悪役令嬢はヒロインと関わりたくない【完結】

あくの

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「私はお義母様に認められたの!」

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 兄様がそっと寄ってきた。

「あれ、上から見ると丸見えでな……。げんなりする」

兄様が本当にうんざりした顔になっている。

「丸見えって、肌とか?」

「肌も下着も。少しサイズが大きいようだ」

「もったいない。華奢で可憐なタイプなんだから清楚でふんわりしたドレス着たらもっと可愛いのに」

「ブランシュはアニエス嬢嫌いじゃないの?」

兄様の声から意外だと言う気持ちが感じられます。

「可愛い女の子見るのは大好きですし、可愛い人が似合うものを着てるのはもっと好き」

兄様がふふっと笑った。

「中身が好きとは言わなのだな」

「私は自分のことをヒロインっていう人と関わるのはまっぴらごめんです」

私の言葉に兄様は本気で笑い出した。フランソワ殿下が兄様に寄ってきた。

「楽しい事でも?」

フランソワ殿下がじっと私を見る。この人は何考えてるかわからない。キトリー様がうずうずしてるのも後ろに感じる。

「バカ話だよ」

兄様の言葉にフランソワ殿下がちょっと驚いた顔になる。

「ブランシュ嬢でもジョークを言うのだな」

「私、冗談はもうしてません」

兄様がフォローを入れる。

「アルベルト殿下の現状に関する忌憚ない意見を聞いただけだよ」

フランソワ殿下が兄様の視線の先をみてげんなりとした顔をする。

「この間、貴族牢から抜け出て王子宮に来てね。あの子」

アニエスさん、何してるのかな……。でも王宮が混乱してる妾妃様捕縛あの時期なら警備も手薄だったかも。

「『私はお義母様に認められたの!』だから王太子妃には自分がなるんだって叫んでてさ」

ふぅとフランソワ殿下がため息をつく。

「あの子の勢いだとアルベルトは落ちるかもね。あいつがあんなに女に弱いとは思わなかった」

……殿下達、そのまま娼館に一週間居続けたって聞いてるんだけど。アルベルト殿下だけを下げても無駄だと思います。音楽が鳴り始める。ジャック殿下が誰を選ぶかとみんなドキドキして待っている。ジャック殿下は一人の見知らぬ令嬢の手を取った。金の髪に黒い瞳の愛らしい顔立ちの……。

「兄様、あれ……」

ものすごく小さな声で兄様に尋ねる。

「一発でわかったか。……女装したシリルだ。一応、アルフォンスの親戚ということにしておく」

「制服、どうしました?」

嫌な予感がする。

「悪い。ブランシュの予備を借りた」

……屈辱です。屈辱ですわ!なんで私のスカートがやや緩めなんですか?!肩幅が少しきつそうなのはまぁ、ご愛敬だけど。なんでスカートが!シリル様がはくと緩いのか!

「ブランシュ嬢、怒ってる、これ?」

フランソワ様が恐る恐るという様子で兄様に聞いている。

「当たり前でしょう」

私の言葉にフランソワ様がびくん、と姿勢を正した。

「え、やっぱりジャックと踊りたかったとか?」

「まさか」

即答にフランソワ様が絶句した。

「女子のプライドの問題です。ジャック殿下は全く関係ありません」

兄様はにやにや笑ってる。音楽が終わり二曲目が始まる。兄様がさっと私の手をとりフロアに出る。私に差し出そうとしていたフランソワ様の手を無視する形になった。

「殿下……、よろしいの?」

「言葉にしないやつは慮ってやる必要なし」

兄様、容赦ない。

「フランソワはアルベルトよりお買い得だと思うぞ」

「うーん」

よく知らないしなぁ。嫌いとも好きとも……。一曲終わり、果実水を兄様が持ってくる。フランソワ様は周りの圧に負けてキトリー様と踊っている。三曲目のダンスはもうなんの意味もないので割合とみな気軽に踊っている。まぁ、三曲目、女子も男子も虎視眈々と好きな子を狙ってるのだけども。

「ブランシュ、一曲どうかな?」

ベルトラン兄様の登場だった。


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