令嬢キャスリーンの困惑 【完結】

あくの

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父からの慰謝料

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 結局、私は母親を警戒している叔母さまの元に、侯爵家に住むことになった。公爵家は広すぎる上に面倒くさがりの父親が使用人を最低限しか置いてないので私を守れないと父親に主張してくれたからだ。

「面倒ならうちの客間にお兄様もお住みになられます?」

叔母さまの言葉に父親はタジタジになって退散した。

「暫く顔見せるつもりもないわね、お兄様。貴女用の費用で白金貨1枚置いてったわ」

叔母さまは呆れている。

「どうでしょう。母親とミシェルの費えで、シーズンごとに大金貨5枚用意してましたから。母親の言ったことそのままって事かも」

叔母さまが頭を抱えた。

「お兄様、頭悪かったのね…」

それを聞いて義叔父様が笑っている。義叔父様、ベアード侯爵は父親と学院でクラスメートだったそうです。

「レオンが浮世離れしてるのは学生の時からだよ。屋台で大金貨で支払おうとしたり」

父親は頭悪かったの?!と叔母さまと同じ感想を持ってしまいました。

「銅貨3枚分の為に大金貨?!」

自分でも自覚できる程度に呆れた声が出た。義叔父様は声を出さずにわらってる。肩が震えてて、とうとう立っていられなくなったらしく膝をついてしまった。

「レオンに育てられ、てないか、君は。君の金銭感覚がまともでよかった。それでだな。君には毎月小遣いを渡します。エイドリアンと同じ額を渡すのでまずはそれでやりくりしてください。純粋に小遣いなので、学費や被服費は含みません。大体10日で、金貨一枚という計算にします」

即座に私は答える。

「多いです」

「友達と食べに行ったりとかはこれで賄ってもらうからこんなものかと」

義叔父様は言うが、そんなに使わない…。

「友達も居ませんし」

私はここにおいてもらえるだけで幸せだし、父親の顔を見なくても済むし。

「今はね。学院ではなにかとお小遣いは飛んでいくし持ってても損はない。余ったら銀行の口座に入れておきなさい」

叔父様が私に銀行の通帳を渡してくれる。几帳面な字で書かれた文字は白金貨一枚分の金額が書かれていた。

「あの、これ…」

叔母さまが言う。

「兄上から貴女への慰謝料」

この10年間ほっておいたお詫びという事らしい。一年大金貨一枚換算かー。貴族の女子ならこんなもの?

「何かあったときに使えるからね」

そう言いながら義叔父様は外国の金貨が半分に割れたようなものをくれる。

「これは割り符。これと通帳で引き出せるので」
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