?
サイラスに押し付けられた熱は、充希の欲を充分に刺激していた。
このまま舌と指でどれだけイカされたところで、この固い熱を忘れることは出来ないだろう。
(問題の解決なんて、出来そうにない。この先どうしたらいいのかなんて、まるでわからない)
けれど今は、どんな重大な問題さえもどうでもいいと思ってしまう。この熱に浮かされたような状態が聖女たる所以と言うのなら、もう自分は立派な聖女なのかもしれないと充希は思う。
(男を誘惑し、男を欲しがるのがこの国の聖女なの…?)
なんて酷い、と思いながらも、充希はサイラスの首に両腕を絡める。
はじめて自分からキスをして、その先を求めるように唇をひらいた。
「抱いてください…最後まで」
羞恥に震えながらそう懇願すると、サイラスはこれ以上もなく嬉し気に、喉を鳴らして頷いた。
うまく働かない頭で考える。
つまり…彼が自分に、性的な奉仕をする、ということだろうか?
「あのっ、いいです!そんな、私なんかに気を遣ってもらわなくても…!」
「ああ、言い方が悪かったですね。私たちはあくまで聖女様に情けを乞う立場です。あなたがいなければ私たちは生きられない。ですからあなたに尽くすことこそが私たちの望みであり、喜びなのです」
「……でも、私に選択権なんて、ないですよね?」
充希が思わずそうぽつりと漏らすと、サイラスは一瞬困惑したような、悲しげな顔をした。
「そんなことはありません。陛下をのぞけば、聖女様より上の立場の者はこの国には存在しません。あなたが行為を嫌がるのなら、無理強いすることは誰にも出来ないのです」
「で、でも…それじゃ魔障は…?」
「侵された者は死ぬしかありません。しかし、聖女様が義務として相手をしなければならないのは本来陛下のみです。他の者たちは聖女様の慈悲によってのみ救われる」
「じゃあ、私が相手をしなければ、魔障に侵された人は死ぬしかないってことじゃないですか…」
充希がそう言うと、サイラスは「そうなりますね」と瞼を伏せる。
そんなの、選択肢は無いに等しい。魔障に侵された人がいったいどれだけいるか知らないけれど、その人たちをみすみす見殺しになど、充希には出来そうにない。
かと言って、不特定多数の人を相手に体を投げだすことも恐ろしい。
(ただでさえ、体がふわふわして落ち着かないのに。この上たくさんの人を相手にするだなんて、想像も出来ないよ…)
単純に、怖いと思う。それは身も知らぬ男たちを相手にしなければならないという恐怖心もあるが、それと同じくらいその行為を受け入れてしまうかもしれないと感じている自分自身に対して、であった。
「私、なんだか体がおかしいんです」
涙声になりながら、充希は訴える。サイラスの腕に抱かれながら、彼の碧い瞳をまっすぐに見つめて。
「こんなに感じやすい体じゃなかったのに、今は少し触れられただけで、変な気分になっちゃうんです」
馬鹿みたいな告白だと、自分でも思った。これでは自分が淫乱だと打ち明けているようなものだ。
けれど事実、昨日からの充希はおかしかった。以前の充希はこんなに流されやすくはなかったし、どちらかと言えば性に消極的なタイプだった。
自分から強請ったり、欲しがったりしたことなんてない。セックスで気持ちよくなったことだって、殆どなかったのだ。
それなのに、今は欲しくて欲しくて仕方がない。さっき中をかき混ぜられ、強く擦られた感触がずっと消えない。
もっともっと太くて長いもので、奥を刺激されたいと願ってしまっているのだ。
「聖女様の御体は、そういうものだと聞いております。なので、何も気にする必要はありません。あなたが男を欲しがるのは聖女である所以。むしろ私たちにとっては喜ばしいことです」
「そういうって、つまり…」
「直接的な表現をするなら、濡れやすく感じやすい、男を迎え入れるのに適した御体と聞いております」
事実、あなたと少し触れ合っただけの私でさえ、もうこんな状態ですとサイラスは固くそそり立った下半身を充希に押しつけてくる。
「わかりますか?私があなたをどれほど求めているか」
それでも、あなたが拒否するのなら私はあなたを抱くことはしません、とサイラスは続ける。
「指と舌だけで御奉仕させて頂きます」
聖女さまの望むままに、とサイラスは充希の瞳を覗き込む。
あくまで彼は選択権は充希にあるのだと言いたのだろう。
けれど、こんな状況で、充希に果たしてサイラスを拒絶することなど出来るだろうか?
サイラスに押し付けられた熱は、充希の欲を充分に刺激していた。
このまま舌と指でどれだけイカされたところで、この固い熱を忘れることは出来ないだろう。
(問題の解決なんて、出来そうにない。この先どうしたらいいのかなんて、まるでわからない)
けれど今は、どんな重大な問題さえもどうでもいいと思ってしまう。この熱に浮かされたような状態が聖女たる所以と言うのなら、もう自分は立派な聖女なのかもしれないと充希は思う。
(男を誘惑し、男を欲しがるのがこの国の聖女なの…?)
なんて酷い、と思いながらも、充希はサイラスの首に両腕を絡める。
はじめて自分からキスをして、その先を求めるように唇をひらいた。
「抱いてください…最後まで」
羞恥に震えながらそう懇願すると、サイラスはこれ以上もなく嬉し気に、喉を鳴らして頷いた。
38
お気に入りに追加
315
あなたにおすすめの小説

【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪
奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」
「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」
AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。
そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。
でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ!
全員美味しくいただいちゃいまーす。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。
両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。
それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。
夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。
最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~
ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。
ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。
一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。
目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!?
「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!
奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。
ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。
ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる