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ランディの帰省(vs.虎人国編)

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 「う、……ここは?」

ジンが目を覚ましたのはローサの用意した木の小屋の中だった。ローサの元に来て2週間が立っている。その間に虎人国が他国に手を出せないようにされたり王が変わったりしている事は知らなかった。

「……ムーチェン!父さん!」

横にいる息子と父に気が付く。

「ここは?」

「麻薬を抜く病院だよ。……洗脳に使われた麻薬をこのエルフの女医さんが手当してくれて抜いてくれている」

イーチェンが端的に説明する。



 あのあとすぐにクロとシルバーはローサに呼ばれた。

「敵の首魁は虎人国正妃だって。王は既に麻薬で廃人。イーゼァ、ユーゼァ、ユーチェンも軽度の麻薬中毒。虎人の里も10軒程麻薬漬けの家があった」

「虎人の国も危ないか。……そっちは狼人国に任せるか」

「そうね。狼人には腕のいい精霊医師も多いわ」

ローサは同意する。

「じゃ海の竜に後を任せようかの。奴らは東の大国とも付き合いがあるし虎人国とも付き合いがある。東の国の商会も手ぐすねひいておるし。狼人国は虎人国に恨みもあるしの。そのあたりは儂ら竜は感知せん」

クロは言い切った。

「リーはジンの養い子ということにするかそれとも」

「俺が責任もつ」

ムーチェンが言う。

「里長の養い子って事で。ついでに一緒にいる奴らも虎人ではないけど俺の養い子にする。じーちゃんも若いのの面倒を見た方が老けねぇしな」

イーチェンも異存はないと答える。

「少なくとも儂の所なら蒼龍様ともつなげられる」

「要石がそういう役目とは俺らの所には残ってなかった」

「何代か前から祭祀を放棄したのだろう……、本国からの指示だろうよ」

クロは言う。

「儂が知ってる頃の虎人の里では祭祀も行われていたからな」



 海からは瑠璃が来た。竜人国の王都のハズレの拠点にモンド国の拠点から門を使ってきたのだ。

「ここはずっと保持するの?」

瑠璃が尋ねるとクロは首を横に振った。

「いや。……竜人国に我々が関わりすぎると竜人がわやになる」

「虎人国が蒼龍様の加護を失ってるとは思わなかったわ。あの国を空に浮かせたわけは余りにあの国の王が周りに戦を仕掛けるから、周りから浮かせちゃったとは訊いてたんだけど」

トラヴィスが声をだした。

「へー、そんな経緯があったのか」

瑠璃は平気なようだ。

「そうよ。何代目の王か忘れちゃったけど。で、外からの侵略の心配はなくなったから……まったりすると思ったら違う方向で傲慢さを発揮し始めたわけなんだけどね。海の竜の一人を食べたのよ、あいつら……」

海の竜は海の竜で虎人国に思う事はあるようだ。

「ともかく虎人国は恨みを買いすぎてるのよね。それを背負った王族が加護を失ったって事は『国』の要が腐ってきてるってこと。だから……王族を生贄にして『国』というか『土地』の立て直しが必要かも」

「……土地と人、特に王族は繋がっているからな。虎人国の問題は本質的な所で蒼龍の事を忘れている、そして挿げ替えられると思ってるところだな」

「ですね。……で、とりあえずエリクサーで腐れ王族の王子治癒してあげるの?」

クロは重々しく頷く。

「人食い虎になられたら一般の人がめいわくするだろ?」

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