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本編

王子様たち、仕事は人任せ

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 「おじさまは元我が家をご覧になったの?」

「みたよ。いやぁ見事だったよ。ぽっかり家だけないんだもん。あ、庭の草木も連れて行ったみたい。セシルと君が二人で育てた薔薇園もね」

ランバート公爵はにこっと笑う。

「君がここにいるうちはいつものやり取りは出来ないけどね。あの庭が向こうにいっちゃったから」

公爵の言葉にソフィーは頷いた。

「ま、ここの女将、マリーがあっちとやり取りしてるから。お互い情報の把握は出来てるよ。さーて、国をひっくりかえそうか」

そういってランバート公爵は笑う。

「もちろん、君のお父様ディオン母上マルグリットも協力者だよ。海の離宮に
蟄居中のエティエンヌ王弟殿下もこっそり海の離宮から離れてもらった。アレは思いつかないかもしれんが……」

「男爵がいますもんね」

ソフィーはセシルから聞いた話を思い出す。

『ビロン男爵の領地が麻薬売買の中継地点になっているようだ』

そしてそれに本腰をいれる、と言っていたけど……、と思って公爵に訊ねる。

「その、よろしくないお薬の売買の件は?」

公爵は溜息をついた。

「それだよ。ディオンたちが居なくなった日からビオン男爵領に保護がかかってね」

ソフィーがちらりと首を傾げる。

「……あほ……じゃなくて陛下の?」

公爵は頷いた。

「あいつ……、普段の仕事は全部私に振ってたくせに。そう言う事だけ素早いから」

「……陛下の印璽やなんやを触れた?」

ランバート公爵が訊ねる。

「ええ。私もですが当時いた側近のうち3人は陛下の代わりに書類仕事してましたから。触りたい放題でした」

ソフィーの答えにランバート公爵の眉間の皺が深くなっている。

「……ってことは聖女エリカも触れた?」

「え?おじさま、今聖女と?」

ソフィーは素で驚いている。ランバート公爵派頷く。

「ああ。皆が見てる前で『ライト』の魔法をかけてね。聖なる魔法を使えると証明したよ」

「エリカが……聖女?」

ソフィーは驚いたままだった。

「聖女が見つかったので聖女と婚約するって発表した口で、高位貴族6家のとりつぶし、下位貴族6家の陞爵が発表されて国中大騒ぎだよ。とりつぶしの一つが君の家。この6家は麻薬取引の為という事になってる」

ソフィーの片眉が思い切り上がる。公爵は笑いそうになった。父親のディオンとそっくりな表情だったからだ。公爵は構わず話を続ける。

「なり変わった6家はいずれもビオン男爵と関係がある家だ。余りにもあからさまだ。あからさますぎてなぁ……、書類が見つからないんだよな」

ソフィーはくくっと笑った。

「私の執務室にあるとおもいますよ。たいてい難しい書類は私に回ってきてましたから。セシルが向こうに嫁してからは王太子の分もでしたけど」

ランバート公爵は額に手を置いて溜息をついた。側に控えていた付き人が魔術の手紙を王宮に送った。

「急ぎ書類の確認と確保を頼んだ」

ちゃんと書類が提出されていればいいが……、と公爵は小さな声で呟いた。
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