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クランに関わる人間関係

13 カツミ

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 がつがつとカツミは卵かけご飯を食べている。一心不乱だ。

「なんか里心ついちゃったよ」

とカツミは宗介とアキラに会いに来た。

「そういう時は好きなもん作ったろ」

「……いや、TKG喰いたくなって」

「なんや。待てるか?」

「待つ」

カツミがきっぱりと言ったので宗介は土鍋で米を炊くところから用意し始める。

「う、嫌が上でも盛り上がり気持ちと待ちきれない感」

タクミはそう言いながら来た時ほど意気消沈していなかった。

「なんや凹んでるけどどないしたん?」

「んー。ケイタ結婚したじゃん。独り身が身に染みる」

「んで、ここに来たんやな」

カツミが頷く。

「ま、ここは独り身多いしな」

宗介が身も蓋もない事を言う。

「あはは、最近エドモンドさんに古い恋人いるの知ったのも寂しさを助長したかも」

宗介は話を聞いている。タクミは爪の先をいじっている。



 「なんで、俺ダンジョンに居るの?」

ユリアーナが笑う。

「あの卵、欲しいんでしょ?」

「そう、だけど」

カツミは身分証明書の為に一応冒険者ギルドに登録していた。アキラに『ほら、高校に入っ
たら原付の免許とるじゃん?』と言ってその感覚だよと続けたがアキラのいた地域はそう言う空気ではなかったのでアキラはいまひとつピンと来なかったようだった。

「あの卵、ここでしか取れないの。1階の戦闘はなんとかしたんだからこれからいく広間で『取れる』のよ、あの卵」

カツミはぽかーんとしている。

「帰ったら大きなお風呂と炊き立てのごはんが待ってるよ?」

カツミは腰につけた中古のマジックバッグ(ブラッドが細工してくれたのでタクミしか使えないようになっている)を叩いて気合を入れる。

「おっし」

「そんなに強い魔物いないし人も多いから一回を切り抜けられるなら子供でも来れるよ、ここ」

カツミはちょっと笑う。

「んー、一人で来るのはちょっと怖いかな」

「慣れだよ、慣れ」

ユリアーナは笑う。

「私でも一人で来れるよ」

「ここ攻略してるんだろ?」

「4階までね。まぁ、ソロで行けるのは3階までだな。4階以降はジュニアと一緒に行かないと。あ、ジュニアはソロで4階攻略中」

カツミは感心している。

「ほえー。すげぇな、冒険者」

「今は貴方も冒険者でしょ、タクミ」

カツミは笑う。

「そうだな。……週末冒険者生活、かね。これ」

「……食欲優先の?」

ユリアーナも笑っている。
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