24 / 65
魔力量
しおりを挟む
「と言うことは母親からの魔力供給量がたりなかった?」
アルベルト殿下が呟く。
「だから私が陛下の嫁として嫁してきたの。魔力量保持と新しい魔力を王家に入れるために。まぁ、うちの国の王家とはかなり婚姻をむすんでるので王家では新しい魔力にはならなくてね。でも私は今までにいない雷属性魔力餅だし、弟は氷と雷で王家の姫の所に行くのが決まってて。ま、私は王家にこの国に売られたってわけです」
はっきりと王妃様は売られた、という。
「陛下が私に誠実であれば妾妃の事も許すつもりでした。が、避妊の呪いもかけずに交わって貴方を作ったのよ、陛下は。私に対する裏切りだったし妾妃はその頃は絶頂期で多分宰相、貴女の伯父の伯父上だったと思うのだけど、彼も王の側近も手に入れてたはずよ」
「つまり俺の出自も怪しいと?」
アルベルト殿下は悟った目をしている。
「大丈夫、貴方は陛下の子でちゃんと王家の魔力パターンを持ってるわ。もし当時の宰相の子供だったとしても王家のパターンはでるのだけど。そして母親の魔力量は十分だったから陛下のような悩みはないと思う」
私も兄もおとなしく王妃様とアルベルト殿下の会話を聞いている。
「なのでパートナー選びは極端な相手でない限り私は反対しないので、安心してパートナーを作りなさい。妾妃の子供だからと言って幸せを放棄することはないの」
王妃様がにんまり笑う。
「アルベルトは既に私の子供だわ。妾妃との縁は切った。実の母を失っても私がいるので安心しなさい。私はアルベルトとジャン・フランソワとジャン・ジャックの母親なの。貴方達を守るためにはどんな手も使うしどんな人脈も駆使します」
王妃様が私たち全員に向かって言う。
「妾妃は王に長年魅了の魔術をかけてました。王族に対する悪影響のある魔術を使用した罪で近いうちに捕縛されます。サマン家、この話の黒幕が彼らです。貴女達とキャロライン嬢達は明日から私が良いというまで学園は休んでもらいます」
「え?明日からテストですが」
思わず私が口にすると、皆笑い出す。
「そんなもの後で受けられます。貴方達が休んでいる事できな臭いとわかって逃げる者、をチェックしたいのよ。巻き込まれることを厭って逃げるのか、『ヤバイ』と思って逃げるのか、はこっちの下調べやなにかがあるのでね。その答え合わせを貴女達を使ってやります」
つまり囮、というか罠の餌みたいな役なのね。
「特に令嬢方はおうちにいてもらいます。……ブランシュとキャロライン嬢は特にね。こちらの弱みになりうるから。貴女を拉致られたらベルトランとフェルナン、アルベルトは冷静じゃいられないだろうし、公爵二人まで浮足立ったらお話になりませんから」
「それならサラ姉様も危ないと思うのですが」
「もちろんですよ。サラと貴女のお母様も公爵邸に軟禁ね。フェルナンとシリルとジャックは公爵邸に詰めてもらいます」
「わかりました。もしかしてアニエス嬢も」
「ええ、保護の為に貴族牢に入ってもらってます。お供の子がちょっとだけ怪しいから二人別々にね」
その後すぐに家に着いたので自宅用のワンピースに着替え、髪を片側で緩い三つ編みにして垂らします。ああ、楽。制服もドレスの時みたいにコルセットするわけじゃないですけどやっぱり楽さ加減が違います。
夕飯までに宿題だけ終わらせて夕飯に出るとシリル様とジャック殿下が我が家の食卓についてます。
「こんばんは」
挨拶をし私が席に着くとジャック殿下はぺこりと頭を下げる。シリル様はにへらと笑いかけてきた。
「今日から事が済むまでここに詰めろって。ここが多分安全なんだろうけどね、本丸でドンパチしたかったなぁ」
シリル様、相変わらずですね。
「お前と殿下は十分成績が足りてるから実戦は成績が足りてないやつの救済だと聞いたぞ」
兄がシリル様を、これは……からかってるんですよね?わかりにくい。注意とも違う感じだし。ただ単なる事実の指摘ってところか。
アルベルト殿下が呟く。
「だから私が陛下の嫁として嫁してきたの。魔力量保持と新しい魔力を王家に入れるために。まぁ、うちの国の王家とはかなり婚姻をむすんでるので王家では新しい魔力にはならなくてね。でも私は今までにいない雷属性魔力餅だし、弟は氷と雷で王家の姫の所に行くのが決まってて。ま、私は王家にこの国に売られたってわけです」
はっきりと王妃様は売られた、という。
「陛下が私に誠実であれば妾妃の事も許すつもりでした。が、避妊の呪いもかけずに交わって貴方を作ったのよ、陛下は。私に対する裏切りだったし妾妃はその頃は絶頂期で多分宰相、貴女の伯父の伯父上だったと思うのだけど、彼も王の側近も手に入れてたはずよ」
「つまり俺の出自も怪しいと?」
アルベルト殿下は悟った目をしている。
「大丈夫、貴方は陛下の子でちゃんと王家の魔力パターンを持ってるわ。もし当時の宰相の子供だったとしても王家のパターンはでるのだけど。そして母親の魔力量は十分だったから陛下のような悩みはないと思う」
