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魔力量

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 「と言うことは母親からの魔力供給量がたりなかった?」

アルベルト殿下が呟く。

「だから私が陛下の嫁として嫁してきたの。魔力量保持と新しい魔力を王家に入れるために。まぁ、うちの国の王家とはかなり婚姻をむすんでるので王家では新しい魔力にはならなくてね。でも私は今までにいない雷属性魔力餅だし、弟は氷と雷で王家の姫の所に行くのが決まってて。ま、私は王家にこの国に売られたってわけです」

はっきりと王妃様は売られた、という。

「陛下が私に誠実であれば妾妃の事も許すつもりでした。が、避妊の呪いもかけずに交わって貴方を作ったのよ、陛下は。私に対する裏切りだったし妾妃はその頃は絶頂期で多分宰相、貴女の伯父の伯父上だったと思うのだけど、彼も王の側近も手に入れてたはずよ」

「つまり俺の出自も怪しいと?」

アルベルト殿下は悟った目をしている。

「大丈夫、貴方は陛下の子でちゃんと王家の魔力パターンを持ってるわ。もし当時の宰相の子供だったとしても王家のパターンはでるのだけど。そして母親の魔力量は十分だったから陛下のような悩みはないと思う」

私も兄もおとなしく王妃様とアルベルト殿下の会話を聞いている。

「なのでパートナー選びは極端な相手でない限り私は反対しないので、安心してパートナーを作りなさい。妾妃の子供だからと言って幸せを放棄することはないの」

王妃様がにんまり笑う。

「アルベルトは既に私の子供だわ。妾妃との縁は切った。実の母を失っても私がいるので安心しなさい。私はアルベルトとジャン・フランソワとジャン・ジャックの母親なの。貴方達を守るためにはどんな手も使うしどんな人脈も駆使します」

王妃様が私たち全員に向かって言う。

「妾妃は王に長年魅了の魔術をかけてました。王族に対する悪影響のある魔術を使用した罪で近いうちに捕縛されます。サマン家、この話の黒幕が彼らです。貴女達とキャロライン嬢達は明日から私が良いというまで学園は休んでもらいます」

「え?明日からテストですが」

思わず私が口にすると、皆笑い出す。

「そんなもの後で受けられます。貴方達が休んでいる事できな臭いとわかって逃げる者、をチェックしたいのよ。巻き込まれることを厭って逃げるのか、『ヤバイ』と思って逃げるのか、はこっちの下調べやなにかがあるのでね。その答え合わせを貴女達を使ってやります」

つまり囮、というか罠の餌みたいな役なのね。

「特に令嬢方はおうちにいてもらいます。……ブランシュとキャロライン嬢は特にね。こちらの弱みになりうるから。貴女を拉致られたらベルトランとフェルナン、アルベルトは冷静じゃいられないだろうし、公爵二人まで浮足立ったらお話になりませんから」

「それならサラ姉様も危ないと思うのですが」

「もちろんですよ。サラと貴女のお母様も公爵邸に軟禁ね。フェルナンとシリルとジャックは公爵邸に詰めてもらいます」

「わかりました。もしかしてアニエス嬢も」

「ええ、保護の為に貴族牢に入ってもらってます。お供の子がちょっとだけ怪しいから二人別々にね」

 その後すぐに家に着いたので自宅用のワンピースに着替え、髪を片側で緩い三つ編みにして垂らします。ああ、楽。制服もドレスの時みたいにコルセットするわけじゃないですけどやっぱり楽さ加減が違います。
 夕飯までに宿題だけ終わらせて夕飯に出るとシリル様とジャック殿下が我が家の食卓についてます。

「こんばんは」

挨拶をし私が席に着くとジャック殿下はぺこりと頭を下げる。シリル様はにへらと笑いかけてきた。

「今日から事が済むまでここに詰めろって。ここが多分安全なんだろうけどね、本丸でドンパチしたかったなぁ」

シリル様、相変わらずですね。

「お前と殿下は十分成績が足りてるから実戦は成績が足りてないやつの救済だと聞いたぞ」

兄がシリル様を、これは……からかってるんですよね?わかりにくい。注意とも違う感じだし。ただ単なる事実の指摘ってところか。
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