令嬢キャスリーンの困惑 【完結】

あくの

文字の大きさ
上 下
41 / 55

赤毛の令嬢 4

しおりを挟む
 「ここは離宮。王家の持ち物だよ。誘拐とかではないので安心して欲しい」

「はい…、ジェリー殿下もおられますし、…マリーベル様もキャスリーン様もいらっしゃいますし。エイドリアン様も。これだけの方がいて無体なことはないと…。あの、なぜ私は拘束されてるのですか?外してもらえませんか?」

「ごめんね、まだ外せない。君は理性的なようだから、話を聞かせてくれるかな?」

「話せば拘束も解いてもらえますか?」

「…内容によるかな」

王弟殿下は嘘はつかないんだ…、この人は全部を話さないだけで嘘はつかない人なのね。

「まず、貴方はとなたですか?」

アン嬢改めてアンネ嬢が尋ねる。

「この部屋で一番偉い人。西の大公、といえばわかるかな?」

「王弟殿下…」

「そう」

私が不思議な顔をになったのをマリーベル様は分かったみたいで小さな声で教えてくれる。東西南北に置いている大公家四つは王家の直轄で、王家の血筋がある人が代々継いでいること。我々のような公爵家と違い国境を守る役目を担う家であること。今、北は陛下の従兄弟が、東と西と南は前陛下の側妃様腹の弟様が、おさめてると。みな、王弟殿下とほぼ同じ歳で、一気に政治的なことを解決しようと前陛下が子供を作ったと。この一年下には三人の王妹殿下がいらっしゃってみな、気候のいい南方へ嫁いでいらっしゃるらしい。
 一番厄介な西を収めてるのがこの王弟殿下であること。また、西には瘴気を吹く山があってそれをメインでおさめたのが王弟殿下だと言うこと。ウエスト家はその時の補佐であったこと。
 若くして西の瘴気をおさめた殿下はその力ゆえに表に出なくなったと言うことらしい。
 …表に出て王弟殿下やってたら好き勝手やる時間がなくなるからじゃないのかと言う疑いは私の中では大きいし、確定に近いけど…口に出すのはやめておこう。

 こんな話をしている間に王弟殿下は彼女がアン嬢の身代わりでメーガン男爵家から学院に通っていること、本物は外に出せない程度にやばくて一応学院でお婿さん候補を見繕えと言われていること、アン嬢とアンネ嬢は入れ替われるくらいそっくりなことを聞き出していた。

「で、僕らはどうやって君がアンネ嬢であると判断すればいいと思う?」

王弟殿下は意地の悪い顔でアンネ嬢(仮)に尋ねている。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。 魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。 でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。 その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。 ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。 え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。 平凡で普通の生活がしたいの。 私を巻き込まないで下さい! 恋愛要素は、中盤以降から出てきます 9月28日 本編完結 10月4日 番外編完結 長い間、お付き合い頂きありがとうございました。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

叶えられた前世の願い

レクフル
ファンタジー
 「私が貴女を愛することはない」初めて会った日にリュシアンにそう告げられたシオン。生まれる前からの婚約者であるリュシアンは、前世で支え合うようにして共に生きた人だった。しかしシオンは悪女と名高く、しかもリュシアンが憎む相手の娘として生まれ変わってしまったのだ。想う人を守る為に強くなったリュシアン。想う人を守る為に自らが代わりとなる事を望んだシオン。前世の願いは叶ったのに、思うようにいかない二人の想いはーーー

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」  色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。  ……ほんとに屑だわ。 結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。 彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。 彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

処理中です...