令嬢キャスリーンの困惑 【完結】

あくの

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父の覚醒

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 父親は私の状態を知って母親に問いただしてました。私もミシェルもいる前で。

『この予算はどういう使い方をしてるんだ。今年はキャシーが学院に行くから夜会服や普段着も多めに用意するための予算だろうが』

『あらそれは来年でなくて?』

『12歳のテストで入学年齢が決まるのを忘れたのか?ミシェルは今年は不合格で来年の再テストまでに規定点が取れなければうちからのミシェルに対する援助は切る。お前の家の為に何年も金をかけて。それもで実の娘のための金を掠め取るような真似をし続けてしたのはどうしてだ?』

この時の母親はしれっと。

『私の娘はミシェルです。キャシーなんて子は私は知りません』

言い放ち父親は激怒したのでした。

『今すぐ出て行け。荷物も置いてな。男爵家には手紙を書いてある』

 既に父親の中で筋書きは決まってたようです。
遅いけど。私には父に対する不信しかないです。信用できる人なんて居ません。
 侯爵家の人も良くしてくださってたのは表だけかもしれない、本当は母おの言葉のように迷惑していたのを笑顔で誤魔化してたのかもしれない、そんな思いがありました。

 父親に聞かれたことは全て答えました。事実だけを。元の自室がミシェルの衣装部屋になってることや一度も家庭教師もマナー教師もつけられてないことは聞かれてないので話してません。
 茶会に出てないことも聞かれてないので話してません。もちろん、その時は服がないことも私の普段着のワンピースが、洗濯をしている女性の娘さんのお下がりを夏冬各2枚ずつしかないことが異常だと思ってなかったのもあります。ミシェルの衣装部屋を見て

『体は一つなのに、こんなに服ばかり持っててどーするんだろ?』

なんてこと思ってたので。

 誰に入れ知恵されたのか、とうとう父親が私の秘密基地、屋根裏部屋を見つけてしまいました。

「なんだ、ここに居たのか」

昔は父親の秘密基地だったそうです。道理でベッドちゃんとしたのがあると…。

「正式にミシェルとマリアは男爵家に送った。結納がわりの借金の返済もしてもらう。…聞きたいのだが」

父親がじっと目を見る。

「ミシェルに婿を迎えてこの家をって言われたのか?」

「ええ。私は平民になるのだから今から平民として扱うと10歳の時に言われました。それまではミシェルのお下がりを着ていたのですが、ミシェルが平民に服をあげるのは嫌だ、ということで以降は洗濯をしてくれてるマダムの娘さんの服をいただいたり、メイドのお仕事を手伝ったりしてました」

「なんで…言ってくれなかったんだ」

父親の声に私はしらけきって答えました。

「家のことを気にもかけてない父親になにを言えばよいのでしょうか?」

あれ?そういえば母親を男爵家に送ったってなに?母親の実家は子爵家よね?なにがあったの?…聞かないけど。あの母親ヒトがどこに行こうと私には関係ないし。
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