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再びアキラの章

27 第三階層目は植物エリアだった。

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 「ちょっと、速いのだわ」

遅れがちなヴィーが息を上がらせて文句を言う。

「そろそろお茶の時間ではなくて?」

「セーフエリアに着くまで休まないぞ」

「えー」

「こんな何があるかわからんところで止まってられるかっての」

「もう足がうごかないの」

ルディが腰につけている袋から氷砂糖の大きな粒を渡す。

「甘いもの舐めながら歩いたら少しはましです」




 セーフエリアに着いた時にはヴィーはお付きの男に背負われていた。

「おい。そこのお付き」

「はい」

デヴィッドが厳しい顔で見る。

「この先もずっとおぶっていけよ?まともに歩けない人間がダンジョンに潜ったりするな」

「……仮にも王女ですよ」

メイドが口を出してくる。

「なぁ、そっちのパーティに合わせたらこのエリア抜けるのも2週間程かかるぞ?」

アキラにそう言われ近衛たちで相談する。

「我々で背負っていきます……」

「……あんたらの体力ならいけるだろう。ただ最初の間は歩かせろ。ヴィー、歩けよ?兄達の足しか引っ張ってないぞ今」

「うっさい」

アキラは溜息をつく。エリクが低い鋭い声を飛ばす。

「ヴィー」

ヴィーは黙った。



 昼食の間、アキラは余分に持っていた椅子やタオルや毛布や端材を縛りどうにか背負子を作る。

「不格好だし折りたたみとかできないからあれだけど直接おんぶするより楽だと思う。ヴィーぐらいな乗せられるだろう。ただ落ちたら五月蠅いからこの紐で縛っとくといい」

「何から何まで申し訳ない」

「次のセーフエリアまで1日かけたくない」

謝る狼国近衛の隊長にアキラははっきりと言った。そこにフランシスが加わる。

「友人の妹の為に申し訳ない。目的を果たすためにあの子の能力が必要なんだ」

アキラはそのセリフを他の端末全員に飛ばす。クロから

『特殊能力があるようだな。探っておく』

と返ってくる。レッドとシルバーからは

『小さいし、飛び回るし、……正体が今一つわからなくて』

と念話が飛んできてクロはあわててシルバーとレッドに伝える。

『悪かった。アキラに言ったから忘れてた。そいつは色々な魔石を取り込んだ『カマキリ』だ。呪いの魔石にも耐えたしな』

シルバーとレッドの疲れた気持ちが伝わる。

『第4階層は草原、第5階層は森だよ。どっちも虫系のモンスターエリアで……今、手のひら大のカマキリが異常発生してるんだ。まぎれてやがるな、そいつ』

レッドの言葉だった。

『端からやけば?』

アキラが言うとクロから待ったがかかる。

『印璽の行方は?』

『全部食わせたのか、それとも……残りは第5王子が持っているのかどこかの階層で落したのか』

アキラの念に皆うんざりした。

『わかった。落とし物がないかは俺達が探る』

レッドはそう言った。
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