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殿下のお話

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 「本当は側妃や王妃様も呼びたいところだけど、流石に夕方からの緊急呼び出しはできないな」

と殿下。エイドリアンが入ってきた。

「適当に座りたまえ」

殿下が促す。



 「まず、前公爵夫人アナベル元レオンの奥方マリア、この二人の呪いの形状を見ると悪魔崇拝集団と関わってると思う」

え?!…いや、なんか思い出しそう。えーとえーと。

「メーガン男爵家はもうずっと悪魔崇拝の疑いがあって、間者を入れてるんだが間者が全て死体で帰ってきているのだ」

なにそれ。真っ黒じゃん。

「メーガン家の息子は第3クラスにいます。女子相手に『おまじない』付きのハンカチを売ったりしてるくらいで怪しい動きはまだないです」

エイドリアンが報告する。

「キャス相手に暴力沙汰を起こした、アン・スコット伯爵令嬢の寄宿先がメーガン男爵家です」

「聞いてないぞ」

侯爵様が呟く。

「そりゃ確証ない報告なんてできないでしょ、父さん」

侯爵はエイドリアンにやり込められる。殿下が楽しげにニヤニヤしている。

「明日、その令嬢連れ出せる?うちの馬車回すから、エイドリアンと二人で赤毛の令嬢と王宮までおいで。そのまま道具の揃った私の離宮につける様にする。キャスリーン嬢はマリーベル嬢とジェリーと一緒にジェリーの馬車でおいで。そうだな、マリーベル嬢にジェリーを紹介してるって事でうちの四阿を使うといい」

その言い訳いるのかな?

「ま、誰かに聞かれたら、くらいの話。口がさない貴族の浮かれた阿呆どもが来たりするからな、離宮にも」

王弟殿下は終始上機嫌だ。父親と宰相様はぐったりとソファに沈み込んで…これ、寝てない?!

「セバスチャン」

侯爵様が家令に声をかける。

「あの二人を寝室に。逃げない様にしておいてくれ」

家令の人が頷き男性の使用人を呼んで二人に肩を貸して連れて行った。暗示を解いた所為でぶり返しが来て体と心が休みを求めているのだとか。私が倒れたのもその所為らしい。

 あ、あれか!

「メーガン男爵って、黒髪黒い瞳のまつ毛バッサバサ、特にしたまつげの目立つ人?」

エイドリアンに聞いたのだけど王弟殿下がこたえてくれた。

「唇が真っ赤なやつな」

「多分会ったことあります」




※   少しお休みいただきます。次回更新は10/4 月曜日になります


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