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再びアキラの章

11 森の国にて 5

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 「まずは娼館に入ったそうだよ、クソガキ共」

デヴィッドが呆れた声で告げる。

「俺、娼館って行ったことないや」

フランツがボンににっこり笑っていう。

「坊ちゃまにはちょっと速いですね。そう言うところには成人過ぎてから行ってください」

「行くなって言わないんだ」

ボンが驚いた顔になる。

「まぁ、行ってほしくないですが……そうとも言えない事はいくらでもあるわけで」

ボンが好奇心いっぱいで訊ねる。

「フランツは行ったことあるの?」

「ふふ。秘密です」

フランツはあからさまにごまかした。ボンもそれはわかっているようだがそれ以上追及はしない。そのうちわかる、と考えているからだ。

「アキラは入った事ある?」

ボンの好奇心がアキラに向いた。アキラは笑って首を横に振った。

「娼館はないな。あんま興味ないし」

「そうなの?その冒険者クラブだっけ?そこの人がそんなに通うところってどんなところか興味ある」

フランツはボンの頭にそっと手を置いた。

「大人になってから知っても十分です」

ボンはそれ以上何も言わずフランツの言葉を受け入れた。




 アキラはウルリッヒ商会の支店に向かった。宿で遊んでいるのも退屈であったしもう少し備品を買い足しておこうと思ったのだ。

「それはどういうときに使うのだ?」

マーガレット女王と似た少年に声を掛けられる。

「……テントは寝る時や休憩中に使う」

「そうか。しかしダンジョンに持っていくには重いだろ?大きいし」

十中八九これが狼国の王子だなとアキラは判断した。

「マジックバッグなんかに入れて持って行く」

自分はアイテムボックスだが、とアキラは思いつつ答える。

「おお、そうすればいいんだな」

誰かお付きはいないのか?とアキラは思いつつ相手をしていた。これも仕事のうちだ。

「ダンジョンに潜るの?」

アキラの問いに少年は頷いて答える。

「今回は友人の為だからな。俺はこう見えても友情に篤い」

自分でいうなよとアキラは心の中でつっこみつつ話を切り上げようとした。

「そうか。……友達と仲良くな」

「そうそう。お前、俺達と一緒に行かないか?」

いきなりの誘いにアキラは首を横に振ってこたえる。

「悪いが俺も一緒に潜る仲間がいるんでな」

「そうか。……残念だ」

そう言って狼国の王子らしき少年はアキラから離れていった。アキラも軽く手を振り少年から離れるとテントと椅子、敷布などの在庫を購入しt増やし皆の元に戻った。


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