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ランディの帰省(vs.虎人国編)

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 「よう」

シルバーは庭先に転移しそのまま家に入る。ヨアヒムもそれについて入っていった。

「おう」

「おう」

カイとヴァイキーが挨拶をすると魔剣トラヴィスが喋る。

「ヨアヒムか。ここんとこ俺、黙ってたから退屈でな」

「知らん奴の前ではな」

「だろ」

「レッド立ちは?」

「上の部屋。見に行く?」

シルバーの言葉にヨアヒムは頷いた。



 「よう」

ムーチェンとユーチェンは警戒したがレッドは無視をする。

「で、俺に用って事は薬かな?」

「ああ、シルバーの買った香に何を足せば麻薬効果を出せる?」

「ああ、そう言う話ね。あ、自白剤持ってきたけど使う?」

「大丈夫。吐かせたい方は竜人混じりなんでな」

「ああ、そら自白剤はいらないね」

ヨアヒムは竜の端末達と竜人の関係を知っている。アキラとランディのやり取りもアキラから聞いたようだ。

「そういやランディは?」

「今はクロたちを手伝ってる。こっちとどうしようかと思ったんだけど、父親絡みの話を持ってこられるだろうから言えには居たくないって」

シルバーはのんびり言う。

「どーも、錬金術師のヨアヒムだ。世界に3人だったかな?ともかくま、数が少ない錬金術でS級冒険者をしてる。で、だ」

ヨアヒムはユーチェンに向き直る。

「神官服を着てるってことは君は神官だね」

ユーチェンは黙っている。

「ま、君が偽物でも何でもいいんだけどね」

ヨアヒムは楽しそうだ。

「これにとある植物の樹脂を加えると、お手軽にトベる香になるんだ。こういう調合をするやつを俺は知ってる。十中八、九はそいつだろう。レニーと名乗る半狼人の男だ。耳が狼の耳のまま戻らなくなっているからいつもフードをかぶっている。黒髪に灰色の眼の男だな」

ユーチェンはぞっとした。大当たりだったからだ。

「そいつ、指名手配かかってんだよね。……その樹脂の事でね。どこにいる?」

ヨアヒムの言葉はムーチェンには驚きだった。レニーは気のいい男で、この生活を始めてから休まらない気持ちを鎮める香を作ってくれたり疲労回復剤を特性のハーブを使って作ってくれたりと心身の健康を気遣ってくれる、優しい男だと思っていた。

「うそだろう」

「初対面の相手に嘘ついてどうするんだよ、俺は」

ヨアヒムが揶揄う。

「レニーの事、教えてくれると嬉しいんだけど」

ヨアヒムの軽さはムーチェンが警戒を解くのに十分だった。悪い男じゃないな、とムーチェンは思う。同時に、いい性格してるよ、この人とも思った。

「ユーチェン、正直に言った方が色々考えやすいよ、俺も長老も」

ムーチェンはほんの少しだけ誘いを向けた。
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