令嬢キャスリーンの困惑 【完結】

あくの

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 「キャスリーン嬢、君は一瞬辛い思いをする。テレンス、キャスリーン嬢の後ろへ。フィリップ、テキャスリーン嬢の右へ。エルシー夫人、キャスリーン嬢の左へ。よし。テレンスはキャスリーン嬢の肩に手を置いて。みんなの魔力をキャスリーン嬢に注いで循環させてる。フィリップが送った力をエルシー夫人は受け取って、エルシー夫人の力を乗せてフィリップにかえして。それを繰り返す。テレンスはキャスリーンを支えて俺が剥がした瞬間にキャスリーン嬢に保護膜を貼って」

何が起こってる?鳩尾の辺りで何かがぐるぐるしてる。

「ふんっ」

体の中から何かがベリって、ベリって。王弟殿下がなにかに優しい声をかけて魔石にそれを触れさせる。私の中に何か不快なものが侵入しようとしたけど弾いてる感じが頭の中にある。

「あはは、呪いが」

と言いながら王弟殿下が私のこめかみに両手を当ててから引っ張るような動作をしている。

えっ?

えっ?

なに、これ。何もないのにこめかみから何か引っ張って出されてる感じが。

うわっ、痛い、え?頭の中で爪、爪たってる。

「うわぁあ、お、あ、い、う、痛いっ」

思わず声が出る。

「やめて、引っ掻かないで、爪立てないで。つねらないで、やめてよ、ま、ママっ」

なんで、ママ?!私は混乱した。



「キャス、大丈夫?」

叔母さまが私の手を握っていた。まだ緩やかに叔母さまの魔力が流れ込んできている。

「多分」

掠れた声。自分の声じゃないみたい。

「呪いはまずは大丈夫。普段はあそこまで乱暴な解呪にならないよう時間かけるらしいのだけど」

叔母さまはため息をつく。

「キャスのおかげで兄上達も性根が入ったみたい」

叔母さまは先ほどまでの怒った叔母さまではなく落ち着いた声だった。

「もう夕方でマリーベル嬢は来てくれたのですけど貴女が倒れてたのでお引き取り願ったの。キャスがもう少し元気になったらエイドリアンから知らせる、という事になってます。これから王弟殿下から呪いの話をしてもらいますね。王弟殿下はこの国の神殿の長でもあるのです。あの方の解呪の力は本物なのだけど、性格がアレでね…」

と叔母さまは遠い目をする。

「呪いとか大好きで…公爵家で作る魔石は王弟殿下と神殿が全て買い上げて解呪用に使ってるの。天然の魔石使うのも勿体無いし」

だから、我が公爵家は王家に対する依存度が高いのだとか。

「殿下のの機嫌がすこぶる良くなってるからあまり気持ち良い話ではないと思うわ」

叔母さまはそう言ってまた、遠い目をしている。
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