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四阿にて
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キトリー様がフランソワ様の事を熱心に語ってくれて私は『ああ、この人はフランソワ様がお好きなのね』と内心にっこりしていた。
「あら、皆さまおそろいですね」
キャロライン先輩が四阿を見ている。キャロライン先輩とルイーズ先輩が一つ上、兄様と同じ学年でキトリー様が私と同学年となります。
最初はまったりとした空気だったのですがアルベルト様とフーシェ家の兄弟が目を合わせて頷きあっている。
「あー、ちょっと話したいことがあるんだ」
アルベルト殿下が胸につけていたブローチをいじる。どうも遮音の障壁を四阿に張ったようだった。
「まず、フーシェ兄弟、ジャン=フランソワとジャン=ジャックの二人なんだが……第二王子と第三王子なのだ」
は?兄様達は知っていたようで動揺していないけれど女性陣は扇子で顔を隠して動揺を見せない努力をしている。
「あの、何故急にそんな話を?」
ジャン=フランソワ殿下がにっこり微笑む。
「それは、僕らが貴女達にお願いがあるから」
アルベルト殿下が続けて話す。
「私たち3兄弟は今、王子宮で生活している。最近王子宮や学園でその……下位貴族令嬢達がかしましくてだな。私たちの隣を狙っているようなのだ。妾妃が暗躍している様子もある。そう、我々、ここにいる男性のパートナーに『ピンクの会』とやらの関連女性を添わせようとしているようなのだ」
「兄様は……バルバストル公爵家サラ様と婚約中ですが」
兄様がため息をつく。
「正式な契約書がベルトランのせいで受理されてなくてね。そのあたりのやり取りで母様と父様があちらを訪ねてるんだよ、最近。で、今ピンクの会の攻撃が俺一人に集中してるから今のうちに、ね」
「僕はま、美味しくいただいてます」
シリル様がしれっと……、本当女の敵だ。エリク様は
「私にはとんと。殿下たちに近づく女性が多すぎてそっちをさばく事しか考えられません」
アルベルト殿下は苦笑している。
「エリク、最近王子宮に泊まり込んでるもんな」
「仕方ないでしょう。侍女に袖の下渡して夜這いしてくるとか……全く持って慎みのない」
まー、王子時代からの側女だとなかなか捨てられたりはしませんしね。
「で、だ。皆さま方の手を借りたいのだ。お願いは日々昼食を一緒にしてほしいのと適宜帰宅を一緒にしてほしいのと。もちろんご自宅まで送るのでそのあたりはおうちの方へちゃんと連絡する」
やや立ち直ったキトリー様が発言する。
「私では家格が足りないのでは?伯爵家ですし」
「それをいうならうちも子爵家です」
「うちも伯爵家ですわ」
ルイーズ様とキャロライン様も心配そうである。ジャン=ジャック殿下が発言した。
「いや、俺とシリル先輩は抜いてくれていい。シリル先輩は自分で好きに対処するし俺は騎士学校なのであの女性達の目からは逃れてるから。外見も武骨なんでな」
ジャン=ジャック殿下は自分で言う通り、ほかの貴公子然としたメンバーと違い背も10cmくらい高く胸板もかなり厚い。そう、騎士というより戦士に見える。でも王の恰好は一番はまりそう。
「女子には敬遠されてるしな」
とシリル様が笑う。この人こそ骨から細そうで華奢で幼い顔立ちで。この人の本性しらなかったら可愛いといいたくなる程度に整った愛らしい容姿をしている。が、兄様から聞いたところによると今の騎士学校でも1.2を争う剣士だそうです。人は見かけによりません。
「陰でもててるタイプだよね、ジャックは」
シリル様とはかなり親しいようです。
「僕の場合はフーシェの家の馬車使うから大丈夫だよ。それに家の格なんて関係ない、のがあのピンクの会みたいだしね。準男爵の令嬢が全裸でベッドにいた時には……。媚薬まで使ってたから大変で」
