令嬢キャスリーンの困惑 【完結】

は？は？は？

　なんでここに、陛下がいるのよっ？

たぬき親父、顔だせーっ。

「私の事は気にしなくていい。ここは個人エドワードとしての訪問だからな」　

と誰よりも寛いでいるこの陛下オッサン、我が国のトップですよ…。チラリと侯爵様を見るとものすごい顔をしている。

　叔母さまが陛下の相手をしているのだが陛下、ものすごく嬉しそうです。なんだろう、この露骨にわかる喜びようは…。

「あら、貴方ご機嫌ね」

王妃様が遠慮なく切り込んできた。

「お、…何故…」

「ローランド様がエルシーかキャスに手をつけかねないから監視に行けと。もうすぐ側妃様もいらっしゃいますわ」　

あけすけって言うか開放的というか…。

「ついでに私と側妃様シェリルに『あの』マリアさんと宰相夫人の事じっくり話していただきますわ。特に宰相夫人の事、しっかりお話してくださいね」

優しい口調だけど…、これは怖い。叔母さまが

「今日は人数も多いですし、大人と子供のお茶は分けましょうね。子供だけなので子供の方は楽しく食べられるようにしましょうか。天気も良いし屋上庭園に席を作りましょう」

にこやかに笑っているけど…、ピリピリしているのは伝わってくる。エレインがそっと叔母さまの腕に手を置く。叔母さまは少し頷いて微笑んだ。

「エイドリアン、皆を屋上庭園に」

小さな声で叔母さまがエイドリアンに言ってるのが聞こえる。

「戦闘メイドと騎士を配置してあります。万が一の時は王太子様をお守りして」

エイドリアンも頷いている。たぶんこの中で陛下が一番のんびりしている。さすがあの王弟殿下の兄だわ…


　「王太子様は何食べます？」

「んとね、んとね、ハムのサンドイッチときゅうりのサンドイッチとスコーン。紅茶たくさん甘くしていい？」

「良いですよ。今日は子供だけなので好きにして良いと許可が出てます」

エレインが優しく王太子様を世話している。マリーベル様はジョージ殿下についている。


　私とエイドリアンは少し離れた場所で話をしている。大きめのカップに甘めの紅茶を入れて飲んでいる。

「この場所の結界がうちでは強いとこだから」

とエイドリアンが説明をし始めてくれる。