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再びアキラの章
01 クランの状況
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どのくらい時がたったのか。宗介はこの世を去った。ユリアーナは結局ルトガーの友人の一人と契約結婚し子供を授かった。本人曰く『恋愛はいくつでもできるけど子供産める時間は短いから。条件に合う人と契約して子供産んだの』とさっぱりしたものだった。
拠点は小さな村のような大きさでクランのメンバーも冒険者だけではなく鍛冶師や甲冑師などの武器職人、また裁縫士などもおり、小さな居酒屋まで出来ている。
今は拠点のご飯はカイが担当している。カイもヴァイキーも半分引退していて、ヴァイキーはユリアーナの農場を手伝っている。農場の敷地はかなり広く、牛を数頭飼育している。ユリアーナは未だにコアのダンジョンの浅いところに潜って日々の肉を手に入れている。
『美容体操みたいなもんよ』
とユリアーナは笑っている。
アキラは自分の事を『極端に老化が遅い人種』と言う事にしている。基本は竜人でそこに色々混じっている、と。オールは『妥当なとこかな』と言っている。
エドガーは髭面の親父になり今は錬金術師として表の錬金術師ギルドで錬金術師の一人として働く傍ら妻のリリーの要請にしたがって化粧品を作って個人的に売っている。
ルトガーはやっと20代半ばくらいに見えなくもない、という老化具合だ。ヨアヒムはそのまま年を取ってないようにみえる。
「ほぼ村だよな、ここ」
「東の国の商店も店出してるし。冒険者の宿も結局こっちの取り込んでるし」
ヨアヒムがぼんやりしているアキラの額を人差し指でぐりぐり押す。
「クランも大きくなったしな。結局万聖節もここに合流しちゃったし」
アキラは机の上に上半身を預けてぐんにゃりしている。
「元モンド国は結局大部分がディアーヌ国領土になったしな。竜人国はあの草原部分取ったんだっけ」
「そう。あそこ色々薬草もあるからな。……ランディの親父さんの進言だとか訊いた」
「ランディ、な」
今は亡き友の事をアキラは思い出す。ランディはソロで攻略していたダンジョンで実力が足りないのに少し奥まで攻略していたパーティに巻き込まれダンジョン内で倒れた。大量のモンスターと戦った、挙句そのパーティを逃がすためにその場で戦い続けた。救援が着いた時に残ったものは認識票のみであった。
ゴールディとランディの子はランディの父親の元で育ち、ハーブ農家としてやっていくという。ヨアヒムはランディの実家と取引しているので『父親の知り合いのおじさん』として接していたが最近はエドガーに取引を任せている。
エドガーはヨアヒムの飲んだ『不老不死の薬』は作らない事に決めたという。
『リリーと一緒にいたいからね』
と、仲のいい夫婦だ。一番下の子供、ルトガー(伯父さんの名前を貰った、と本人、得意げである)が『時々目のやり場に困るんだよ』とこまっしゃくれた口調で言っている。小ルトガーはまだ7才で父母のいる王都ではなく拠点で拠点の小学校に通っている。
ブラッドの弟子を気取っていっちょ前に小さな道具を作ってもらって遊んでいる。魔道具作りにとても興味があるようで、門のメンテナンスの手伝いを楽しみにしている。
エドガーは『俺も子供の時に好きな物わかってたらって思うから。ブラッド、よろしくお願いします』とブラッドに小ルトガーを託している。
そんな折りにユリアーナがにっこりと笑いながらアキラとヨアヒムに告げた。
「私、エドモンドと結婚するから。まだギリギリ子供産めそうだし。商会の為にも子供産んでおくの」
「……えーと、また恋愛ではなく?」
ヨアヒムの遠慮のないつっこみにユリアーナは小首を傾げる。
「んー。前の時よりは情はあるよ。恋愛はわかんない。前の時は完全に契約だったからね」
相変わらずの調子である。これは別に照れ隠しでもなんでもないのだ。
「ま、そう言うことで暫く農場はヴァイキーがメインで回すって。そう言えばエヴァの農場の方はかなり今年は豊作っぽいよ」
エヴァは元の万聖節の夜の拠点だった農場を買い取った第二農園を運営している。エヴァの一族も呼びかなり手広くやっているようだ。王都からほどよい近さなんで観光目的の客なども来るので『乳しぼり体験』や『ふれあい牧場』予約性の『バターづくり体験』などの観光牧場の趣きもある。そういう案はエヴァの夫、ケイタから出ていた。
