竜の探索者 最大手のクラン、所属条件はクラン主のお眼鏡に叶うかどうかのみ。人種も身分も関係ない。僕らはみんな冒険者

ランディの帰省（vs.虎人国編）

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　「虎人国でも？」

「どの国でもしてません。そのための人員を雇い、その人の信用にのっかって仕事をするのは我々の流儀ではありませんしね」

　アキラはレッドから竜人国の虎人の里に毎月、東の国の商会が行商に来ていると聞いたと話すとジョージはきっぱりと

「騙りですね」

と言い切った。

「とりあえず商会長にも流しますし、支店に問い合わせます。……あとは、月にまとめて大量買いしてる人のリストですかね」

「あと虎人国、本国に支店は？」

「店はないですが王宮に納入してますね」

「そっちかなぁ……。ちょっと本国絡み案件なんだよね」

ジョージとアキラは顔を合わせてうーん、と唸る。

「とりあえずレッドに情報を送って、それからだなー」

アキラはこれから送るような口調だが他の端末達にもこの話は既に共有されている。

「アキラさんはこの後は？」

「ベルタの店に行って新作チェック」

「ご一緒しても？」

「もちろん」

ジョージとアキラは連れ立ってベルタの店に向かった。




　「ふーん、里にはいつでも呼べるのか？」

レッドはアキラから情報を受け取ったがしれっとムーチェンに話しかける。

「俺は呼んだ事ないけど母親はちょくちょく呼んでる。次の不倫相手はあれかって言われる程度にな」

ムーチェンは苦々し気だ。

「……最近特に多いってことか、ユーチェン。全部吐いたほうが楽になるぞ？」

「それは……命令ですか？」

ユーチェンは反抗的に返す。そっと側にいたシルバーがにっこり笑う。

「君が自主的に言ってくれるとうれしいな。……ユーゼァは全部吐くと思うよ」

『クロもゴールディも精神干渉得意だからねぇ』

レッドの元に笑いを含んだシルバーの念話が送られてきた。

「俺らのボスが尋問してるもんなぁ。イーゼァも一緒だしな」

　ユーゼァが小さな声で訴える。

「俺達は話せない。……話したら精神崩壊するように術をかけられた」

「三人ともか？」

ムーチェンが訊くと小さな声でいう。

「俺とユーゼァに術はかかってる。イーゼァは判らん」

ユーチェンは不安そうにしている。

「ユーチェン、僕の眼を見ようか」

ユーチェンは目の前に立ったシルバーに言われてシルバーの顔をじっと見る。

「顔じゃないよ。眼、だよ。そう、眼をみたままゆっくりゆっくり息をして。深呼吸してね」

シルバーの誘導でユーチェンは緩やかに眠りに落ちた。シルバーがムーチェンに聞かせる奥的で声で話す。

「クロが新しく家を借りて諸々整ったからオールが行くまでに撤収できるようにしとけって」

「下に言ってくるわ。ムーチェンも荷物まとめとけよ」

「わーってる」

ムーチェンは黙々と自分の荷物を袋に詰めて胴体に斜めに荷物を巻き付けた。


　下の部屋でレッドはカイたちに新しい家に移ると告げる。カイとヴァイキーは慌てて上階の寝ていた部屋に向かう。ルトガーはさっとクリアの魔法で部屋を片付ける。

「ルトガー、荷物は？」

「マジックバッグに納まってます」

レッドの言葉にルトガーはにこやかに答えた。

「オールのは？」

「師匠はいつ何時何があるかわからないから荷物はずっと身につけてます」

レッドはオールだもんなぁと納得している。