フランソワ殿下が思い出して溜息をついた。
「あら、皆さまおそろいですね」
キャロライン先輩が四阿を見ている。キャロライン先輩とルイーズ先輩が一つ上、兄様と同じ学年でキトリー様が私と同学年となります。
最初はまったりとした空気だったのですがアルベルト様とフーシェ家の兄弟が目を合わせて頷きあっている。
「あー、ちょっと話したいことがあるんだ」
アルベルト殿下が胸につけていたブローチをいじる。どうも遮音の障壁を四阿に張ったようだった。
「まず、フーシェ兄弟、ジャン=フランソワとジャン=ジャックの二人なんだが……第二王子と第三王子なのだ」
は?兄様達は知っていたようで動揺していないけれど女性陣は扇子で顔を隠して動揺を見せない努力をしている。
「あの、何故急にそんな話を?」
ジャン=フランソワ殿下がにっこり微笑む。
「それは、僕らが貴女達にお願いがあるから」
アルベルト殿下が続けて話す。
「私たち3兄弟は今、王子宮で生活している。最近王子宮や学園でその……下位貴族令嬢達がかしましくてだな。私たちの隣を狙っているようなのだ。妾妃が暗躍している様子もある。そう、我々、ここにいる男性のパートナーに『ピンクの会』とやらの関連女性を添わせようとしているようなのだ」
「兄様は……バルバストル公爵家サラ様と婚約中ですが」
兄様がため息をつく。
「正式な契約書がベルトランのせいで受理されてなくてね。そのあたりのやり取りで母様と父様があちらを訪ねてるんだよ、最近。で、今ピンクの会の攻撃が俺一人に集中してるから今のうちに、ね」
「僕はま、美味しくいただいてます」
シリル様がしれっと……、本当女の敵だ。エリク様は
「私にはとんと。殿下たちに近づく女性が多すぎてそっちをさばく事しか考えられません」
アルベルト殿下は苦笑している。
「エリク、最近王子宮に泊まり込んでるもんな」
「仕方ないでしょう。侍女に袖の下渡して夜這いしてくるとか……全く持って慎みのない」
まー、王子時代からの側女だとなかなか捨てられたりはしませんしね。
「で、だ。皆さま方の手を借りたいのだ。お願いは日々昼食を一緒にしてほしいのと適宜帰宅を一緒にしてほしいのと。もちろんご自宅まで送るのでそのあたりはおうちの方へちゃんと連絡する」
やや立ち直ったキトリー様が発言する。
「私では家格が足りないのでは?伯爵家ですし」
「それをいうならうちも子爵家です」
「うちも伯爵家ですわ」
ルイーズ様とキャロライン様も心配そうである。ジャン=ジャック殿下が発言した。
「いや、俺とシリル先輩は抜いてくれていい。シリル先輩は自分で好きに対処するし俺は騎士学校なのであの女性達の目からは逃れてるから。外見も武骨なんでな」
ジャン=ジャック殿下は自分で言う通り、ほかの貴公子然としたメンバーと違い背も10cmくらい高く胸板もかなり厚い。そう、騎士というより戦士に見える。でも王の恰好は一番はまりそう。
「女子には敬遠されてるしな」
とシリル様が笑う。この人こそ骨から細そうで華奢で幼い顔立ちで。この人の本性しらなかったら可愛いといいたくなる程度に整った愛らしい容姿をしている。が、兄様から聞いたところによると今の騎士学校でも1.2を争う剣士だそうです。人は見かけによりません。
「陰でもててるタイプだよね、ジャックは」
シリル様とはかなり親しいようです。
「僕の場合はフーシェの家の馬車使うから大丈夫だよ。それに家の格なんて関係ない、のがあのピンクの会みたいだしね。準男爵の令嬢が全裸でベッドにいた時には……。媚薬まで使ってたから大変で」
フランソワ殿下が思い出して溜息をついた。
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