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再びアキラの章

07 森の国にて 1

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 「アキラ、この国で潜るならこの革のトラウザは暑いというか、蒸すかも」

宿の一角を借りテントで寝ている竜の探索者一行であった。侯爵の末っ子、ボンとお付きのフランツは宿の最上級の部屋であった。今はテントの場所に二人共いる。夕食を待っているのだ。

「店に最適な商品あったか?」

「あるにはあるんだけど……俺が行くと対価を受け取ってくれなくて。俺を知ってる人が店員にいる」

ルトガーの言葉にボンのお付きのフランツが言う。

「私が見てまいりましょう。皆様のサイズは大体把握しておりますし」

フランツの特技で服の上からの大体のスリーサイズがわかる、という。女性には嫌われるな、とレッドが言うと『女性にはこの特技はお知らせしませんから』と静かに笑っている。『大抵の事は出来ます故、私の事は便利に使ってくれればよいかと思います』がフランツの自己紹介だった。

「俺もいこっか?」

ボンが言うとフランツは首を横に振る。

「今日は皆さまとこちらに泊まって私が良いというまで部屋に戻らないでください」

「俺がフランツと戻ろう」

デヴィッドが言う。

「敵を一瞬ごまかせればいいだろう?」

デヴィッドにフランツは頷いた。ボンには聞こえないようにデヴィッドが言う。

「部屋に誰か潜んでるか?」

「多分。女将さんに部屋に入れてもらった時と匂いが違いましたから」

「侯爵の敵か、それとも」

「わからないから捕まえたい所ですねぇ」

フランツとデヴィッドにルトガーがそっと告げる。

「部屋に探査をかけたら天井裏に2人、ベッド下に一人いる」

「ありがとうございます」

フランツが礼を言う。

「背格好といい、俺が行くのがいいだろ?」

アキラが言う。

「俺の方が尋問が得意だと思うが?」

デヴィッドがそう返す。フランツはにこにこして口を挟まない。

「あ、ヨアヒムに貰った香でも炊くかい?」

「どんな香?」

「睡眠用の香。……無臭でよく効くらしい」

フランツの目が輝いた。

「頂いても?すぐに仕掛けてきます」

そういうとフランツは一旦部屋に戻った」

アキラとレッドは聴覚の感度をあげボンの部屋を伺っている気配の呼吸を聴いている。 フランツが部屋に入ってほどなくして呼吸は睡眠時の呼吸となったようだ。その割にフランツが返ってこないのでレッドが様子を見に行ったら3人の賊が紐で縛られていたが意識はないようだった。

「これどーするの?」

「丁寧コースか乱暴コースか悩んで」

「とりあえず目隠し猿轡、あとは捕縛の腕輪と捕縛袋に入れておこう」

ブラッド作の捕縛の魔道具を使いレッドは賊を袋詰めした。腕輪は改良され対象者が魔法を使おうとすると魔力を吸い取り腕輪に蓄積し後に魔力の溜まった石を取り出し他で利用するように作り直していた、

「便利なものお持ちですね。うちでもこれは欲しいですね」

「侯爵様がいくつか持ってるぞ」

レッドが教えるとフランツは『後で主人に放出させます』と悪い笑顔で答えた。


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