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本編
予言の書
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その少女はエリカと名乗った。兄セルジュが12歳の時のことだった。彼女は教会にいる兄を見つけ話しかけて来たらしい。
「セルジュ様っ」
と最初から名前を知っていたらしい。セルジュは好奇心をもって彼女を自分の宮に連れて帰った。そこで予言を授かったらしい。ローランがエリカという名の少女に堕ちて隣の国でひと騒動あることや今の大筋の流れを予言していったのだという。
「ただし、ローランが暴走してソフィーに酷い事をしたあたりから予言と違って来ててね」
エリクにしてもソフィーにしても『予言????』という気持であった。
「いくつかの枝分かれした話があるようだけど。ソフィーが娼館に堕ちるという話はないの。その対象は私かエレーヌだったのよ。ただエリカはあの自主流通本をローランに読ませてしまって、『婚約者を凌辱して娼館に売る』と思いついてしまったのよね」
セシルは予言の書とされるノートを昨日読んだのだどいう。
「エレーヌの本の事も載ってた。けどノエラはもっと悲惨な目に合う事になってたのにこの人が『いくらなんでも……』って思ったからエティエンヌ殿下と話し合ってああいう事にしたの」
「つまり予言を色々変えたわけですね?」
エリクが冷静に訊ねる。
「そうだ。……で、流れが変わってきた。エティエンヌ殿下とランバート公爵のサポートでうちからは騎士団を出すつもりだったのだけど……。無血で王宮を掌握してしまった。それとエティエンヌ殿下には予言の所の写しを渡してあるんだ」
アランは説明する。
「このノートを読んだらソフィーがローランにそうされる運命は描かれていなかったけど……現実には起こってしまった。母があの国で諜報活動をしてくれてたんだけど事前情報もなかったからね」
ソフィーは肩を竦め勝気さを表情に出す。
「アレは私個人には興味なかったですから。私の体には……というか処女には興味があったようですけど」
つんとした顔のソフィーの頬をセシルが撫でる。
「エリカは乙女じゃなかったようですしね……」
「王太子と?」
「誰が最初なんて判りません。学園の時にはエレーヌ嬢かエリカ嬢に頼めばすっきりさせてくれるなんて噂もありましたが」
アランはふっと溜息をついた。
「エレーヌ嬢には感謝してるよ。サ・レ男爵が色んな令嬢に手を付ける前に収まってくれたからね」
「仲良いのは良い事ですわ」
ソフィーが父親と同じことを言う。
「予言の書の大筋から離れた上で聞くんだが、アレの処遇はどうしたい?」
アラン陛下が優しい表情で訊ねる。
「私は痛みを与え返すつもりなのでそれ以上はエティエンヌ陛下の御心のままに。甘くしても別に恨みません」
セシルも頷く。
「僕らも一緒に行きたいくらいだ」
エリクが言う。
「あら、大丈夫よ。心配しないで。ジェラール兄様がついててくれるし」
「私の母親もついてるから大丈夫」
アラン陛下も太鼓判を押した。
「予言の書から旅立つときが来たな。そうそう。元のエルネ領、本来なら今年の長雨で穀物がやられるという予言もあったけど、君のお祖父様が見事に食い止めたようだよ」
「雨を?」
ソフィーが素っ頓狂は声をだした。アラン陛下は笑った。
「事前に灌漑をこの二年で済ませてたんだよ」
「セルジュ様っ」
と最初から名前を知っていたらしい。セルジュは好奇心をもって彼女を自分の宮に連れて帰った。そこで予言を授かったらしい。ローランがエリカという名の少女に堕ちて隣の国でひと騒動あることや今の大筋の流れを予言していったのだという。
「ただし、ローランが暴走してソフィーに酷い事をしたあたりから予言と違って来ててね」
エリクにしてもソフィーにしても『予言????』という気持であった。
「いくつかの枝分かれした話があるようだけど。ソフィーが娼館に堕ちるという話はないの。その対象は私かエレーヌだったのよ。ただエリカはあの自主流通本をローランに読ませてしまって、『婚約者を凌辱して娼館に売る』と思いついてしまったのよね」
セシルは予言の書とされるノートを昨日読んだのだどいう。
「エレーヌの本の事も載ってた。けどノエラはもっと悲惨な目に合う事になってたのにこの人が『いくらなんでも……』って思ったからエティエンヌ殿下と話し合ってああいう事にしたの」
「つまり予言を色々変えたわけですね?」
エリクが冷静に訊ねる。
「そうだ。……で、流れが変わってきた。エティエンヌ殿下とランバート公爵のサポートでうちからは騎士団を出すつもりだったのだけど……。無血で王宮を掌握してしまった。それとエティエンヌ殿下には予言の所の写しを渡してあるんだ」
アランは説明する。
「このノートを読んだらソフィーがローランにそうされる運命は描かれていなかったけど……現実には起こってしまった。母があの国で諜報活動をしてくれてたんだけど事前情報もなかったからね」
ソフィーは肩を竦め勝気さを表情に出す。
「アレは私個人には興味なかったですから。私の体には……というか処女には興味があったようですけど」
つんとした顔のソフィーの頬をセシルが撫でる。
「エリカは乙女じゃなかったようですしね……」
「王太子と?」
「誰が最初なんて判りません。学園の時にはエレーヌ嬢かエリカ嬢に頼めばすっきりさせてくれるなんて噂もありましたが」
アランはふっと溜息をついた。
「エレーヌ嬢には感謝してるよ。サ・レ男爵が色んな令嬢に手を付ける前に収まってくれたからね」
「仲良いのは良い事ですわ」
ソフィーが父親と同じことを言う。
「予言の書の大筋から離れた上で聞くんだが、アレの処遇はどうしたい?」
アラン陛下が優しい表情で訊ねる。
「私は痛みを与え返すつもりなのでそれ以上はエティエンヌ陛下の御心のままに。甘くしても別に恨みません」
セシルも頷く。
「僕らも一緒に行きたいくらいだ」
エリクが言う。
「あら、大丈夫よ。心配しないで。ジェラール兄様がついててくれるし」
「私の母親もついてるから大丈夫」
アラン陛下も太鼓判を押した。
「予言の書から旅立つときが来たな。そうそう。元のエルネ領、本来なら今年の長雨で穀物がやられるという予言もあったけど、君のお祖父様が見事に食い止めたようだよ」
「雨を?」
ソフィーが素っ頓狂は声をだした。アラン陛下は笑った。
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