ヴァイキーは凄く感心していたが、王都の第二農園には一度もいっていない。顔見知りのエヴァの両親や兄弟姉妹と顔を合わせたくなかったからだ。
そういうのんびりまったりした日々はデヴィッドからの一声ので終止符が打たれた。
「特別依頼が『竜の探索者』に来た」
拠点は小さな村のような大きさでクランのメンバーも冒険者だけではなく鍛冶師や甲冑師などの武器職人、また裁縫士などもおり、小さな居酒屋まで出来ている。
今は拠点のご飯はカイが担当している。カイもヴァイキーも半分引退していて、ヴァイキーはユリアーナの農場を手伝っている。農場の敷地はかなり広く、牛を数頭飼育している。ユリアーナは未だにコアのダンジョンの浅いところに潜って日々の肉を手に入れている。
『美容体操みたいなもんよ』
とユリアーナは笑っている。
アキラは自分の事を『極端に老化が遅い人種』と言う事にしている。基本は竜人でそこに色々混じっている、と。オールは『妥当なとこかな』と言っている。
エドガーは髭面の親父になり今は錬金術師として表の錬金術師ギルドで錬金術師の一人として働く傍ら妻のリリーの要請にしたがって化粧品を作って個人的に売っている。
ルトガーはやっと20代半ばくらいに見えなくもない、という老化具合だ。ヨアヒムはそのまま年を取ってないようにみえる。
「ほぼ村だよな、ここ」
「東の国の商店も店出してるし。冒険者の宿も結局こっちの取り込んでるし」
ヨアヒムがぼんやりしているアキラの額を人差し指でぐりぐり押す。
「クランも大きくなったしな。結局万聖節もここに合流しちゃったし」
アキラは机の上に上半身を預けてぐんにゃりしている。
「元モンド国は結局大部分がディアーヌ国領土になったしな。竜人国はあの草原部分取ったんだっけ」
「そう。あそこ色々薬草もあるからな。……ランディの親父さんの進言だとか訊いた」
「ランディ、な」
今は亡き友の事をアキラは思い出す。ランディはソロで攻略していたダンジョンで実力が足りないのに少し奥まで攻略していたパーティに巻き込まれダンジョン内で倒れた。大量のモンスターと戦った、挙句そのパーティを逃がすためにその場で戦い続けた。救援が着いた時に残ったものは認識票のみであった。
ゴールディとランディの子はランディの父親の元で育ち、ハーブ農家としてやっていくという。ヨアヒムはランディの実家と取引しているので『父親の知り合いのおじさん』として接していたが最近はエドガーに取引を任せている。
エドガーはヨアヒムの飲んだ『不老不死の薬』は作らない事に決めたという。
『リリーと一緒にいたいからね』
と、仲のいい夫婦だ。一番下の子供、ルトガー(伯父さんの名前を貰った、と本人、得意げである)が『時々目のやり場に困るんだよ』とこまっしゃくれた口調で言っている。小ルトガーはまだ7才で父母のいる王都ではなく拠点で拠点の小学校に通っている。
ブラッドの弟子を気取っていっちょ前に小さな道具を作ってもらって遊んでいる。魔道具作りにとても興味があるようで、門のメンテナンスの手伝いを楽しみにしている。
エドガーは『俺も子供の時に好きな物わかってたらって思うから。ブラッド、よろしくお願いします』とブラッドに小ルトガーを託している。
そんな折りにユリアーナがにっこりと笑いながらアキラとヨアヒムに告げた。
「私、エドモンドと結婚するから。まだギリギリ子供産めそうだし。商会の為にも子供産んでおくの」
「……えーと、また恋愛ではなく?」
ヨアヒムの遠慮のないつっこみにユリアーナは小首を傾げる。
「んー。前の時よりは情はあるよ。恋愛はわかんない。前の時は完全に契約だったからね」
相変わらずの調子である。これは別に照れ隠しでもなんでもないのだ。
「ま、そう言うことで暫く農場はヴァイキーがメインで回すって。そう言えばエヴァの農場の方はかなり今年は豊作っぽいよ」
エヴァは元の万聖節の夜の拠点だった農場を買い取った第二農園を運営している。エヴァの一族も呼びかなり手広くやっているようだ。王都からほどよい近さなんで観光目的の客なども来るので『乳しぼり体験』や『ふれあい牧場』予約性の『バターづくり体験』などの観光牧場の趣きもある。そういう案はエヴァの夫、ケイタから出ていた。
ヴァイキーは凄く感心していたが、王都の第二農園には一度もいっていない。顔見知りのエヴァの両親や兄弟姉妹と顔を合わせたくなかったからだ。
そういうのんびりまったりした日々はデヴィッドからの一声ので終止符が打たれた。
「特別依頼が『竜の探索者』に来た」
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