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呪いの主

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 「まず、このピンクの石に閉じ込めたのは女の子の『魂』。本来ならこれを贄にして君は呪いに喰われて廃人になってるはずだった」

いきなりヘヴィな話…。

「ただし贄が贄として働かなかった。呪いをかけた人間が思ってるほどこの魂の持ち主は君に悪感情がなかった。というか、どっちかというと好意があった」

へぇ?

「で、だ。君の周りにピンク色の髪か瞳のあんまり年齢が変わらない子はいる?」

多分…

「従妹がストロベリーブロンド、アクアマリンみたいな色の瞳、一つ下です」

「ビンゴかな。血縁ぽい繋がりも見られる。その子はどこへ?」

叔母さまが殿下に伝える。

「ガースン元子爵家のマリアさんの妹さんが産んだ私生児で、今はマリアさんと一緒に愛人のメーガン男爵家に身を寄せてます。名前はミシェル」

「そうか…まずいな」

王弟殿下のシリアスな悩み様、中々まともそうに見える。

「まずだ。キャスリーン嬢の呪いは二人の女性によってかけられている。彼女の母親と祖母と」

私はさもありなんと思う。母親の私を嫌う様や祖母の私を見る目の冷たさは呪いくらいかけても不思議ではない。

「キャスリーン嬢、驚いてないんだね?」

と殿下が驚く。

「私は母親にも祖母にも大事にされたことはありませんから。祖母や母親の目を見れば好かれていない事はわかりますし」

「ふむ。では従妹に嫌われた事は?」

「ないのだと思います。彼女が7つくらいまでは普通に話もしてました。それを越えたらなんだかだけを話してる感じになってますね、今思うと」

叔母さまがニコっと笑う。

「私の知ってるキャスが戻ってきた感じね。今までは一枚ヴェールがかかってる様なもどかしい感じだったもの」

父親と宰相様は先までの頑固者という空気ではなくなっている。し、今まで見た事ないくらいに落ち着いている。けどかなりぐったりしてる。

「君に呪いがかけられた事を鑑みてレオン公爵と宰相殿を精査するとだな」

殿下がニヤニヤ笑っている。

「母親に対する感情が五歳の男の子で止まるように暗示がかかってた」

…てことはここにいるのはママのエプロンを握る様な年齢の男の子の心で、四十絡みのおっさんの体なのか。気持ち悪い。

「ここまではキャスの話。これからはエイドリアンも呼んで」

王弟殿下、シリアスにしてるつもりなのだろうけど…、なんかこの人決まらないわ。
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