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ランディの帰省(vs.虎人国編)

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 「完全に怪しいそいつ、イジーは顔を合わせなかったのか?」

「ああ。俺はあの日かなり遅く帰ったからな。王都に出てたんだ。荷馬車で」

「何しに?」

「一応生きていくのに必要な現金収入はこの辺の薬草刈ってギルドに持って行って売ってる。後は村人の狩ったウサギとか畑を荒らす小動物の毛皮やなんやを持って行って金に変えてる。……この村は若者がいないんだよ。皆街や王都へ出てる。王都の方が若干近いから俺は王都に行くんだけどな。ギルドに伝手もあるし」

「結構王都に近いのに何故老人ばかりになるんだ?」

「近いから、だよ。皆出て行った。今のいる村人を最後まで看取ったらまたどこか違うところに住むさ」

「案外、イジーが看取られるかもな」

レッドが軽口をたたく。

「それもありうる。ここ人たちは結構みな元気でな。偶に『鎌で切った』って来るくらいだな」

「お前医者変わりもしてるのか」

「そういう真似事が出来るのが俺くらいだからな。ま、村の便利屋ってところだな」
イジーは軽くそう言うとにやりと笑った。



 翌朝レッドはイジーに何か渡した。村から離れてからカイが訊ねる。

「別れ際何を渡してたんだ?」

「呪物の代金だ。あの場所にはいらないものだしな。オールが聖別された布貰っててくれて良かったよ」

オールは軽く笑う。

「多分王都には頭部があると思います。ちゃんと頭部用は大きい布を作ってもらってますよ」

オールはそう言って笑った。ルトガーがオールに質問する。

「聖布……絹ですよね?」

「さっきのはね。木綿の物もあるし聖別された布は素材には条件はない。今回は手持ちの反物を使ったから絹になっただけ。ずっと以前の冒険の報酬の一部だよ」

ルトガーはオールやアキラやレッド達の金銭的な負担が他のメンバーより大きいのを気にしていた。それを見透かすようにレッドが言う。

「俺達は昔から冒険者として働いてるからな。俺は一度アイテムボックス空にされたけど」

レッドは苦笑して続ける。

「それでも本体の所には色々お宝があるわけだ。本体はそう言うもんを使う事もないし俺達がクランに使ってる事をルトガーは気にしない。ルトガー達の報酬からもクランにちゃんと金は入ってるからな。間にギルドがあるから意識に浮かばないだけでな」

オールも続ける。

「その上、ギルド報酬からは税金も引かれて国におさめられてるからルトガーもしっかり納税してるんだよ」

ルトガーはぎゅっと拳を握りしめ頷いた。

「稼いだらそれだけクランに入る金も大きくなるからな」

そう言ってレッドはルトガーの頭をぽんぽんと叩いた。なんだか女の子扱いされてるみたいだ、と一瞬ルトガーは考えた。


 王都に着くとギルドに迎えた来ていた。ランディとヴァイキーはレンドルフの王都の家に泊まる。レッド達はランディの王都の家に泊まる事になっていたからだ。

「ランディのツレ?」

赤いレッドの髪を見てその男が聞いてきた。ハーフリングのその男は見たところ12歳くらいの少年に見えたが特徴的な耳でハーフリングとわかる。

「そうだ。お前は?」

「ランディの下働きのエドっつーの。さっさと家に案内するぜ」

ハーフリングはさっと立ち上がった。

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