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再びアキラの章

04 面倒な依頼 3

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 ボンは子供の頃のから拠点に入り浸っていたのでクランのメンバーにとっては可愛いアイドルでもあった。

「なんだ、来てたのか」

すっかり貫禄のある中年になったミヒャエルが久しぶりに王都から帰ってきていた。ミヒャエルは結局エリーと結婚し男女の父親になっている。娘はエヴァの所に下宿し王都の学校へ通っているし息子は王都の騎士学校に入学して寮暮らしをしている。

「おっちゃん久しぶりー、最近顔見てないと思ってた!」

ボンはミヒャエルの長男、ジークと仲がよかった。ボンも騎士学校へ行くという案もまだ生きている。侯爵としては騎士学校は出てから冒険者になって欲しいと思っているがボンは中学を卒業したら冒険者になりたいと言って今まさに親子戦争が勃発しかけていたのだ。そこにこの話、というかレッドが見ていて一旦親子を離そうと思っていたところにこの話、という事だった。

 「ボン、騎士学校はどうする?」

ミヒャエルにそう言われてボンは顔を歪める。

「おっちゃんまでそれを言う。これ終わったらミヒャエルの息子ジークとも話し合って考える。あと3か月もあるし」

「3か月も、か。俺にとっては三か月しか、なんだがな。改めて若いな」

ボンが口を尖らせる。

「若いってだめなの?」

「まさかおっちゃんには羨ましいんだよ、若いって事は」

「……そう言う話はとーちゃんとしてくれよ。俺は今、今までで一番年取ってるんだから」

ミヒャエルは一瞬驚いた顔になり笑い出した。

「違いない。これは一本取られた」

 レッドの腰で魔剣トラヴィスもげらげら笑う。ヴァイキーが冒険者生活から半引退状態になった時に

「トラヴィスの後はレッドに任せていいかな?」

と頼みトラヴィスも了承したので現在はレッドの腰にトラヴィスは収まっている。ボンはレッドと仲が良いのでトラヴィスとも顔見知りだった。

「じゃあヴァイキー、装備揃えに行きたいんだけど手伝ってくれるかな?」

ボンに頼まれヴァイキーは機嫌よくボンと出て行った。

「じゃ、速歩で街まで行くぞ?」

ヴァイキーにそう言われゲーと言いながらもボンは素直に速歩で街まで向かった。



 「ミヒャエル、王都から帰ってきたんだな」

アキラがミヒャエルを見かけて声をかける。

「デヴィッドに頼まれてた調査が終わったからな。例の狼国絡みのやつでジークに参考人を連れてきてもらったからあっという間だった」

狼国の冒険者クラブの評判が他国まで回っているかの確認を頼まれていたのだ。学生の事は学生に、と騎士学校にある冒険者クラブに繋いでもらった、と。
 騎士学校の冒険者クラブは王立魔法学園、別名貴族学校の護衛も請け負っていた。大抵行くのは国内のダンジョンかつ王都から日帰りで行ける所という条件なので冒険者の狩場巡回のポイントでもありディアーヌ国の冒険者クラブはあまり荒れていないようだった。
 ただ、貴族学校は他国との交流も盛んでクラブ単位の交流などもある。そこで狼国との交流を持っていたらどういう印象かなどを聞いておくたかった、というのがデヴィッドの意図だった。
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