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まずは現状把握だ。

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 冒険者ギルドではヒューイがギルド長の元に宗介を連れていく。

「多分、キジン(貴人)じゃないかと…」

キジンって日本語みたいな響きだと宗介は思いながらも大人しく話が終わるまで待つ。

 「これから頑張って」

ヒューイが退室し少し宗介は心細くなった。ギルド長が一枚の書類を見せる。

「これが読めるか?」

「辞書、使っても?」

宗介の言葉にギルド長は頷いた。

「大体意味はわかりました。この世界での身分保証と、就職、冒険者として、の話ですね?」

「そうだ。読み書き、算術はどの程度できるかな?少しテストさせてもらいたい」

読み書きは辞書無しでは殆ど出来なくて、暗算は恐ろしく早い、と評価された。宗介は算盤をやっていたので暗算はお手の物だった。

「他は何ができる?」

「調理をすこーしだけ」

ギルド長は考え込んでいた。そして口を開く。

「大抵は冒険者を勧めるけど…うちのギルドの厨房手伝うか?」

宗介は頷いた。多分、冒険者よりは向いてると思ったからだ。



 宗介はこのギルドの厨房に入った。

「新入りは芋の皮むきからだな」

と大量の芋とナイフを渡される。宗介は芋の形を見ながら縦に皮を剥いたりくるくると回しながら皮を剥いたりと器用なものだった。
 今までの下働きの少年よりもかなりスピードがある。黙々と働くので調理場のスタッフにも嫌われなかった。


 数週間経って、初めて賄いを作る事になった。使っていいのはベーコン、玉ねぎ、卵、じゃがいもだった。

「小麦粉とかもいいぞ」

「コレも使う、いいか?」

宗介は乾燥してカチカチになったパンを手に取っている。

「別にいいが…」

 何をするつもりだろうかと、厨房のリーダーは思っていた。宗介はおもむろに乾燥したパンをおろし金ですりおろしている。あっという間にパン粉が出来上がった。
 芋を茹で玉ねぎをみじん切りにし、ベーコンと炒める。塩と胡椒をふる。茹で上がり潰された芋と炒めたベーコンと玉ねぎが合わさる。

 衣をつけられた種が油で揚げられる。その頃には厨房だけでなくそこにいた冒険者たちも匂いにつられて厨房を見ている。

「…おい、それは」

「賄いなんで…」

厨房のリーダーが覗き込んできた冒険者をあしらっている。魅惑的な匂いであるが味もわからないものを客には出せない、リーダーはそう思っていた。
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