私も兄もおとなしく王妃様とアルベルト殿下の会話を聞いている。
「なのでパートナー選びは極端な相手でない限り私は反対しないので、安心してパートナーを作りなさい。妾妃の子供だからと言って幸せを放棄することはないの」
王妃様がにんまり笑う。
「アルベルトは既に私の子供だわ。妾妃との縁は切った。実の母を失っても私がいるので安心しなさい。私はアルベルトとジャン・フランソワとジャン・ジャックの母親なの。貴方達を守るためにはどんな手も使うしどんな人脈も駆使します」
王妃様が私たち全員に向かって言う。
「妾妃は王に長年魅了の魔術をかけてました。王族に対する悪影響のある魔術を使用した罪で近いうちに捕縛されます。サマン家、この話の黒幕が彼らです。貴女達とキャロライン嬢達は明日から私が良いというまで学園は休んでもらいます」
「え?明日からテストですが」
思わず私が口にすると、皆笑い出す。
「そんなもの後で受けられます。貴方達が休んでいる事できな臭いとわかって逃げる者、をチェックしたいのよ。巻き込まれることを厭って逃げるのか、『ヤバイ』と思って逃げるのか、はこっちの下調べやなにかがあるのでね。その答え合わせを貴女達を使ってやります」
つまり囮、というか罠の餌みたいな役なのね。
「特に令嬢方はおうちにいてもらいます。……ブランシュとキャロライン嬢は特にね。こちらの弱みになりうるから。貴女を拉致られたらベルトランとフェルナン、アルベルトは冷静じゃいられないだろうし、公爵二人まで浮足立ったらお話になりませんから」
「それならサラ姉様も危ないと思うのですが」
「もちろんですよ。サラと貴女のお母様も公爵邸に軟禁ね。フェルナンとシリルとジャックは公爵邸に詰めてもらいます」
「わかりました。もしかしてアニエス嬢も」
「ええ、保護の為に貴族牢に入ってもらってます。お供の子がちょっとだけ怪しいから二人別々にね」
その後すぐに家に着いたので自宅用のワンピースに着替え、髪を片側で緩い三つ編みにして垂らします。ああ、楽。制服もドレスの時みたいにコルセットするわけじゃないですけどやっぱり楽さ加減が違います。
夕飯までに宿題だけ終わらせて夕飯に出るとシリル様とジャック殿下が我が家の食卓についてます。
「こんばんは」
挨拶をし私が席に着くとジャック殿下はぺこりと頭を下げる。シリル様はにへらと笑いかけてきた。
「今日から事が済むまでここに詰めろって。ここが多分安全なんだろうけどね、本丸でドンパチしたかったなぁ」
シリル様、相変わらずですね。
「お前と殿下は十分成績が足りてるから実戦は成績が足りてないやつの救済だと聞いたぞ」
兄がシリル様を、これは……からかってるんですよね?わかりにくい。注意とも違う感じだし。ただ単なる事実の指摘ってところか。
1
お気に入りに追加
197
あなたにおすすめの小説
【1/23取り下げ予定】あなたたちに捨てられた私はようやく幸せになれそうです
gacchi
恋愛
伯爵家の長女として生まれたアリアンヌは妹マーガレットが生まれたことで育児放棄され、伯父の公爵家の屋敷で暮らしていた。一緒に育った公爵令息リオネルと婚約の約束をしたが、父親にむりやり伯爵家に連れて帰られてしまう。しかも第二王子との婚約が決まったという。貴族令嬢として政略結婚を受け入れようと覚悟を決めるが、伯爵家にはアリアンヌの居場所はなく、婚約者の第二王子にもなぜか嫌われている。学園の二年目、婚約者や妹に虐げられながらも耐えていたが、ある日呼び出されて婚約破棄と伯爵家の籍から外されたことが告げられる。修道院に向かう前にリオ兄様にお別れするために公爵家を訪ねると…… 書籍化のため1/23に取り下げ予定です。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
いつかの空を見る日まで
たつみ
恋愛
皇命により皇太子の婚約者となったカサンドラ。皇太子は彼女に無関心だったが、彼女も皇太子には無関心。婚姻する気なんてさらさらなく、逃げることだけ考えている。忠実な従僕と逃げる準備を進めていたのだが、不用意にも、皇太子の彼女に対する好感度を上げてしまい、執着されるはめに。複雑な事情がある彼女に、逃亡中止は有り得ない。生きるも死ぬもどうでもいいが、皇宮にだけはいたくないと、従僕と2人、ついに逃亡を決行するのだが。
------------
復讐、逆転ものではありませんので、それをご期待のかたはご注意ください。
悲しい内容が苦手というかたは、特にご注意ください。
中世・近世の欧風な雰囲気ですが、それっぽいだけです。
どんな展開でも、どんと来いなかた向けかもしれません。
(うわあ…ぇう~…がはっ…ぇえぇ~…となるところもあります)
他サイトでも掲載しています。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる