令嬢キャスリーンの困惑 【完結】

あれ？

　「王弟殿下のあれ？」

「キャスを狙う発言」

嘘でしょ？

「冗談でしょ？」

「あの人、うちの母上にベタ惚れでさ。…キャスがそっくりだって知って会いたいって言ってたんだよ」

エイドリアンはやはり西翼の見える位置に立った。

「嫁とかは考えてないけど…公爵家には入り浸ると思う。魔石の件もあるし」

「父親がそう言う面では有能なの不思議」

「宰相様のと公爵様は…俺にはよくわからん。テレンス伯父上と母上は仲良いから、少し話を聞いたことあるけど、彼は学院にはいかず、学院で学問する時間を冒険者として過ごしたらしいよ」

エイドリアンは西翼を見据えたままだ。

「え？！」

「どうしたの？」

「テレンス伯父上が私兵を連れて乱入してきてる」

私とエイドリアンの様子を見てマリーベル様も静かにこちらに来た。

「予定外の兵力投入てとこみたいね？」

「あたり。テレンス伯父上だ」

中に何か非常識に強い魔導士が居る？鎧をつけた人達が動けなくなってる、全員地面に縫い付けられてるみたい。

「あそこどうなってるの？」

「まだわからん。が、テレンス伯父上の兵以外動けなくなってるみたいだ」


　お茶の時間の戦いは3時間くらいで済んだみたい。テレンス叔父様の「私兵」は冒険者でたまたま王都の冒険者ギルドに強い人が来ていたので手伝ってもらったらしいです。（そのうち1組は王弟殿下が依頼して来てもらってて、それを知った他のパーティ？冒険者さん？がきな臭さに惹かれて来ていた、と叔父様が教えてくれました）

　結局、悪魔崇拝グループの主催者はスコット伯爵だったそうです。彼とメーガン男爵は狂信者で、スコット伯爵令嬢のアン嬢はあれこれ実験を施された状態だったそうで、本当の元のアン嬢の人格は残っているかどうか…、と王弟殿下がおっしゃってました。アン嬢は王弟殿下が『引き取って』保護したとかなんとか…。怪しい。
　　ミシェルは、『あの』マリアさんが王宮で陛下にちょっかいをかけていたので早々に王弟殿下が確保したとのこと。何年か、あの、私の中にいたミシェルの半身と過ごして落ち着くまでは会えないと言われました。…王弟殿下が無茶な事しなければ良いな、と祈るだけですね、はぁ。