令嬢キャスリーンの困惑 【完結】

あくの

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エイドリアン

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 エイドリアンは留学から帰って変わらないけど変わった。昔は私の髪の色や目の色を揶揄う事が多かったけど、流石に誰に対してもそんな事をしなかった。
 侯爵家に居候することになってから二、三日経ったある日、エイドリアンに思いっきり謝罪された。私を揶揄ってたのは

『母上と同じ顔で目の色も髪の色も同じなキャスリーンが羨ましくてしょうがなかったから』

だと。
 揶揄われたりつっかかられたりしたことは忘れないけど。それはそれとして学院に馴染む足掛かりになればなとも思う。

 学院にエイドリアンと通う。揶揄う生徒が多いが我々の間に恋情を伴った交流を感じるならその目は節穴なのだろう。
 私は改めて領地経営をするという事を考えたカリキュラムを組み直されて、かなり必死で勉強をする羽目になった。
 そして困った事にエイドリアンと一緒だと自動的に第二王子がくっついてくる。彼曰く私と彼は幼馴染らしい…。エイドリアンたちと遊んでた頃、一緒に居た、というのだ。エイドリアン以外の一緒に遊んでた男の子はアボット伯爵家のお孫さんで金茶色の髪の子だっだ。目の色は記憶にないな。第二王子は銀髪緑眼の王家の色、私と叔母さまや父親と同じ色だ。

「殿下と遊んだ記憶がないのですが…」

食堂の王家専用の小部屋に連れ込まれエイドリアンと第二王子殿下とランチ、という羽目になった。
 私と幼馴染だという第二王子の言葉に思わず反論した。

「覚えてないかー。ほら、アボット伯爵の家の坊主」

「金茶の髪の子ですよね。覚えてますよ。侯爵家の庭の大きな木に私が登って行ったら青い顔して『降りろ、危ないから』て言ってたことありました」

と彼との思い出を語ってみる。エイドリアンはわたしにも殿下にも呆れ顔なのだが…、理由がわからない。
 エイドリアンはお手上げだ、と言いわたしに向き合った。

「これは元のジェラルド・アボット。ジェリーだ」

は?!目の色も髪の色も違いすぎる。

「これはないだろう、これは」

殿下がエイドリアンに言う。

「俺が側近してるのもジェリーだからだよ」

殿下とエイドリアンの話では、ジェリーのお母様はジェリーとジョージ第三王子を産んだ時はまた、側妃ですらなく、ただの陛下の恋人だったこと。正妃様が王太子を産むまでは側妃にはさせなかったこと。(王太子殿下はまだ7歳です)ジェリーのお母様はアボット伯爵家にずっといるつもりだったのに王の血を引く王子二人を市井に置くわけにはいかない、と王宮で生活する事になったこと。

「それが俺が12歳の頃に起こった事だ。その頃ちょうど髪の色と目の色が王家の色になってな。それも俺たちが王宮に入る一因になったらしい」
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